理事長・学長からのご挨拶

理事長・学長 山下 敏彦
理事長・学長 山下 敏彦
 札幌医科大学は、1945年設立の北海道立女子医学専門学校を前身として、1950年に戦後初の新制医科大学として開学しました。2025年には、創基80周年(開学75周年)を迎えることになります。これまで、医学部は約6,300名、保健医療学部は約2,600名の卒業生を輩出し、それぞれが道内各地はもとより全国そして世界を舞台に、医療活動や教育・保健行政等の分野で大いに活躍しています。
 2022年には、約10年間にわたるキャンパス・施設整備が完成し、札幌医科大学は新しい姿に生まれ変わりました。学修・研究のための環境が整備されたほか、ラウンジスペース、キャンパス広場など学生・職員のアメニティーも向上しています。
 施設のリニューアルに加え、本学では、以下のような教育・研究・診療における斬新な取り組みを展開しています。
  1. 教育:本学独自のプログラムとして、両学部の学生が合同で地域医療を体験する「地域医療合同セミナー」があります。これは将来の多職種連携や地域医療への貢献を指向するものです。また「サージカルトレーニングセンター」や「クリニカルシュミレーションセンター」など、新しい教育システムを導入しています。2023年には、全国の国公立大学としては初めてとなる「スポーツ医学」を医学部の学科目として設置しました。
  2. 研究:本学で開発した骨髄間葉系幹細胞製剤による脊髄損傷治療が、2018年に厚生労働省より条件・期限付きで認可され、世界初の脊髄再生医療が展開されています。これまで治療方法がなかった脊髄損傷患者さんに対する新たな治療法として期待されています。このほか、本学が伝統的に全国をリードしてきたがん研究においては、がんワクチンの開発に向けた研究が進んでいます。
  3. 診療:附属病院において内科系・外科系ともに最高レベルの先進的医療を提供しています。外科系各科においては、手術支援ロボットや内視鏡を用いた低侵襲手術に成果を上げています。「スポーツ医学センター」では、両学部のスタッフが合同でトップアスリートの診療にあたっており、オリンピックなど国際大会における日本選手の医学サポートに活躍しています。

 新型コロナウイルス感染症パンデミックにおいては、本学附属病院は1,000名以上のコロナ患者を受け入れました。最重症患者に対しては、ECMO(体外式膜型人工肺)治療を積極的に行い、全国屈指の救命成績を上げています。また、道内の保健所や医療施設にスタッフを派遣するなどして、地域のコロナ感染症診療や保健行政に大きく貢献してきました。

 本学の建学の精神は、「進取の精神と自由闊達な気風」と「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」です。今後も、国際交流を通してグローバルな視野を広げ、先進的な基礎的・臨床的研究を強力に推進し、その成果を地域医療に還元していく所存です。創基80周年を迎える本学は、その先に望む100周年を目指して、最高レベルの教育・診療・研究を推進するべく、たゆまない歩みを続けてまいります。