理事長・学長室から2024

No.23 令和6年2月7日発行

はじめに

 能登半島地震発生から1か月が過ぎましたが、依然として現地の人々は極めて厳しい環境での生活を強いられています。また二次的健康被害の懸念も広がっています。この事態を受け、本学としては、これまでDMAT、JMATを複数回にわたり派遣するとともに、高度救命救急センター内に北海道DMAT調整本部を設置し、被害地域における医療支援活動の司令塔的役割を担ってきました。今回の「理事長・学長室から2024」は、その話題から始めたいと思います。

1.能登半島地震に対する本学の支援活動:DMAT及びJMAT派遣と北海道DMAT調整本部の活動

 これまでに、本学からDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)を2度、JMAT(Japan Medical Association Team:日本医師会災害医療チーム)を2度にわたり、石川県に派遣しました(写真1-4)。被災地での医療支援のほか、全国のDMATチームの統括調整などの業務を行っています。
 一方、本学附属病院高度救命救急センターには、「北海道DMAT調整本部」を設置しています。全国の自治体などから依頼を受け、本学および道内の医療機関のDMATチームの派遣調整、被災地や自治体からの情報収集、そして派遣チームへの後方支援活動など司令塔的な活動を行っています(写真5、6)。
 このように、救急医学講座を中心として、本学の医師、看護師、メディカルスタッフ、事務職員が一丸となって献身的な支援活動を展開していることに、心より敬意を表したいと思います。被災地の医療体制は依然として厳しい状況が続いており、更なる支援チームの派遣も想定されるところですが、本学としては可能な限り支援活動に取り組んでいきたいと考えています。

2.韓国高麗大学から学生実習を受け入れ

 この度、韓国の高麗大学(Korea University)との大学間交流協定に基づき、4名の学生さんの臨床実習を受け入れました(写真7)。学生の国際交流はコロナ禍のため2020年以降中断しており、実に4年ぶりの受け入れとなります。受け入れをお引き受けいただいた、麻酔科学講座、消化器内科学講座、耳鼻咽喉科・頭頚部外科学講座、循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の皆様には心より感謝申し上げます。実習期間は1月29日~2月22日となります。
 3月には、韓国カトリック大学ならびに中国医科大学からの学生を受け入れる予定です。また、中国医科大学とフィンランド・ヘルシンキ大学からは研究者が来学されます。
一方、本学からも、本年度中に韓国カトリック大学へ学生を派遣する予定で、来年度からは、高麗大学、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)などへの学生・研究者の派遣も行い、本格的に国際交流事業を展開していく予定です。

3.中嶋優子先生(国境なき医師団日本会長)講演会のお知らせ

  2月21日(水)16:30から、教育研究棟D101講義室において、中嶋優子先生の講演会が開催されます(図1)。中嶋先生は本学医学部48期(2001年卒)で、現在米国Emory大学のAssociate Professorであると同時に、国境なき医師団日本の会長を務めています。世界の紛争地域、貧困地域における医療支援活動を精力的に展開されていますが、最近では、戦禍著しいパレスチナ、ガザ地区の病院にも勤務されていました。
 中嶋先生は、一昨年10月に本学の「国際医療セミナー」で学生向けに講演していただいたほか、昨年8月には国境なき医師団の活動を紹介する「エンドレスジャーニー展」をアリオ札幌で開催されています。
 今回、中嶋先生と医学部同期の西田幸代先生のご尽力により、医師就労支援事業講演会として、「札医大発!国境なき自由人ナカジーの人生から得られるキャリア形成のヒント」というタイトルでお話をいただくことになりましたが、学生や教職員の皆さんにもぜひ聴いていただきたいと思います。多くの皆様のご参加をお願いいたします。

おわりに

 2024さっぽろ雪まつりが開催され、街はもの凄い数の外国人観光客で溢れていますね。しかし、折しもコロナ第10派の襲来と重なり、つい4年前のこの時期のことを思い出してしまいます・・。私たちとしては、基本的な感染予防対策を継続するとともに、今後の感染拡大の事態に備え、医療体制をしっかりと整えていきたいものです。