理事長・学長室から2024

No.32令和6年11月6日発行

はじめに

  一気に気温が下がり、雪の季節を迎えました。昨年に続き大量発生が予想された「雪虫」でしたが、今年はそれほどでもありませんでしたね。大量発生には夏から秋にかけての暑さが関係しているそうです。言われてみれば、今年より去年の夏の方が暑かったような気もします。
 ちなみに「雪虫」は通称で、正式には「トドノネオオワタムシ」というアブラムシの一種だそうです。夏の間にトドマツの木で繁殖し、この時期、冬を越すためにヤチダモの木に移動します。その「引っ越し」の様子をわれわれは見ていることになりますね。以上、日本気象協会の河合 恵さんの受け売りでした・・・(tenki.jp 2024年10月9日)。
 「理事長・学長室から2024」No.32をお届けします。

1.テニスコートが完成し、落成式を行いました

  この度、昨年以来建設が進められていたテニスコートが完成し、11月2日、落成式が行われました。2015年に、それまで西18丁目街区にあったテニスコートが廃止されて以来、約10年間にわたり、軟式、硬式テニス部のみなさんには大変な不自由をおかけしていましたが、ようやく「テニスコートのない大学」というある意味不完全な状態に終止符を打つことができました。
 新琴似グラウンドで行われた落成式には、塚本前学長(軟式テニス部OB)、齋藤医学部長(硬式テニス部部長)、舛森教授(軟式テニス部部長)、片寄保健医療学部長、佐賀井事務局長にもご出席いただき、テープカットを行いました(写真1-3)。この度のテニスコート建設にあたっては、軟式、硬式テニス部OB会の先生方をはじめ、多くの関係者の皆様からのご寄付、ご支援をいただきました。あらためて感謝申し上げます。
 テニス部の学生さんは、これらの多くの方々のご支援・ご厚情により支えられていることを忘れず、大いに部活動に励んでください。また、周辺住民の方々へご迷惑がかからないよう留意をお願いします。東医体はじめ各種大会での好成績を期待しています。

2.室蘭工業大学・札幌医科大学デジタル医工連携セミナーが開催されました

 10月25日、「室蘭工業大学・札幌医科大学デジタル医工連携セミナー」を本学講堂で開催しました。2022年から数えて3回目の開催となります。現地参加63名、オンライン参加66名、合計129名の参加者がありました。
 第一部のシンポジウム「デジタル医工連携の実際と可能性」では、札幌医大から消化器内科の吉井新二准教授と理学療法学第一講座の井平 光准教授、室蘭工大からは橘 理恵准教授と寺岡 諒助教にご発表いただきました。医療の多様な分野で、AIの診療支援や病態分析への応用が進んでいることを示していただきました(写真4)。
 第二部では、室蘭工大と北海道大学の両方(クロスアポイントメント)で教授を務められている小笠原克彦先生に、「北海道の地域医療を変革するデータヘルス・医療情報」というテーマでご講演いただきました(写真5)。小笠原先生は、わが国における医療情報分野の第一人者です。北海道のビックデータを用いた疫学的分析や、AIによる疾病構造の将来予測など、スケールが大きく、かつcutting-edgeなお話に深く感銘を受けました。すでに、本学救急医学の上村准教授らとも共同研究が進められており、今後の更なる発展が期待されます。
 セミナーの最後には、室蘭工大の松田瑞史新学長より、来年は室蘭市で開催していただけるとのお言葉を頂戴しました。今後も、両大学間の連携・協力を進めていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします(写真6)。

3.北海道スポーツ医・科学フェスタが開催されました

 10月20日、北翔大学札幌円山キャンパスにおいて、「北海道スポーツ医・科学フェスタ」が開催されました。昨年、スポーツ庁の支援のもと、北海道・札幌市・北海道スポーツ協会・札幌医科大学の4者が連携して「北海道スポーツ医・科学コンソーシアム」を設立しました。今回のフェスタは、同コンソーシアムの活動の一環として開催されました。
 冒頭の室伏広治スポーツ庁長官のビデオメッセージに続いて、シンポジウム1「女子アスリートの健康を守るために理解しておくこと」では、元スピードスケート日本代表選手の押切美沙紀さんにもご登壇いただきました。その様子は翌日の北海道新聞でも報道されました(写真7,8)。
 本フェスタのサブタイトル「人がつながる・人をつなげるスポーツ医科学サポート」にたがわず、シンポジウム2「アスリート競技力向上に向けた多職種連携」をはじめ、様々なシンポジウム、パネルディスカッション、さらにはセルフチェックやスポーツ栄養、スポーツメンタルなどの体験・相談会など多彩な企画に、多くの学生、医療者、指導者、一般スポーツ愛好家などが詰めかけ、会場は大いに盛り上がりました(写真9,10)。全道各地はもとより、遠く島根県からの参加者もあり、総参加者数は約300名にのぼりました。
 フェスタの企画・準備・運営に尽力いただいた片寄保健医療学部長をはじめとするスタッフの皆様に感謝申し上げます。本フェスタが契機となり、北海道のスポーツ医科学がさらに発展し、本道アスリートのパフォーマンス向上につながることを願っています。

4.解剖学講座主催の市民公開講座が開催されました

  10月13日、本学解剖学第一講座ならびに第二講座の主催による市民公開講座「命をつなぐ贈り物 -献体が拓く医学の未来-」が開催されました。会場の本学講堂には、白菊会の関係者、本学関係者、一般参加者など合わせて約200名の方々にご参集いただきました。
 第一部では、本学解剖学第二講座の永石歓和教授、整形外科学講座の寺本篤史教授、法学・社会学の旗手俊彦准教授、そして東札幌病院の石谷邦彦理事長にご講演いただきました(写真11)。それぞれ、献体の歴史と現状、サージカルトレーニングの実際と意義、医学研究における市民参加(PPI)の意義、緩和ケアの観点からみた献体の意義についてお話いただきました。
 第二部のパネルディスカッションでは、白菊会会長の渡辺博之さんにもご登壇いただき、献体の決定プロセスと家族の意向、解剖制度の現状と課題、献体利用の今後の展望などについて議論されました(写真12)。渡辺会長からは、ご自身が白菊会に入会された際の経緯やお気持ちについてお話いただきました。
 本学は、献体を用いた学生教育はもとより、サージカルトレーニングなどの医療者教育への応用については全国にさきがけて取り組んできた実績があります。今回の公開講座により献体の意義・重要性についての理解・認識が一層深まり、今後の医学教育・研究の発展につながるものと期待しています。

おわりに

 10月から11月にかけては、プロ野球クライマックスシリーズ、MLBワールドシリーズ、衆議院議員選挙、米国大統領選挙と何かとあわただしく過ぎましたね。(別に自分は何をしたわけでもありませんが・・)
 今年もあと2か月足らず、年末まで駆け抜けていきましょう!(ちなみに今年の年末・年始のお休み、結構長いみたいですよ!)