理事長・学長室から2023

15令和5年6月20日発行

はじめに

  今年は「エルニーニョ現象」が起きているそうです。「エルニーニョ現象」が起きた年は、通常は冷夏となるのですが、今年は猛暑が予想されています。これは、昨年起きた「ラニーニャ現象」の影響が残っていることに加え、インド洋に発生する「正のインド洋ダイポールモード現象」のために更なる気温の上昇や異常気象が引き起こされるためとされています。何のことかさっぱりわかりませんね・・・。
いずれにしろ、今年の夏は要注意ということだと思います。熱中症予防など暑さ対策や、自然災害への備えなど、今から心構えと準備が必要だということですね。
「理事長・学長室から2023、第15号」をお届けします。

1. 室伏広治スポーツ庁長官をお招きし、スポーツ医学特別講演会を開催

  6月16日に、本学臨床教育研究棟講堂において「札幌医科大学スポーツ医学特別講演会」を開催しました(写真1-4)。講師としてスポーツ庁長官の室伏広治先生と早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授をお招きしました。当日は現地参加者250名、YouTubeでの視聴者200名と大変多くの方々にご参加いただきました。
金岡先生には「スポーツを通じた健康な地域づくり」というテーマで、モーターコントロールという概念に基づくスポーツ選手の障害克服の実際と、それを一般市民にも応用した「ライフパフォーマンス」の向上への取り組みを紹介していただきました。室伏長官からは、「これからのスポーツの目指す役割」と題して、スポーツ庁としての国民の健康増進・スポーツ振興への取り組みに加え、ご自身が取り組んでいる身体パフィーマンス向上に関する様々な先端的研究についてもご紹介いただきました。多忙な行政業務のかたわら、斬新なアイデアに基づくアカデミックな研究に取り組まれているサイエンチストとしての長官の一面に触れ、深く感銘を受けました。また、「スポーツは、潜在的身体能力を開拓するもの」という言葉は心に残りました。
ご講演後の学生さんや医師からの質問にもユーモアをまじえて丁寧に答えていただき、場内は大いに盛り上がりを見せました。室伏長官ならびに金岡教授には、今後も本学におけるスポーツ医学に関する臨床・研究へのご助言や、学生教育へのご協力をお願いしたいと考えています。あらためまして、素晴らしいご講演をいただいた両先生に感謝申し上げます。

2. 本学が実施許諾中の特許権数割合で全国1位

 文部科学省が公表した2021年度産学連携等実施状況において、本学は、特許保有件数のうち実施許諾中の特許件数の割合が全国1位となりました。このほかにも、知的財産関係の4つの指標、「知的財産権収入」「特許権実施等件数」「特許権実施等収入」「研究者1人当たりの特許権実施等収入」のいずれにおいても上位30位までにランクインしています(表1)。これらの指標は、大学の研究成果がいかに理想的に知財化されているかを示すものと言えます。
 本学では、2011年から医学部に先端医療知財学という学科目を開設し、石埜正穂教授を中心として、学生や研究者の知財マインドの向上、医学研究成果の有効な知財化、開発研究・技術移転などを積極的に推進してきました。今回の結果は、これらの着実な取り組みの成果が表れたものと言えると思います。今後も本学における研究の推進と実用化に向けてさらに貢献いただけるものと期待しています。

おわりに

 「YOSAKOIソーラン祭り」や「さっぽろ夏まつり」もほぼ通常通りの開催ができ、新型コロナ感染症の5類への移行以来、札幌の街にも活気と賑わいが戻ってきたようです。何といっても、テレビなどが毎日報じていたコロナ新規感染者数が発表されなくなったことが、人々の心理面に影響しているようにも思います。
一方、実際には全国的にコロナ患者は増加傾向を示しており、第9波の入り口に入ったとの観測もあります。「理事長・学長室から2022 No.5」で紹介した、本学フロンティア研究所ゲノム医科学部門の井戸川雅史准教授の解析サイト(下記リンク参照)では、引き続き北海道、全国、世界の感染状況等の詳細なデータを発信していますのでご参照下さい。
本学としては、コロナ前を上回るアクティビティを取り戻す方向性を維持しつつも、社会情勢を注視し、感染症対策にさらに力を入れていきたいと考えています。引き続き皆様のご協力をお願いいたします。