理事長・学長室から2023

11令和5年2月9日発行

はじめに

さっぽろ雪まつりが3年ぶりにリアル開催されました。このほかにも、「3年ぶり」というイベントや大会がこのところ多くなっていますね。5月には新型コロナの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行される予定です。社会は、着実にウィズコロナからアフターコロナへ、あるいはノーマルへの回帰へと向かっているようです。
「理事長・学長室から2023、第11号」をお届けいたします。

1. JACMEによる医学教育分野別評価で、国際基準に「適合」と認定

本学医学部医学科は、2022年2月28日~3月4日にJACME(日本医学教育評価機構)による医学教育分野別評価を受審しました。この度、その審査結果が公表され、本学は医学教育における国際基準に「適合」していると認定されました(図1)。これにより、本学の医学教育が質的に国際レベルに達していることが認められたことになり、本学卒業生は、米国の医師国家試験の受験資格を得ることができます。
準備段階を含め受審にご尽力いただいた、齋藤現医学部長、三浦前医学部長をはじめ医学教育分野別評価委員会の先生方、ならびに事務局の皆様に感謝申し上げます。
全体として「適合」の評価を頂きましたが、各論的には多くの指摘事項をいただいております。今後、その一つ一つを検証して、しっかりと改善していくことが重要となります。

2. モバイル端末を用いた患者の健康管理システムの構築に向け、富士通と契約

2022年12月末に本学と富士通は、モバイル端末を用いた患者の健康管理システムの構築に向け、本学附属病院の診療データ活用に関する契約を締結しました。患者さんは、スマートフォン(iPhone)のアプリによる同意を行うことにより、検査結果や処方内容なども確認することができます。一方、附属病院も患者の健康データ(心拍数、歩数、体重など)を参照することにより診療業務に生かすことができます。また、Web画面を用いて道内の医療機関とも詳細なデータを共有することにより、先進的な地域医療連携の仕組みを構築することが可能となります(図2)。アプリ開発には、アップル社の技術的サポートを受けています。
このようなITを用いて患者自身が健康管理を行うシステムは、先進諸国ではすでに浸透しており、わが国でも政府や各省庁による推進の動きが出ています。今回、本学が全国に先駆けて、システム、アプリ、Web画面開発の取り組みを富士通やアップル社と連携して始めたことは非常に意義深いといえます。契約締結およびシステム開発にあたっては、附属総合情報センターの廣田准教授に多大なるご尽力をいただいております。本事業の運用にあたっては、教職員の皆様のご協力をよろしくお願いします。尚、個人情報の保護などデータ・セキュリティーには万全を尽くしてまいります。

3. 札幌医大医師会によるウクライナへの人道支援:使い捨てカイロが現地に届く

国境なき医師団(MEDECINS SANS FRONTIERES)日本会長の中嶋優子先生(本学医学部2001年卒)の仲介により、札幌医大医師会より、ウクライナに使い捨てカイロ1万個を寄贈いたしました。この度、無事にウクライナの避難民の方々にカイロが届いたことを中嶋先生からご報告いただきました(写真1,2)。
ウクライナでは、発電所などのインフラ施設の破壊により、多くの国民が冬期間の寒さの中、厳しい生活を強いられています。今回の支援は小さなものですが、少しでもウクライナの人々のお役に立つことができれば幸いです。そして、一刻も早くウクライナに平和が戻ることを祈っています。

おわりに

新型コロナの5類相当への移行により、マスク着用のルールなど様々な生活様式が変化するものと思われます。本学としても、国や道のガイドラインを参考に、感染制御部と協議の上で判断していきたいと考えます。附属病院や関連施設での実習などには一定の配慮が必要ですが、その上で、元気で活気ある札幌医科大学を取り戻していきたいと考えています。
いずれにしろ、まだ新型コロナは終息に至ったわけではありません。基本的な感染予防対策(手洗い、飲食時のマナーなど)はしっかりと継続したいものです。