はじめに
この「理事長・学長室から」も回を重ね第20号を迎えました。毎月、思いつくままに駄文を連ねてまいりましたが、いつもお付き合いいただき感謝いたします。学内からの反響は驚くくらい無いのですが、たまに学外の人から「いつも読んでますよ!」などという声をかけていただくと思いのほか嬉しいものです。
これからも性懲りもなく、本学の活動や取り組みなどを発信し、「札幌医大が頑張っている姿」を伝えていきたいと思っています。
「理事長・学長室から2023、第20号」をお届けします。
1.第2回 室蘭工大・札幌医大デジタル医工連携セミナーを開催しました
セミナーには、青山 剛室蘭市長にもご出席いただき、冒頭のご挨拶をいただきました(写真2)。室蘭工大OBである青山市長は、会の終了まで大変熱心に聴いておられました。また、野尻秀一室蘭市医師会長(本学29期)にもご参加いただきました。
第一部のシンポジウム「デジタル医工連携で創る新たなスマート医療」では、シンポジストとして、本学から産婦人科学講座の真里谷奨助教と作業療法学第二講座の横山和樹講師に、室蘭工大からは太田 香教授ならびに近藤敏志教授にご講演いただきました。第二部の特別講演では、本学公衆衛生学講座の小山雅之講師に登壇いただき、「COVID-19健康観察システム『こびまる』」に関するお話をしていただきました(写真3)。
いずれの発表からも、デジタル技術の実臨床への応用が一段と近づいている、そして一部はすでに実現されていることが示されました。両大学によるデジタル医工連携が着実に進められていることがよくわかり大変心強く感じました。
来年の第3回連携セミナーは、札幌市において開催する予定です。多くのご参加をお願いいたします。室蘭工大の皆様、お待ちしております。
2.駐日ベルギー大使が本学を訪問されました
10月26日、ベルギー王国大使館のアントワン・エヴラー駐日大使、ヨレン・キッパーズ一等書記官らご一行が本学を訪問されました。ご訪問の目的は、本学の神経再生医療の状況の視察です。ニプロ株式会社が、以前よりベルギーで医療機器等の製造を行っていることから、今回、ニプロの佐野嘉彦社長の仲介によりご訪問が実現しました。欧州の主要国の大使のご訪問は本学にとって大変名誉なことです。
エヴラー大使らは、ニプロの細胞調製施設を視察された後、本学神経再生医療科の本望 修教授より脊髄再生医療に関する講演を聴かれました。ステミラック治療により目覚ましい回復を示した患者さんのプレゼンテーションは、深く印象に残ったようです。
ベルギーにも再生医療を推進している大学があり、今後の大学間連携の可能性についても言及していただきました。ぜひ実現したいものだと考えています。
3.前WHO事務局長補の山本尚子先生(本学1985年卒)講演会のお知らせ
12月13日、本学臨床講堂において、山本尚子先生をお招きし国際医療セミナーを開催します。山本先生は、1985年本学医学部を卒業された後、医療行政の道に進まれました。国連日本政府代表部参事官、厚生労働省難病対策課長、北海道厚生局長などを歴任された後、2017年よりWHO(世界保健機構)の事務局長補に就任されています。2021年からは国連栄養委員会委員長も併任されるなど、まさに世界の保健医療の最前線で活躍されてこられました。ご講演では、COVID-19 パンデミック対策の中枢におられたご経験や、アフターコロナにおけるわが国さらには世界の保健医療の展望や課題についてもお話いただけるものと思います。
札幌医大のプライドである山本先生のお話を拝聴できる絶好の機会です。ぜひご参加を!
おわりに
11月11日~12日に横浜市で開催された第34回日本臨床スポーツ医学会学術集会において、6月に本学でご講演いただいた室伏広治スポーツ庁長官が特別講演をされました。その中で長官は、医学教育モデル・コア・カリキュラムに「スポーツ医学」が導入されたことを強調され、今後、医育大学におけるスポーツ医学教育や研究の推進が期待されると述べられていました。
本学ではこの度、医学部に「スポーツ医学」を学科目として設置することを決めました。国公立大学では全国初めての開設となります。将来的には「スポーツ医学講座」へと発展し、幅広いスポーツ医学の教育・研究・臨床そして社会貢献ができることを目指します。本学がわが国のスポーツ医学をリードする存在となるよう期待しています。
一気に寒くなってきました。ご自愛ください。