理事長・学長室から2025

No.44令和7年11月4日発行

はじめに

 熊の出没が相次いでいます。私の故郷である砂川市も、熊の出没多発地区としてすっかり有名になってしまいました。熊による農業被害や人的被害は、全道・全国において同時多発的に広がっています。さらに、サハリンでも熊出没が急増していると聞いて驚きました。
 異常高温による餌不足などが原因とされていますが、まさに生態系自体が変わってきていると言えます。熊の捕獲・駆除や電気柵設置などの方策も必要かと思いますが、より科学的・大局的な対策を講じる時に来ていると思います。兵庫県立大学の横山真弓教授は、野生動物管理を科学的に判断できる管理官や、対策を行う鳥獣対策員を配置するなど、データに基づく判断と対策のための新たな仕組みづくりを始めるべきだと警鐘を鳴らしています(Wedge ONLINE, 2025年9月22日)
 「理事長・学長室から2025」No.44をお届けします。
 

1.第4回「室蘭工業大学・札幌医科大学 デジタル医工連携セミナー」が室蘭市において開催されました

 10月24日、室蘭工業大学において、「室蘭工業大学・札幌医科大学デジタル医工連携セミナー」が開催されました(図1、写真1)。本セミナーは、毎年、室蘭市と札幌市で交互に開催されており、2022年の第1回から数えて4回目となります。
 第1部のシンポジウム「デジタル医工連携の実際と可能性」では、本学から、整形外科学講座の森田智慶助教とスタートアップ・研究支援講座の石埜正穂特任教授がシンポジストとして登壇しました。室蘭工大からは、李 鶴准教授と増田隆夫副学長にご講演いただきました。
 第2部では、特別講演として、本学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座の高野賢一教授に「未来を聴く -デジタル医工連携で拓く聴覚診療」をテーマに講演していただきました(写真2)。まさにデジタル医工学技術の結集とも言える人工内耳の仕組みや臨床の実際を明快に解説いただきました。また、人工内耳を設置した小児難聴の子どもたちが、エスコンフィールドで音楽に合わせて踊る姿には、目頭が熱くなりました。
 今回は、現地参加25名、オンライン参加58名、計83名の参加者があり、盛会に終わりました(写真3)。第5回デジタル医工連携セミナーは、来年、札幌市において開催される予定です。回を重ねる毎にますます充実した内容となっている本セミナーが、 今後さらに発展していくことを期待しています。
 

2.網走市とスポーツ医・科学に関する包括連携協定を締結しました

 10月27日、本学は網走市とスポーツ医・科学に関する包括連携協定を締結しました(写真4,5)。締結式には、水谷洋一網走市長をはじめとする網走市関係者の皆様、そして坂本隆哉北海道総務部長にもご臨席いただきました(写真6)。
 網走市は「健康・スポーツ都市」を宣言しています。また、スポーツ・トレーニングフィールドを完備しており、これまでワールドカップ・ラグビー日本代表チームやラグビー実業団チーム、さらにはサッカーJリーグチームの合宿地にも指定されています。
 本包括連携協定のもと、日本代表レベルのトップアスリート、ひいては網走市および周辺市町村の皆様の健康維持・増進のために、スポーツ医・科学に関する講演会等による啓発活動や、網走厚生病院等における診療活動を通して貢献していきたいと考えます。 

おわりに

 私事になりますが、10月7日に行われた理事長選考において、2期目への再任をご信任いただきました。これから約2年半にわたり、皆様には引き続きお世話になりますが、何卒よろしくご支援、ご協力のほどお願いいたします。
 大学ホームページにも掲載していますが、10月9日に発表された「THE世界大学ランキング2026」において、本学は国内27位タイにランクインしました(昨年より4ランクアップ)。また、「教育」「研究環境」「研究の質」「産業連携」「国際性」等の評価スコアも2024年以降、右肩上がりに伸びています。以前から教育に関しては比較的高い評価を得ていましたが、ここに来て「研究」や「国際化」など、本学が力を入れている項目が上昇傾向にあることは大変嬉しいことです。これも教職員の皆様の不断のご努力の賜物と感謝いたします。この流れを絶やすことなく、皆の力を合わせて更なる高みを目指していきたいと思います。