山下敏彦理事長・学長による就任挨拶がおこなわれました
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令和4年4月1日、札幌医科大学臨床講堂において、山下敏彦新理事長・学長から、学内教職員に向けて、就任挨拶がありました。以下に、山下理事長・学長からの就任挨拶を掲載します。
<就任挨拶>
本日より、本学理事長・学長を拝命いたしました山下敏彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
この2年数か月、本学は新型コロナウイルスに翻弄されてきたといっても過言ではありません。もちろんこれは本学に限ったわけではありませんが、診療、教育、研究などあらゆる面が制限を受けました。その中で、適切かつ最大限のご対応をいただいてきた、病院長をはじめとする病院職員の皆様、両学部長をはじめとする大学教職員の皆様に心より敬意を表します。本日より、本学の行動指針はレベル2に引き下げになりましたが、今後も、感染状況、社会状況を見極めつつ、できる限りノーマルな状態に戻る努力を続けていきたいと考えます。
さて、今年の北海道における一番の話題は何といっても、日本ハムファイターズです。その実力はさておき、新庄新監督の斬新な発想のもと、チームカラー、ユニフォーム、ロゴも一新するなど、その見事なイメージ戦略には本学も見習うべきところが多いと思います。本学もイメージアップのための様々な試みを展開していきたいと思います。年末にはキャンパス整備が完成します。広報・発信活動を強化し、「新生札幌医科大学」としてのイメージアップを図ることは、学生、職員のモチベーションアップのみならず、優れた受験生が札幌医大を志望することにもつながると考えます。
もちろん、イメージ先行で内容が伴わなければ何にもなりません。私は、先の理事長選挙の公約の一つとして、研究の活性化をあげました。その方策の一つとして、「先端医療研究推進センター」を新たに開設し、全学的な研究活動の推進・活性化を図っていきたいと考えます。初代センター長は、附属産学・地域連携センター長に兼務していただき、リーダーシップを発揮していただきたく存じます。医学部附属フロンティア医学研究所長については、新たに細胞科学部門の教授に就任していただき、研究所のさらなる活性化・情報発信を担っていただきます。
情報システムの構築・整備も重要な課題です。附属総合情報センター長には新たに公衆衛生学講座の教授に就任していただきます。医療人育成センター統合IR部門長とも連携して、情報戦略を推進し、札幌医大が時代の潮流をキャッチアップし、さらにその先を行くことを期待します。
入試改革も大きな課題です。今年度の附属病院の後期臨床研修医は近年になく100名に迫る勢いとなりました。これはいわゆる先進研修連携枠(ATOP-M)によるところもあるかと思いますが、やはり附属病院臨床研修・医師キャリア支援センター長をはじめとするセンターの皆様のご尽力によるところが大きいかと思います。ただ、ATOP-Mのわかりにくさや、学校推薦の妥当性など、課題も多いですので、医療人育成センター入試・高大連携部門長にもご尽力いただき、検討をすすめていきたいと考えます。
学生や職員の健康管理、とくに精神面のケアは現代において重要な課題です。保健管理センター長には新たに神経精神医学講座の教授にご就任いただきその機能を強化してまいります。
国際交流に関しましては、コロナ禍の影響で実質的な交流はストップしているものの、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)や韓国高麗大学とのオンライン交流など一定の成果を上げおり、引き続き活性化を進めていただきたいと思います。世界情勢が不安定になってきていますが、今後の推移を見極めつつ、交流する学生、研究者の安全を第一とする姿勢を保持したいと思います。ただ、その一方で、先般の高麗大学とのオンラインセミナーを通して感じたことは、国家間の関係にかかわらず、民間人、医療人間においては心を通じ合うことは可能だということです。このことは常に念頭に置いていきたいと思います。
保健医療学部、医学部の学部間連携については、新保健医療学部長にご尽力いただき、さらに推進していきます。両学部の教職員が、東京2020、北京2022で大いに貢献したように、スポーツ医学は本学のアピールポイントの一つであります。2030年の札幌オリンピック招致も視野に、「スポーツの札幌医大」を前面に打ち出すことは、先に述べたイメージアップにも貢献するものと思います。また、附属病院看護キャリア支援センターを通した人的交流をすすめ、看護師、助産師、保健師のキャリアアップを支援してまいります。医療人育成センターについては、センター長を中心に、入学試験への対応のみならず、両学部の学生教育体制のさらなる充実に貢献していただけるよう期待しております。2月28日~3月4日にかけて実施された医学教育分野別評価は、医学部長をはじめとする諸先生の努力により、一定の評価を得、スムーズに終了することができました。しかし、その中で、教育・評価体制に関する多くの指摘をいただいたと聞いております。最終的な評価結果はまだ先になりますが、それらを踏まえた改善を図っていきたいと考えます。
教育面に関連して、昨年度の医師国家試験の成績は予想よりはるかに低迷したものとなりました。背景にある問題点をしっかりと検証して、今年度のV字回復につなげていかねばなりません。
附属病院につきましては、コロナ対応への補助金の効果もあり、収支状況は黒字となっています。しかし、これは取りも直さず、補助金が終了すれば、赤字状態に戻るということを意味します。アフターコロナにおいてもサステナブルな経営を維持するため、二次救急、デイサージャリーの導入など、病院長を中心に戦略的経営を推進していただけるものと考えています。また、働き方改革もきわめて重要な課題ですが、病院長ならびに副院長を中心に推進してまいりたいと存じます。
以上に述べた様々な課題への対応には、事務局職員の皆様のご協力はかかせません。教員・医療職員と事務職員が十分にコミュニケーションをとり、連携していくことが重要だと考えます。
さて、最後にまた新庄監督の話で恐縮ですが、その発言を良く聞くとなかなか良いことを言っています。特に私が感銘を受けたのは、次のような言葉です。「プロ野球の存在意義は、そこの街に住む人達の暮らしが少しだけ彩られたり、単調な生活を少しだけ豊かにする事に他なりません。」彼は、プロ野球は決して人々の生活や人生の中心にあるものではない。すなわち、プロ野球は何のためにあるのか、プロ野球人は何のために野球をしているのかを、よくわかっているのです。
ひるがえって、札幌医大の私たちは何のために仕事をしているのでしょうか? 中期計画を達成すること、病院の利潤をあげること、これらももちろん大事ですが、けっして第一義的な目標ではないはずです。良い診療をして患者さんに喜んでもらうため、良い研究をして世界に認めてもらうため、良い医療者を育て社会で活躍してもらうため、それらこそがわれわれの仕事の目的であり、また喜びであるはずです。
私たちは何のために仕事をしているのか? その原点に戻り、札幌医大を良い大学にするためみんなで一緒に頑張っていきましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
令和4年4月1日 北海道公立大学法人札幌医科大学 理事長・学長 山下敏彦