医学部長あいさつ

仲瀬医学部長
医学部長 仲瀬裕志(内科学講座消化器内科学分野教授)

 令和8年4月1日付で、札幌医科大学医学部長を拝命いたします、仲瀬裕志です。
 1950年の開学以来、本学は6,509名を超える卒業生を送り出し、北海道から国内外へと医療・研究・教育の最前線を切り拓いてきました。コロナ禍で改めて示されたように、医師は社会の「最後の砦」であり、同時に未来を拓く推進力です。

 これからの10年を見据え、本学の長期ビジョン「札幌医科大学Vision for the Next Decade」と響き合いながら、建学の精神である「進取の精神と自由闊達な気風」、そして「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を羅針盤に、教育・研究・臨床の循環をより強く、より速く回していきます。臨床の現場で患者さんに向き合い、未解決の問いを基礎研究へ持ち帰り、世界の知を再び地域へ還元する——この往復運動こそが、本学の強みだと考えています。

 令和3年に完成した新キャンパスを拠点に、学部生・大学院生・卒業生が行き交う「学びと共創の場」をより一層充実させ、教育と研究を着実に進めてまいります。同時に、医療は知識だけで完結するものではないことを大切にし、多職種と連携しながら最善の治療方針を導くための判断力とコミュニケーション力を、学生時代から丁寧に育んでいきます。

 その中核として、MD-PhDをこれまで以上に推進し、臨床と研究をしなやかに往復できる“Physician-scientists”の育成に取り組みます。大学院・研究室・附属病院をよりシームレスにつなぎ、若い才能が早い段階から挑戦できる環境に加え、失敗から学び直せる文化、そして国際発信まで伴走する支援体制を着実に整えてまいります。基礎研究は医学の源泉です。仮説を立て、検証し、価値へとつなげていく力を、組織として一段と高めていきます。

 さらに、DX(デジタル技術を活用して学びや仕事の進め方を根本から良くしていくこと)を取り入れ、教育の仕組みをより分かりやすく、学びやすい形へ進化させていきます。学習の記録や到達度のデータを活用して、一人ひとりに合った学びを支えるほか、eポートフォリオ(学びの記録をまとめる仕組み)によって成長の過程を見える形にします。さらに、遠隔でのカンファレンス(症例検討などの会議)や、シミュレーション教育(実際の現場に近い形で練習する学習)を充実させ、場所に左右されず質の高い学びを受けられる環境を整えます。加えて、デジタルヘルスやAIを正しく使いこなすための基礎を、全員が身に付けられるカリキュラムづくりを進めます。地域にいながら世界水準の学びに手が届き、卒業後も生涯にわたって学び続けられる仕組みを、大学として支えていきます。

 そして何より、私たちは患者さんに寄り添い、患者さんから学び続ける医師を育てます。挑戦を恐れず、まず一歩を踏み出す。現場で汗をかき、問いを立て、答えを研究で磨き上げ、確かな価値として地域に還元する——その循環を、札幌医科大学が力強くつくり出します。全道各地の医療機関・自治体との連携をさらに深め、へき地医療から高度医療、災害・感染症対応に至るまで、地域の健康を守り抜く実践力と使命感を備えた人材を育成してまいります。
 目の前の一人を救うために、明日の医療を創る。札幌医科大学医学部は、次の時代の「当たり前」を自ら生み出すために、学びと研究と臨床を結び直し、進化を止めません。