令和6年度札幌医科大学入学式 式辞

令和6年度札幌医科大学入学式 式辞

理事長・学長 山下敏彦
 本日ここに、令和六年度札幌医科大学入学式を挙行するにあたり、大学を代表して式辞を申し上げます。
本日の入学式にご多忙のところご臨席いただきました、北海道副知事 濱坂真一様、北海道議会議長 冨原 亮様、札幌医科大学後援会長 秦 壮史様をはじめとする多くのご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。

 新入生の皆さん、入学おめでとう!
 皆さんが札幌医科大学の一員になっていただくことを、大変嬉しく思いますとともに、心から歓迎いたします。

 昨年五月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の五類に移行して以来、社会は元の姿に戻りつつありますが、この入学式も、実に五年ぶりに、コロナ前と同様の本来の形で開催することができました。今回は、父兄の皆様にも制限なくご出席いただくことができ、大変嬉しく存じます。あらためまして、この度のご入学を心からお祝い申し上げます。

 札幌医科大学は、1950年の創立以来、七十年を超える歴史と伝統を有しています。これまで、医学部は6300名、保健医療学部は2600名を超える卒業生を輩出し、全道、全国はもとより世界の各地で活躍しています。
 2020年からの新型コロナ・パンデミックにおいても、本学は、附属病院に多くの中等症から重症の患者を受け入れるとともに、全道の保健所や医療機関への人的支援など、本道のコロナ医療の先頭に立って貢献してきました。
 そのほか本学は、世界初の自己骨髄間葉系幹細胞による脊髄再生医療をはじめ、がんゲノム医療、高度救命救急医療、スポーツ医科学など多くの先端的研究・診療を展開しています。

 新入生の皆さんは、今日から、そのような長い歴史と伝統を有し、先進医療を展開する札幌医科大学の一員となったのです。皆さんはぜひそのことを誇りに思ってください。皆さんが目標とする、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、助産師、保健師という職業は、人々の生命や身体に関わり、病から救い、苦しみを癒すことのできる素晴らしい仕事であります。自分がそれを目指すことのできることを喜びとし、幸せに感じ、大いに学んでください。
 ただ同時に、皆さんには札幌医科大学の名に恥じない行動が求められます。特に現代において普及しているSNSには大きな落とし穴があります。安易な情報発信は重大な事態を招きます。特に医療に関する情報には、機密性や個人情報保護が求められます。軽率な行動・言動が、皆さんの夢と将来を一瞬にして壊してしまうことがあることを肝に銘じてください。

 本学は、2022年末に、新キャンパス整備が完成し、「新生札幌医科大学」として新たなステージでの歩みを始めました。皆さんは、新しく快適な環境で学修し、学生生活をエンジョイすることができます。この新キャンパス完成を機に、本学では、学生・教職員の投票をもとに、新しい札幌医大のロゴマークであるコミュニケーションマークを制定しました。ステージ向かって左に掲示されているのがその新マークです。コンセプトは、「世界に羽ばたく札医のつばさ」です。未来へ、世界へとはばたく翼をイメージに、青は北海道の雄大な空と「医療人としての使命感」、えんじは北の大地と「生命力」を表しています。皆さんも、このコミュニケーションマークのコンセプトのように、伸び伸びとした学生生活を送り、未来に向けて希望をもって羽ばたいてほしいと思います。

 本学は、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神に掲げています。入学試験の面接の際、多くの学生さんに、卒業後、札幌医大関連施設への従事と地域医療への貢献の決意を示していただきました。その決意を忘れることなく、将来北海道の医療の担い手となっていただくことを期待しています。本学としましても、ICTを用いた遠隔医療など、医療DXによる新しい地域医療の教育・支援システムを構築しているところであります。
 本日は大学院の入学生の皆さんも出席しています。本学の基礎的・臨床的研究をさらに発展させ、その成果を世界に向けて発信していただくことを期待しています。

 2022年の本学新キャンパス落成記念講演会では、当時WBC「侍ジャパン」監督に就任されたばかりの栗山英樹さんにご講演をいただきました。その中で、栗山監督からは、「誰かを助けてあげられたり、痛みを取り除くことのできる皆さんはわれわれのヒーローです。札幌医大が日本一、世界一の大学として発展してくれることを信じています。」という言葉をいただきました。
 新入生の皆さんには、近い将来に、医療・医学界における「ヒーロー」「ヒロイン」となり、本学が日本一、世界一となるための原動力となってくれることを期待しています。皆さんの、これからの学生生活が、楽しく、また実り多いものになることを願っています。

 あらためまして、この度のご入学を心からお祝い申し上げますとともに、皆さんの輝く未来にエールを送り、ご挨拶とさせていただきます。

令和6年4月5日
北海道公立大学法人 札幌医科大学
理事長・学長 山下敏彦