がん遺伝子パネル検査について

札幌医科大学附属病院では、北海道内のがんゲノム医療中核拠点病院、連携病院と協力しながら、必要とする患者さんにがんゲノム医療を届けられるよう、体制整備を進めてきました。当院では令和2年1月より保険診療のもと、がん遺伝子パネル検査を実施致します。(自由診療でも受付けています。)
がん遺伝子パネル検査の実施は「がんゲノム外来」という専門外来のみで実施いたします。詳細は下記をご参照ください。

がん遺伝子パネル検査とは

現在「がん」は、主に発生臓器(たとえば肺、胃、大腸)及び組織型(たとえば扁平上皮がん、腺がんなど)に基づいて分類され、治療法の選択が行われています。しかし近年の研究により「がん」は様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、たとえば同じ肺がんであっても、その「がん」の部分に生じている遺伝子の変異は患者さんごとに異なることがわかってきました。さらにその遺伝子の変異の中には、がん細胞の生存に重要な特定の遺伝子が存在することが知られるようになり、既に特定の遺伝子の変異を標的とした治療薬(分子標的治療薬)が日常診療で使われています。
現在、日常診療の中で行われる検査では、遺伝子変異のごく一部しか調べることができません。「がん遺伝子パネル検査」は、がんの発生に関わる複数の「がん関連遺伝子」の変異を一度に調べることのできる検査です。
パネル検査では通常100種類以上の遺伝子を調べることが可能です。選択するパネル検査の種類によって、調べる遺伝子の数や種類は異なります。それぞれの患者さんがもつ「がん細胞」の遺伝子変異の組み合わせが明らかになることで、一人ひとりにふさわしい治療を行うことにつながると期待されています。(治療対象となる遺伝子変異が見つかっても、すべての方が治療に結びつくとは限りません)

保険適用の対象となる患者さん

令和元年6月に「がん遺伝子パネル検査」は保険収載となりましたが、すべての患者さんに保険適用されるわけではありません。
保険診療対象者は、以下の方です。
(1)標準治療※1がない固形がん(原発不明がん※2や希少がん※3など)、又は標準治療が終了となった固形がん(終了が見込まれる者を含む)の方。
(2)全身状態及び臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方。(化学療法を受けるのに全身状態や血液検査で問題のない方)
ご自身が対象となるかどうかは、現在通院中の主治医にご相談ください。
※1標準治療:科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であり、患者さんに行うことが推奨される治療。
※2原発不明がん:充分な検査でも原発巣(がんが最初に発生した臓器)がはっきりせず、転移巣だけが大きくなったがんのこと。
※3希少がん:患者数が少なく稀ながんのこと

検査の種類と費用について

保険診療の対象となるがん遺伝子パネル検査には「OncoGuideNCCオンコパネルシステム」と「FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル」があります。2つの検査の違いについては下記の表をご参照ください。2つの検査のうち、どちらの検査で提出するかは、担当医と相談の上、患者さんご自身で選択していただきます。

検査の費用には検査後の治療費は含まれていません。検査の結果を元に治療を行う場合には、現在通院中の病院の主治医と相談の上、実施することになります。詳細は「がんゲノム外来」の担当医にお尋ねください。

保険診療の対象とならない患者さんで、がん遺伝子パネル検査を希望される方に対しては、自費診療として、別のがん遺伝子パネル検査を行っています。この場合、検査は自由診療となりますので、患者さんご自身に費用の全額をご負担いただくことになります。

                 【保険診療の対象となるがん遺伝子パネル検査(2種類)】
検査の種類と費用について

検査の流れ

検査の流れ

検査を受ける際の注意点【重要】

(1)本検査を利用しても、あなたのがんの診断や治療に有用な情報が何も得られない可能性があります。
(2)本検査は治療効果が期待できる治療薬の情報を提供しますが、その治療薬の治療効果を保証するものではありません。
(3)本検査であなたのがん細胞で起こっている遺伝子変異に対して効果が期待される薬剤が見つかったとしても、あなたのがんに対して承認されていない(保険診療で使用できない、又は他のがんや病気で保険診療で使用できるが、あなたのがんでは使えない)薬剤の場合、薬剤の入手ができない、あるいは投与できない可能性があります。または治療薬は自己負担となります。
 

検査後の治療について

(1)現在、保険診療で認められる標準治療が行われる患者さんは、その標準治療が優先され、がん遺伝子パネル検査の結果に基づく治療は標準治療が終了したあとに選択肢として考慮されます。
(2)がん遺伝子パネル検査は、あくまで現在通院中の主治医の判断に必要な情報を提供するものであり、がん遺伝子解析の結果が現在通院中の主治医の判断よりも優先されることはありません。

当院で行われている、その他のがん遺伝子パネル検査について(自由診療)

OncoPrime(オンコプライム)検査
「Oncoprime(オンコプライム)検査」は腫瘍組織を用い、223のがん関連遺伝子の変異を解析する検査です。保険診療の対象外となるため、自由診療となります。
検査の流れは上記保険診療のがんパネル検査と同様です。
検査費用(925,100円)および外来受診費用(計3回)を全額負担していただくことになります。
※対象となる患者さん(原発不明がん、希少がん、標準治療抵抗性のがんの方)

医療機関の方へ

OncoGuideNCCオンコパネルシステム、FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイルとそのお申込について

1 検査の適応についてお申込み前にご検討ください

保険診療で行うがん遺伝子パネル検査の適応
標準治療がない固形がん患者または局所進行もしくは転移が認められ、標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者も含む)かつ、全身状態および臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方。

※ご紹介の患者さんが、保険適応となるかご紹介前にご検討ください。上記条件に当てはまらない場合は、自由診療での検査となりますのでご注意ください。

2 詳細な患者さんの臨床経過をお知らせ下さい。

本検査は保険診療での検査にあたり、患者さんの同意のもと、国立がん研究センター、がんゲノム情報管理センターへの情報登録が必要となります。
そのため、検査の申込みにあたり、臨書情報やこれまでの薬物治療についての詳細な経過が必要となりますので、ご準備をお願いいたします。
詳細は、下記「がんゲノム外来への受診手続きについて」をご参照ください。
(外来申込み書及び診療情報提供書(臨床経過、薬物情報)には規定書式がございます。下記よりプリントが可能です。ご利用ください。)

3 がんゲノム外来の受診予約手続きについて

がん遺伝子パネル検査をご希望の場合は、「がんゲノム外来」の受診が必要です。
(1)貴院のご担当者(地域医療連携室等)から当院の遺伝子診療科宛に「がんゲノム外来」の受診予約を行ってください。
【受診予約に必要なもの】
□がんゲノム外来申込書(予約申込時にFAX)
□外来紹介時臨床情報(予約申込時にFAX)
□外来紹介前の薬物療法情報(予約申込時にFAX)
□診療情報提供書(がんゲノム外来専用)(予約申込み時にFAX)
□採血結果(過去1ヶ月以内)(外来受診前に郵送またはFAX)
□病理検査結果報告書(外来受診前に郵送またはFAX)
□CT画像(過去2回分:1回分は必ず過去1ヶ月以内に撮影したものであること)(外来受診前に郵送)
「がんゲノム外来申込書(規定書式1)」、「外来紹介時臨書情報(規定書式2)」、「外来紹介前の薬物療法(規定書式3)」「診療情報提供書(規定書式4)」をFAX(011-616-9690)でお送りください。
また、上記指定条件に合う採血結果、CT画像、病理検査結果報告書を遺伝子診療科までご郵送ください。
(下記送付先を印刷してご使用ください)
(2)いただいた情報をがんゲノム外来担当者が確認の上、医療連携福祉センター担当者より、折り返し予約票をFAXいたします。
※がんゲノム外来担当者より、貴院へ追加情報をお問い合わせする場合がございます。
※担当医師に確認後の予約調整となりますので、お時間がかかる場合がございます。

4 がんゲノム外来当日に患者さんに持参していただくもの

(1)患者さん本人の健康保険証またはコピー
(2)FAXで先にお送りいただいた、がんゲノム外来申込書、外来紹介時臨床情報、外来紹介前の薬物療法情報
※FAXで送った場合は各種検査結果の原本

5 検査提出用の病理検体をご準備ください

(1)がん遺伝子パネル検査にはホルマリン固定パラフィン包理(FFPE)ブロックおよび標本が必要です。
(2)検体の準備は主治医の先生にお願いしております。
(3)患者さんが当科外来(1回目)を受診し、検査を希望された場合は当院より貴院にFAX※1にて病理検体の検体送付依頼書をお送りさせていただきます。その指示に従って検体の準備をお願い致します。
(4)ご提出いただくホルマリン固定パラフィン包理(FFPE)ブロックおよび標本について
・3年以内に作製されている検体であることが重要です。
・原則として、検体組織中の腫瘍細胞の占める割合が20%以上のものになります。
・過去に受けた放射線治療の照射範囲に含まれていた組織の標本は検査に使用できません。
・原則としてブロックでの貸し出しにご協力ください。
・やむを得ずブロック準備できない場合は、未染色FFPE切片標本の作製をお願いいたします。(作製過程で切片の加熱乾燥は行わないでください。加熱乾燥後の検体は検査に使用できません)
・病理検体を送っていただく際には、病理報告書コピー、切り出し図コピー、検体送付時チェック表をご同封ください。
・詳細は検体送付依頼書を検査同意取得後にFAX※1させていただきます。
※1 FAX送付先は、がんゲノム外来申込書に記載してある番号を使用させていただきます。送信先にご指定がある場合は事前にお知らせください。

6 検体結果が出るまで

(1)当院より検体を検査会社に発送してから、結果が出るまでに約4~5週間かかります。
(2)その後エキスパートパネルで結果について検討してから、患者さんおよび主治医の先生にご連絡いたします。

7 検査後の治療について

検査後の治療については、当院遺伝子診療科では行っておりません。紹介いただいた先生に結果をお返しし、治療についてご検討いただくことになります。

8 エキスパートパネルについて

検査会社から当院へ結果到着後、結果について検討するエキスパートパネルを中核拠点病院、その他の連携病院で行い最終的な結果報告書を作成します。主治医の先生には可能な限り、エキスパートパネルへの参加をお願いしております。
エキスパートパネルの日程に関するご連絡は外来申込書に記載のメールアドレス宛にご連絡お願いいたします。

「遺伝子パネル検査」に関するお問い合わせ先

札幌医科大学附属病院 遺伝子診療科
お問い合わせ時間:平日9時から17時
電話番号:011-688-9690(遺伝子診療科直通ダイヤル)
FAX番号:011-616-9690(がんゲノム外来専用FAX)
※つながらない場合は011-611-2111(病院代表)までおかけください。