理事長・学長室から2026

No.54令和8年9月7日発行

はじめに

 はじめに
 7月28日の熊本地震に続いて、千葉、北陸など全国各地での豪雨被害、そして被災者に追い打ちをかけるような異常熱波・・・日本はまさに「災害大国」となってしまったようにも思います。一方、異常気象や自然災害は世界的規模で起きています。この夏、ヨーロッパでも、各地で40度Cを超える観測史上最高気温が記録され、熱波による死者は3万人を超えるとされます。ただ、死因の多くを占めるのは熱中症(体温調節機能の破綻)ではなく、極端な暑さに起因する既存疾患(主に循環器や呼吸器疾患)の悪化によるものだとのことです。
 今後、われわれ医療人には、災害時の救急対応に加え、被災地における人々の体調管理、疾患コントロールに関しても大きな役割が求められていくものと思います。熊本地震の被災地へは、本学からはJMATならびにDMATとして職員の派遣が行われました。
 「理事長・学長室から2026」No.54は、その報告から始めたいと思います。

1.令和8年熊本地震の被災地に、本学からJMATならびにDMATが派遣されました

 北海道医師会長からの依頼に基づき、令和8年熊本地震の被災地に向け、本学のJMAT(日本医師会災害医療チーム)が派遣されました。8月31日、基礎医学研究棟玄関ロビーにて出発式が行われました(写真1-4)。
 この度JMATとして派遣されたのは、葛西毅彦助教(リーダー、救急医学講座)、吉山暉人助教(救急医学講座)、福井陵太看護師(EICU病棟)、小野寺創看護師(HCU病棟)、三角昌吾係長(放射線部)、瀬上朋宏副課長(病院課)の6名です。派遣先は熊本県庁で、統括JMATとして、被災地の医師会を支援しながら、情報の把握・評価を行うとともに、現地におけるJMAT活動を統括します。
 一方、すでに厚生労働省DMAT事務局からの要請に基づき、DMAT(災害医療派遣チーム)として、ICU病棟の及川しのぶ指導主任看護師と薬剤部地域医療災害対応係の稲村広敏指導専門員の2名が派遣されました。及川看護師は、8月10日~17日八代市に、稲村薬剤師は8月17日~21日宇城市に派遣され、それぞれの市の「地域保健医療福祉調整現地本部」において、病院・施設への支援業務・引継ぎ業務などコーディネーターとしての役割を果たしました。9月3日には、学長室に任務完了の報告に来ていただきました(写真5、6)。連日、気温40度に迫る猛暑の中、着実に任務を遂行されたお二人には心より敬意を表します。
 本年11月には、厚生労働省の要請に基づき、本学に「北海道DMAT事務局」が設置されます。厚生労働省と本学から専従の職員を配置し、DMATの派遣体制整備等の業務にあたります。本学は、このDMAT事務局設置を契機として、今後一層、本道における災害発生時における医療支援の拠点として、その存在意義を高めていきたいと考えています。

2.道内三医育大学と北海道の地域医療に関する連携協定が締結されました

 9月1日、北海道庁において、北海道大学、旭川医科大学、札幌医科大学そして北海道による、地域医療の推進に関わる連携協定を締結しました。鈴木直道北海道知事、寳金清博北大総長、西川祐司旭川医大学長、私の4者で協定書に署名をしました(写真7,8)。続いて、北大附属病院の南須原康行院長、旭川医大病院の東信良院長、札幌医大病院の渡辺敦院長が、記者会見に臨みました(写真9)。
 本協定は、本道の医師確保、偏在対策など地域医療を取り巻く諸問題を解決するために、4者が認識を共有し、連携・協力することを目的としています。これまで、道内の医師派遣は、実際には各大学が個別に行っており、道を含めた4者間のコミュニケーションは必ずしも十分ではなかったと言えます。今後は、各大学の附属病院長が定期的にミーティングをもつなどして、円滑な意思疎通、情報共有を図っていくことで合意しています。

3.Sapmed-X 2026が開催されました

 8月24日、25日の2日間にわたり、Sapmed-Xが開催されました。昨年に続き2回目の開催となります。昨年は、図書館内の特設スタジオから配信しましたが、今年は、教育研究棟1階ロビーに設置したオープンセットからの配信となりました(写真10)。
 Day1は、学長挨拶、片寄正樹AI・DX推進室長のオープニングトークに続き、岸上順一先生に「見る前に跳べ」と題した講演をいただきました。岸上先生は、わが国における情報学の権威であり、本学の客員教授、CDXO顧問に就任していただいています。ご自身のこれまでの経歴と実績、そして札幌医科大学の可能性や今後の方向性について示唆に富むお話をいただきました。続いて、小山雅之医療情報DX部門長が加わり、岸上、片寄両先生とともに「札幌医科大学AI・DXの次なるステージ」をテーマに鼎談をしていただきました(写真11,12)。
 Day2では、学内の各部署におけるDXに関連するプロジェクトや活動の報告をしていただきました。まず、深瀧恭子医療統計・データ管理学助教と糸井杏子情報推進室主査の座長のもと、小倉圭史放射線部主任技師と関谷優花研究支援課主事からは「業務課チャットボットプロジェクト」、松本ゆかり経営企画課主査と清水美空情報推進室主任からは「ホームページ構築プロジェクト」、青木信裕理学療法学科助教と和田亘弘解剖学講座助教からは「DXオンライン教材プロジェクト」の紹介がありました(写真13‐15)。続いて、上村修二DX統括部門長の座長のもと、AI・DX推進室の各部門の活動報告を、「DX統括部門」について岩元悠輔救急医学講座助教に、「事務DX部門」について原田慎也情報推進室主査に、「教育研究DX部門」について三原弘医療人育成センター准教授に、「医療DX部門」について小山部門長にそれぞれ報告していただきました(写真16、17)。
いずれのプレゼンテーションも、きわめて具体的、実践的で、すぐに役立つ情報にあふれていて、とても勉強になりました。最後にまとめとして、上村先生から、アンバサダーの活躍を紹介するとともに、今後のさらなる展開への期待を表明していただきました。
 岸上先生のご参加とエンカレッジをいただき、また、各部門からのプレゼンも充実しており、昨年よりさらにグレードアップしたSapmed-Xになったかと思います。準備、運営にあたられた教職員の皆様、大変お疲れさまでした(写真18)。

おわりに

 Sapmed-Xの開催により、教育から診療までにわたる全学的なDXの機運が高まっているところですが、早速、9月19日からは、附属病院医療統合情報システムの入れ替えという、本学にとっては一大イベント、言い換えれば大きな山(試練)がやってきます。
 附属病院はもとより、大学すべての部署の教員、医療職員、事務職員が一体となって、トラブルを最小限に防ぎ、首尾よくこの山を乗り越えていただけることを願っております。