札医大の研究室から(54) 片寄正樹新保健医療学部長に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)

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 帯広出身の片寄正樹札幌医科大学教授が4月、同大の保健医療学部長に就任した。オリンピック選手のリハビリ指導などに長年かかわり、昨年の東京五輪では大会組織委員会医療サービス部アドバイザーも務めた片寄新学部長に、就任の抱負や医療人に求められる資質などを聞いた。(聞き手・安藤有紀)
片寄正樹(かたよせ・まさき)

 1963年帯広市生まれ。帯広柏小、帯広第三中、帯広柏葉高、札幌医科大学衛生短期大学部を経て99年カナダアルバータ大学大学院理学療法学修士課程修了。2007年札幌医大教授。ソルトレークシティーとトリノの2回の冬季五輪で日本選手団トレーナー、東京オリンピック・パラリンピックでは大会組織委員会医療サービス部選手村診療所課選手村医療担当課長を務めた。

札医大の研究室から(54)片寄正樹新保健医療学部長に聞く 2022/06/13

安藤:学部長就任の抱負を。
片寄:伝統のある保健医療学部の学部長は大変な重責。看護・理学療法・作業療法の3学科を有する学部として、私自身も幅広く学びながらしっかりと情報を得てやっていきたい。
 
安藤:札幌医大の保健医療学部の強みは。
片寄:医学部がそばにある環境で保健医療の最前線を学ぶことができる。大学院や専攻科も立ち上げ、看護系のあらゆる職種の教育を行っているのも大きな強み。本学部は来年、開設30周年を迎える。早くから高いレベルの教育を行い、多数の人材を輩出してきた実績もある。
 
安藤:これからの大学・病院に求められることとは。
片寄:災害医療や感染症対策など、医療従事者に高度で急性的な対応が求められる時代において、教育の役割はとても重要。本学には医学部と附属病院があり、それらに対応できる人材をオンタイムで養成できる。一方、保健医療の領域では人々の健康維持増進、生活の質を保つためのアプローチも非常に重要。
 
安藤:医療人として必要な資質は。
片寄:最も必要なのは実践力。その実践力の基になるのが、相手を慮る姿勢や行動。本学部では日ごろから、コミュニケーションや状況の的確な把握を重視した教育活動を行っている。この2年はコロナ禍で思うように臨床実習の機会が確保できなかったが、今年に入り改善している。今後さらに力を入れていきたい。
 
安藤:地域医療に関して。
片寄:本学の建学の精神にもある通り、地域医療に貢献するのが本学の使命。医療での目線に加え、生活の質を担保する視点も大切にしていく。当学部では、北海道の地域について3学科共通で学ぶ科目がある。北海道の地域特性を知り、それに応じた医療・健康維持増進を展開してくことが大事。本学の卒業生が道内各地域にいるので、地域の卒業生とのネットワークも拡大させていく。
 
安藤:東京五輪での活動を振り返って。
片寄:東京五輪には札幌医大から多くの医師・看護師・理学療法士が参画した。私は東京の選手村の医療担当課長を務め、選手村の診療所のオペレーションを担当した。全国から集まった全職種のスタッフと関わりがあり、そこで現場力のすごさを実感した。医療は一つの職種だけでは成り立たない。職域連携の大切さ、それぞれの専門性の大切さを改めて感じた。この大きな経験を学部経営にも生かしていきたい。
 
安藤:故郷・十勝の住民へ一言。
片寄:十勝は空も空気もきれいで食べ物もおいしく、良い環境で運動できる。環境の魅力を再認識して健康増進につなげてもらいたい。十勝はスポーツ医学を専門とするスタッフが多く、全国的にも高いスポーツ医療が提供されているエリア。アスリートの皆さんはぜひそういったサービスを存分に活用していただければ。

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  • 経営企画課企画広報係