道内初 手術支援ロボット「センハンス®」による一例目の手術を実施しました

~より安全な手術を目指して新たに触覚機能の付いたロボット・システムを導入~

 <概 要>
 札幌医科大学附属病院では「センハンス・デジタルラパロスコピー・システム(以下センハンス)」を用いた第1例目の手術を12月17日(金)に実施しました。日本におけるセンハンスの導入は5台目で、北海道内では初となります。
 手術を担当した消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 竹政 伊知朗教授は、このシステムについて、「操作性もよく、スムーズに手術を行うことができました。日本におけるセンハンスは他の手術支援ロボットよりも多くの術式で保険適応となっているため、これまでロボット支援手術を担当できなかった外科医も担当することができます。この革命的なシステムを利用することで、外科医の育成・技術の向上や、北海道の患者さんにより安全で高度な医療を提供することにつながります」と述べました。
 今後は、保険適応となっている消化器疾患に対して、センハンスによる手術を進めてまいります。

<センハンスとは> 
 当院で導入されたセンハンスは腹腔鏡の延長線上で、安定的な手技や正確な操作を支援するコンセプトで開発されました。
 手術支援ロボットとして広く普及しているダヴィンチには触覚機能がありませんが、センハンスにはこの機能があります。手術器具が臓器に触れていると、先端のセンサーがその圧力を感じ取り、臓器の硬さや糸の引っ張り具合などが術者の手元に伝わります。
 そのため、臓器損傷のリスク軽減など、より安全な手術を行うことができます。また、術者が座るコックピットには、目の虹彩の動きを感知する視線追跡装置が搭載されており、術者の視線に反応してカメラが動いて良好な視野で手術を行うことができます。
 適応となる手術は結腸切除術、直腸切除術、胃切除術、胆嚢摘出術、鼡径ヘルニア根治術などで、2021年12月現在98種類の術式で保険診療として行うことができます。

<ポイント>
・本システムは3もしくは4本の独立したアームと術者が操作するコックピット、これらを制御するノードとよばれるコンピューターユニットから構成されます(図1)。
・手術台を独立したアームが取り囲み、鉗子などの手術機器を接続します(図2)。
・術者はオープンコックピットから操作するため、周囲とのコミュニケーションも容易となります(図3,4)。

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 <札幌医科大学のロボット支援手術について>
 道内に先駆けて手術支援ロボット「センハンス」を導入した札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座は、ロボット支援手術において国内トップクラスの実績を誇ります。
 これまでロボット支援手術の遠隔指導に向けて企業との共同開発にも取り組み、2020年11月には3D映像のリアルタイム映像伝送の実証実験にも取り組んでいます。