【研究】札幌医科大学と医療ICTベンチャーのアルムが てんかん診療に資する遠隔脳波診断支援の共同研究を開始

札幌医科大学(所在地:北海道札幌市、理事長・学長:塚本泰司)と株式会社アルム(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:坂野哲平、以下 アルム)は共同で、アルムが提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用し、認知症およびてんかん鑑別、診断技術向上にむけた共同研究を開始いたしました。

日本国内には、60~100万程度のてんかん患者が存在するといわれております。特に高齢発症のてんかん患者が増加しており、認知症と併発し、臨床症状が類似することから、てんかんを鑑別することが難しいのが現状です。てんかんの診断には脳波検査が必要不可欠でありながら、脳波判読を正確に行える医師は、全国約700名のてんかん専門医と、一部のその他診療科医に限られているため、特に、てんかん専門医がいるてんかんセンターや大学病院へのアクセスが難しい地方医療圏においては、深刻な課題になりつつありますが、その実態は明らかになっておりません。
米国の研究*によると、認知症および軽度認知障害(以下、MCI)の患者の半数程度にてんかん異常波が有するとの調査結果がでております。てんかんの多くは、薬物療法で臨床症状を抑えることができるため、てんかんを併発している認知症患者に適切な鑑別診断や治療ができれば、臨床症状が改善し、QOLの向上が期待できるとされており、てんかん診療は、認知症診療においても重要なテーマとなっております。

札幌医科大学とアルムは、このような課題を解決するべく、アルムが開発・提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用して、医療機関で検査した脳波データをてんかん専門医が遠隔で判読できる仕組みを構築し、地域におけるてんかん診断技術向上を目指した共同研究を開始いたします。アルムが提供する「Join」は、院内にある脳波計の検査データを、「Join」のセキュアなネットワークでクラウドにあげ、専門医がインターネットにつながる端末でクラウド上の脳波ビューワにアクセスし、遠隔判読を行える仕組みです。脳波データを他院のてんかん専門医に提供する場合、紙媒体もしくはメディア媒体で提供するケースが一般的ですが、「Join」の仕組みを活用することで、データ転送側の業務負担も少なく、タイムリーにかつ普段と同様に判読できる期待が高いと考えております。札幌医科大学は、連携施設である函館新都市病院との間でこの仕組みを活用し、地方医療圏の実情を踏まえた連携施設のてんかん診断技術向上や運用面の評価から遠隔脳波判読の有用性について研究をいたします。

遠隔脳波判読支援の有効性を検証の後、認知症患者におけるてんかん症状の割合や検出率を明らかにし、特に人的資源の偏在が大きい地域医療において、遠隔脳波判読の仕組みを普及させることで、てんかん及び認知症医療の医療格差の是正を目指してまいります。
*Keith A Vossel, MD, Maria C Tartaglia, MD, Haakon B Nygaard, MD, Adam Z Zeman, FRCP, and Bruce L Miller, MD Epileptic activity in Alzheimer’s disease: causes and clinical relevance Lancet Neurol. 2017 Apr; 16(4): 311–322.

■アルムについて
株式会社アルムは「すべての医療を支える会社(All Medical)」として、「Shaping Healthcare」をコーポレートメッセージに掲げ、医療・福祉分野におけるモバイルICTソリューションの提供をしています。また、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を始めとした医療ICT事業では、グローバル展開に積極的に取り組み、日本発の医療ICT企業として累計28カ国へのソリューション提供を行っています。

 社名     株式会社アルム
 本社     東京都渋谷区渋谷3丁目27番11号祐真ビル新館2F
 代表     坂野 哲平
 設立     2001年4月18日
 資本金    28億8,680万円
 ホームページ https://www.allm.net/

<本リリースに関するお問い合わせ先>
◆研究に関すること
札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 
教授 三國 信啓

◆「Join」に関すること
株式会社アルム チームプラットフォーム部 広報担当
Email: press@allm.jp

発行日:

情報発信元
  • 医学部脳神経外科学講座