札医大の研究室から(39) 城丸瑞恵教授に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)
疾病や外傷などで生命の危機的状態(クリティカル期)にある重症患者に対して行う「クリティカルケア」の質的向上を目指し、札幌医科大学保健医療学部看護学科の城丸瑞恵教授は2011年、研究会を発足させて活動している。その名は「札幌医科大学クリティカルケア看護研究会」。城丸教授に活動内容やがん患者の会の取り組みについて聞いた。(聞き手・安藤有紀)
城丸瑞恵(しろまる・みずえ)
1958年深川市出身。千葉大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程、東京都立大学大学院社会科学研究科修士課程、東北大学大学院経済学研究科後期博士課程修了(経済学博士)。臨床経験を経て昭和大学保健医療学部看護学科教授。2011年より現職。
札医大の研究室から(39) 城丸瑞恵教授に聞く 2019/12/13
安藤:クリティカルケア看護研究会とは。
城丸:北海道のクリティカルケア看護のさらなる向上を目指して、本学の大学院修士課程を修了したクリティカルケア領域の認定・専門看護師と、この領域の研究者ら8人で活動している。
例として、道北の同領域に携わる看護師から「自分たちの看護をもっと発展させたい」と相談されたことに対する取り組みがある。地方の看護師がどんな悩みを抱えているのか調査した。
広大な北海道では救急対応できる病院が限られているため、基幹病院にはさまざまな症状の患者が搬送されてくる。調査では、多様な患者への対応が難しい、研修でスキルアップしたいが研修地が遠くて行けないなどの悩みを聞いた。これを受け、地方の看護師らと一緒に課題解決に向けた方法を検討し、看護師が主体となって学習会や事例検討会を開いている。
現在は、道南のドクターヘリに搭乗するフライトナースの効果的な研修について相談があり取り組んでいる。道南ドクターヘリは基地病院と複数の施設に勤務するフライトナースが交代で搭乗しており、スキルや知識の向上に関する悩みがあったため、その研修プログラムの作成と評価を予定している。その他に看護師に限らず医師や救急救命士、その他の医療従事者らとの連携強化にも力を入れている。
安藤:「がん患者の会」も運営する。
城丸:がん患者とともにつくる「ベニバナの会」を8年前に発足させた。現在の会員は30人ほど。乳がんと婦人科がん(卵巣がんや子宮がん)の患者らと2カ月に1回集まり、学習会と情報共有を行っている。同じ病気だからこそ聞けること、分かり合えることもある。「参加して良かった」と感じてもらえる会にしたい。
安藤:学習会のテーマは。
城丸:一つが「リンパ浮腫」。体の中を流れるリンパの閉塞や流れが滞ることでむくみが生じるもので、乳がんや婦人科がんの手術後の患者に生じることがある。リンパ浮腫を予防するための運動や悪化させないための日常生活の注意点などについて学習会で紹介している。
現在、弾性着衣の装着に関する研究も進めている。弾性着衣はリンパの流れを改善するには着用が望ましいが、厚みのある素材で着脱が大変、手が痛くなる、夏はかゆみや皮膚の炎症が起こるなどの声も聞く。そこで、作業療法学科の教員と協働で日常生活への影響に関する面接調査や着脱時の動作分析など、患者に負担のない装着方法や素材の研究に取り組んでいる。患者の日常生活の困難改善につながれば。
安藤:十勝の住民に一言。
城丸:乳がん・婦人科がんの患者さんで、研修会に参加したいが機会がなくお困りの場合は、ぜひ声を掛けてほしい。研究室のホームページでは乳がんや婦人科がんの患者の体験談も掲載しているので参考にしていただきたい。
城丸:北海道のクリティカルケア看護のさらなる向上を目指して、本学の大学院修士課程を修了したクリティカルケア領域の認定・専門看護師と、この領域の研究者ら8人で活動している。
例として、道北の同領域に携わる看護師から「自分たちの看護をもっと発展させたい」と相談されたことに対する取り組みがある。地方の看護師がどんな悩みを抱えているのか調査した。
広大な北海道では救急対応できる病院が限られているため、基幹病院にはさまざまな症状の患者が搬送されてくる。調査では、多様な患者への対応が難しい、研修でスキルアップしたいが研修地が遠くて行けないなどの悩みを聞いた。これを受け、地方の看護師らと一緒に課題解決に向けた方法を検討し、看護師が主体となって学習会や事例検討会を開いている。
現在は、道南のドクターヘリに搭乗するフライトナースの効果的な研修について相談があり取り組んでいる。道南ドクターヘリは基地病院と複数の施設に勤務するフライトナースが交代で搭乗しており、スキルや知識の向上に関する悩みがあったため、その研修プログラムの作成と評価を予定している。その他に看護師に限らず医師や救急救命士、その他の医療従事者らとの連携強化にも力を入れている。
安藤:「がん患者の会」も運営する。
城丸:がん患者とともにつくる「ベニバナの会」を8年前に発足させた。現在の会員は30人ほど。乳がんと婦人科がん(卵巣がんや子宮がん)の患者らと2カ月に1回集まり、学習会と情報共有を行っている。同じ病気だからこそ聞けること、分かり合えることもある。「参加して良かった」と感じてもらえる会にしたい。
安藤:学習会のテーマは。
城丸:一つが「リンパ浮腫」。体の中を流れるリンパの閉塞や流れが滞ることでむくみが生じるもので、乳がんや婦人科がんの手術後の患者に生じることがある。リンパ浮腫を予防するための運動や悪化させないための日常生活の注意点などについて学習会で紹介している。
現在、弾性着衣の装着に関する研究も進めている。弾性着衣はリンパの流れを改善するには着用が望ましいが、厚みのある素材で着脱が大変、手が痛くなる、夏はかゆみや皮膚の炎症が起こるなどの声も聞く。そこで、作業療法学科の教員と協働で日常生活への影響に関する面接調査や着脱時の動作分析など、患者に負担のない装着方法や素材の研究に取り組んでいる。患者の日常生活の困難改善につながれば。
安藤:十勝の住民に一言。
城丸:乳がん・婦人科がんの患者さんで、研修会に参加したいが機会がなくお困りの場合は、ぜひ声を掛けてほしい。研究室のホームページでは乳がんや婦人科がんの患者の体験談も掲載しているので参考にしていただきたい。