札幌医科大学が保管するアイヌ遺骨について


 本学が保管するアイヌ遺骨の民族共生象徴空間における「慰霊施設」への集約に際し、本学でのアイヌ遺骨の保管に関する経緯などについてお知らせします。

札幌医科大学が保管するアイヌ遺骨について


 本学では、1950年から1994年の間、アイヌの方々の御遺骨を対象とした研究が行われ、その後、今日に至るまで御遺骨の保管、管理を行ってきました。
 保管する御遺骨には、北海道、市町村の教育委員会から寄託されたもの、研究者から譲渡されたもののほか、道路拡幅工事で発見され寄託されたものなども含まれていました。
 アイヌの方々の御遺骨を対象とした研究は、遺跡発掘を含めてその時代の関係法令に沿って行われましたが、アイヌの方々への趣旨説明と同意取得の手続については、研究ごとに個別に対応なされており、今日の研究倫理の観点から適切とは言えないものもあります。また、遺跡調査の詳細な経過や御遺骨寄託の経緯の記録が残されていないものもあります。
 これらの背景には、研究者にアイヌ民族の文化並びに宗教的儀礼に関する理解が十分ではなかったこと、研究の計画、遂行と事後処理が各講座にほぼ一任されており、今日のように研究計画の妥当性や倫理性を大学として審査し管理監督する体制がなかったことが挙げられます。
 また、御遺骨の返還に関しては、関係法令の遵守や御遺骨の帰属先との調整のため、返還までに多くの時間を要し、アイヌの方々の希望には十分応えることができなかった事例もありました。
 本学としてはこれらの事実を深刻に受け止めて深く反省し、これらのことによりアイヌの方々が受けてこられた苦痛と苦難に対し、お詫び申し上げます。
 
 今般のアイヌの方々の御遺骨の返還につきましては、国の策定した「大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン」に従って進め、対象団体の方々との手続きは誠意をもって対応していきます。
 
 本学は今後も、アイヌ民族の歴史を認識し、学生並びに教職員を対象とした教育では、「先住民族の権利に関する国連宣言」をはじめとする国際規範にそって、多様で異なる文化の理解と共生の実現に寄与するよう努めてまいります。

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情報発信元
  • 事務局総務課