札医大の研究室から(32) 高橋弘毅教授に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)
せきや息切れが長引く場合、肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、ぜんそく、結核などのほかに、間質性肺炎という病気が考えられるという。札医大医学部呼吸器・アレルギー内科学講座の高橋弘毅教授に、間質性肺炎の原因や治療法を聞いた。(聞き手・安藤有紀)
高橋弘毅(たかはし・ひろき)
1954年札幌市出身。81年札幌医科大学卒。同大学医学部内科学第三講座助教授、米国ナショナルジュイッシュセンター研究員などを経て、2005年より現職。10年から4年間副医学部長、19年4月から医療人育成センター長も務める。
札医大の研究室から(32) 高橋弘毅教授に聞く 2019/5/24
安藤:間質性肺炎とは。
高橋:間質性肺炎は、細菌感染による肺炎とは別の病気。肺の中の間質と呼ばれる組織に炎症が広がり発症する。正常な肺はスポンジのように軟らかいが、そこに線維成分が沈着すると肺は硬く小さくなり、肺線維症となる。間質性肺炎と肺線維症は同じ肺に並存することが多い。
安藤:間質性肺炎の原因は。
高橋:インコやハトなどの鳥のふんや羽毛に含まれるたんぱく質が原因で、過敏性肺炎という間質性肺炎を発症する。カビの胞子が原因になることもあるため、台所や風呂場など湿気の多い場所は清潔にしてほしい。加湿器の手入れが不十分でカビが発生し、発症することもある。十勝のように酪農が盛んな地域では、干し草を扱う際にカビの胞子を吸い込んで起きる農夫肺が多発した時代があったが、作業内容の変化やマスク着用など予防策が普及し、現在ではほとんど見られなくなった。
ほかにも、中高年の女性に多い膠原(こうげん)病肺、肺がんや乳がんで放射線治療を受けた際に合併する放射線肺炎、アスベストを吸い込んでおきる石綿肺、薬やサプリメントの副作用で発症するものもある。
安藤:間質性肺炎の治療法は。
高橋:原因を見つけて除去するのが先決だが、進行・重症化している場合は薬物療法や酸素吸入での治療が必要。肺全体に広がると、生命を脅かすケースもある。早めに呼吸器内科の専門医に相談してほしい。
原因不明の難病も
高橋:原因の見つからない間質性肺炎には、特発性肺線維症という難病が含まれる。札幌医大の研究チームが中心となり、15年ほど前から全道の患者を対象に予後調査を進めてきた。調査当初のデータでは生存中央値が3年という厳しい現実が示されたが、最近では線維化の進行を抑制する薬が認可され、予後は改善しつつある。早期発見、早期治療が何よりも大事。
安藤:十勝の住民に向けて。
高橋:十勝は健康に高い関心を持っている人が多いと感じる一方で、呼吸器専門医が少なく、専門的医療が十分に行き届いているとはいえない課題も感じている。地域のドクターと連携し、呼吸器診療のレベル向上に少しでも貢献していきたい。
高橋:間質性肺炎は、細菌感染による肺炎とは別の病気。肺の中の間質と呼ばれる組織に炎症が広がり発症する。正常な肺はスポンジのように軟らかいが、そこに線維成分が沈着すると肺は硬く小さくなり、肺線維症となる。間質性肺炎と肺線維症は同じ肺に並存することが多い。
安藤:間質性肺炎の原因は。
高橋:インコやハトなどの鳥のふんや羽毛に含まれるたんぱく質が原因で、過敏性肺炎という間質性肺炎を発症する。カビの胞子が原因になることもあるため、台所や風呂場など湿気の多い場所は清潔にしてほしい。加湿器の手入れが不十分でカビが発生し、発症することもある。十勝のように酪農が盛んな地域では、干し草を扱う際にカビの胞子を吸い込んで起きる農夫肺が多発した時代があったが、作業内容の変化やマスク着用など予防策が普及し、現在ではほとんど見られなくなった。
ほかにも、中高年の女性に多い膠原(こうげん)病肺、肺がんや乳がんで放射線治療を受けた際に合併する放射線肺炎、アスベストを吸い込んでおきる石綿肺、薬やサプリメントの副作用で発症するものもある。
安藤:間質性肺炎の治療法は。
高橋:原因を見つけて除去するのが先決だが、進行・重症化している場合は薬物療法や酸素吸入での治療が必要。肺全体に広がると、生命を脅かすケースもある。早めに呼吸器内科の専門医に相談してほしい。
原因不明の難病も
高橋:原因の見つからない間質性肺炎には、特発性肺線維症という難病が含まれる。札幌医大の研究チームが中心となり、15年ほど前から全道の患者を対象に予後調査を進めてきた。調査当初のデータでは生存中央値が3年という厳しい現実が示されたが、最近では線維化の進行を抑制する薬が認可され、予後は改善しつつある。早期発見、早期治療が何よりも大事。
安藤:十勝の住民に向けて。
高橋:十勝は健康に高い関心を持っている人が多いと感じる一方で、呼吸器専門医が少なく、専門的医療が十分に行き届いているとはいえない課題も感じている。地域のドクターと連携し、呼吸器診療のレベル向上に少しでも貢献していきたい。