札医大の研究室から(26) 木村眞司教授に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)

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 道内でも海外からの観光客や移住者が増えている中、医療に携わる人たちにとっても英語がますます重要になっている。札幌医科大学で英語を指導する木村眞司教授に、講義での工夫や今後の目標などを聞いた。(聞き手・安藤有紀)

木村眞司(きむら・しんじ)

1964年小樽市生まれ。89年札幌医科大学卒業。研修医として横須賀米海軍病院に勤めた後、米国ユニオン病院で3年、
ミネソタ大学病院で2年勤務。2000年札幌医大地域医療総合医学講座助手となり、17年4月から現職。

札医大の研究室から(26) 木村眞司教授に聞く 2018/11/9

安藤:担当している講座は。
木村:医学部1・2学年の「医学英語」などのほか、今年度から病院の職員やボランティアを対象に月1~2回の英会話教室も開いている。

安藤:高校英語との違いは。
木村:将来の現場で使える実用英語を狙いとしている。読む、聞く、書く、話すの4技能すべてを取り入れるようにしている。

安藤:講義で心掛けていることは。
木村:学生を飽きさせないこと。入学したての学生は医療の勉強に意欲的だが、実際に臨床医学に携わるのはまだまだ先。学ぶ意欲を途切れさせないよう、患者さんの症例などを写真も見せながら英語で説明する。

安藤:英語は医療現場でどう役立つか。
木村:世界標準の医療を行うためには、英語で書かれた医学書や論文、オンラインデータベースの資料を読めなくてはならない。研究者は英語の論文を読み、書き、発表できなくてはならない。いい臨床医学者・研究者になるために英語は欠かせない。海外からの観光客や定住者の増加に伴い、海外の患者さんも増えている。医師が英語で対応できれば、患者さんの安心にもつながる。

安藤:今後に向けて。
木村:専門教育とシンクロした指導を行いたい。海外のゲストスピーカーによる講義なども取り入れたい。

安藤:ネットを使った学習会を長い間続けているが。
木村:私はへき地医療を志して医師になった。どこにいても医師が情報を得られる体制が必要と考え、2004年から学習会を開催し、延べ1000回を超えた。週に2回、朝7時半から30分間インターネットで全国の医療機関などをつなぐ。講師は持ち回りで、年に約100回実施。自由参加だが、毎回約120ヵ所、約400人が参加する。ライフワークとして続けていく。

安藤:十勝の住民へ一言。
木村:海外からの観光客や定住者に対応できる体制が医療機関にも求められている。日本はその面で大きく出遅れている。韓国や中国、ロシアなど近隣国の言語に対しても、病院内の表示や通訳の配置など体制を整えるべきだ。医療人自身も英語や近隣国の言語を学ぶことが今後さらに重要になるだろう。

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  • 経営企画課企画広報係