整形外科学講座 山下敏彦教授らが滑膜肉腫へのペプチドワクチン療法による研究成果発表

整形外科学講座 山下敏彦教授らが滑膜肉腫へのペプチドワクチン療法による研究成果を発表

~世界初の取り組み~ 骨肉腫に対するペプチドワクチン療法の臨床試験を開始

(概 要)
  札幌医科大学整形外科学講座(山下敏彦教授)は、骨肉腫に発現する特異的な抗原ペプチド(PBF)を世界で初めて同定することに成功しました.
  同講座の和田卓郎准教授の研究グループは、同大学病理学第1講座(佐藤昇志教授)と協力して,このPBFを用いたワクチン療法を開発し,世界に先駆けて骨肉腫に対するペプチドワクチン療法を平成20年4月から開始しています.
  同講座ではすでに,滑膜肉腫に対するワクチン療法の臨床試験を実施し,腫瘍縮小などの効果が確認されています.これらの研究成果は,日本がん学会等で発表されます.
また,Cancer Research, Journal of Immunologyなどの国際ジャーナルに論文が掲載されました.

(ポイント)
ペプチドワクチン療法は腫瘍細胞が作る目印の蛋白質(抗原ペプチド)を投与し,生体内のリンパ球を活性化することで腫瘍を縮小させる新しいがんの治療法です.副作用が少ないのが利点です.私たちは骨肉腫が作るPBFという抗原ペプチドを世界で初めて同定しました. 世界に先駆けて骨肉腫に対するペプチドワクチン療法の臨床試験を行っています.

(研究の背景)

  骨肉腫は10代の子供の膝周囲に多く発生する骨のがんです.手術,抗癌剤,放射線照射を行っても,再発や肺転移を起こして不幸な転機をとる患者さんが多くいます.現在,このような患者さんに対する有効な治療法はありません.私たちは新しい治療法としてワクチン療法の開発に取り組んでいます.

(成果の概要と意義)
  私たちはこれまで滑膜肉腫に対して,新しい抗原ペプチドを同定し,それを投与するワクチン療法の臨床試験に取り組んできました.手術で腫瘍が取りきれない,抗癌剤が効かない滑膜肉腫の患者さんにワクチンを接種し,腫瘍の縮小や,生存期間の延長などの効果が得られました.また,抗癌剤に比べ副作用が少ないのが大きな利点です.

(今後への期待)
  骨肉腫のワクチン療法においても,滑膜肉腫と同様の効果が見込まれます.

○また、本成果は次のメディアに掲載されました。

発行日:

情報発信元
  • 札幌医科大学医学部整形外科学講座