手術支援ロボット「Da Vinci(ダビンチ)」による大腸がん手術症例見学施設に認定 ~ 北海道・東北エリアで初 ~
札幌医科大学附属病院(病院長:山下 敏彦、診療科数:26、病床数:938)は、このたび、手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)サージカルシステム」(以下、ダビンチ)による大腸がん手術の症例見学施設に認定されました。
ダビンチ手術を始める医師は、ダビンチを製造販売するインテュイティブサージカル社が、厚生労働省のガイドラインに基づき各関連学会の承認のもとに提供する教育プログラムを履修することが求められています。その一環として同社は、各領域でのダビンチ手術において一定以上の技術を有する医師を、症例(手術)見学プログラムの指導医に認定しており、このたび、当院消化器・総合、乳腺・内分泌外科(第1外科)の竹政(たけまさ) 伊知朗(いちろう) 教授が同認定を受けました。また、この認定にあたっては、医師のみならず、チーム医療としてダビンチ手術を安全かつ適正に運用していることも要件となっており、同手術における当院スタッフの習熟度とチームワーク、および他施設からの医師の受け入れ体制の整備等のポイントが評価され、症例見学施設として認定されたたものです。ダビンチによる大腸がん手術の症例見学認定施設としては国内で4施設目、北海道・東北エリアでは初となります。
竹政教授は、これまで2500例以上の大腸がん手術の経験があり、2013年からダビンチによる直腸がん手術にとりくみ、現在までに60件を実施しています。ダビンチ手術は、執刀医が高倍率3次元HD画像で術野を確認しながら、人間の手よりも可動域が広く、手振れ補正機能を備えた鉗子を操作して行われるため、通常の腹腔鏡手術に比べより精緻な手術が行えること、また、開腹手術に比べて傷や出血が少ない低侵襲手術であることから患者の術後の社会復帰が早いことなどがメリットとされており、当院においても2014年から導入しています。消化器・総合、乳腺・内分泌外科(第1外科)では、さらに低侵襲性を追求し、通常6ヶ所必要となる切開部分も3—4ヶ所の小さな切開にとどめる方法を開発し、痛みが少ないだけでなく整容性にも優れる方法として、国内外から注目を集めています。
今回の認定について、竹政教授は次のように述べています:「直腸がん手術は難易度が高く、術者や施設によって治療成績が大きく異なります。これは、これまでの手術機器では狭い骨盤腔内での操作に限界があることを示しています。一方、ダビンチ手術では、通常の腹腔鏡手術では到達しにくいような肛門近くの奥深い直腸でも容易に到達できる利点があり、根治性が高いだけでなく、排便・排尿・性機能などの機能温存の追求、および高い整容性と低侵襲性が期待されます。ダビンチ手術が普及することで、北海道・東北エリアの直腸がんの患者さまには大きなメリットがあると思います」。今後、当院は、ダビンチ大腸がん手術のエキスパート施設のひとつとして、ダビンチ執刀医の養成と、ダビンチによる大腸がん手術の普及に尽力してまいります。
- 札幌医科大学附属病院について
- 竹政 伊知朗 教授プロフィール
1994年 6月: 国立大阪病院 外科
1998年 6月: 大阪大学大学院医学系研究科 病態制御外科
1999年 4月: 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス科
2002年 4月: 法務技官医師
2004年 6月: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科 助手
2010年 4月: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内視鏡センター 副センター長
2014年 4月: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科 診療局長
2015年 4月: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科 講師
2015年 11月: 札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 教授
- ダビンチ手術について
ダビンチ手術の安全性と有効性は、数千を超える論文に述べられており、開腹手術に比べて、入院期間の短縮、出血の抑制、合併症リスクの低減、鎮痛剤投与量の低減、より早い回復、切開部が小さく傷痕を最小限に抑えられる、等の利点があることが示されています。
※ロボット支援手術を含め、すべての手術はリスクを伴います。入院期間の延長、予定外の入院、または再手術が必要になる場合もあります。
札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 西舘敏彦 メール:nisidate☆sapmed.ac.jp(☆を@に変えて送信してください) 電話 011-611-2111(内線32810) 取材に関しての連絡先: 病院課 今泉 電話 011-611-2111(内線31420) |