【研究発表】男性注意 少量・短期飲酒でも特発性大腿骨頭壊死症の危険性
【研究発表】男性注意 少量・短期飲酒でも特発性大腿骨頭壊死症の危険性
<研究の概要>
厚生労働省の難治性特定疾患に指定されている特発性大腿骨頭壊死症はその誘因によりステロイド関連、アルコール関連に分類される。長期飲酒や多量飲酒がアルコール関連特発性大腿骨頭壊死症の危険因子と報告され、男性患者数が女性患者数の8倍多いと報告されている。このことから、男性患者の方がより長期・大量飲酒をしていることが考えられるが、その実態は明らかとなっていない。
今回、我々が確立したアルコール関連特発性大腿骨頭壊死症ラットモデルを用いて、アルコール関連特発性大腿骨頭壊死症の発生における性別と飲酒量、飲酒期間の関係を明らかとした。
<研究のポイント>
・アルコール関連特発性大腿骨頭壊死症ラットモデルを用いて性別と飲酒量、飲酒期間の関係を
明らかにした
・一ヶ月間の飲酒ではオスラットでのみ大腿骨頭壊死の発生を認めたが、
オスラットの飲酒量はメスラットより少量であった
・メスラットではオスラットの5倍の長期飲酒においても大腿骨頭壊死は発生しなかった
・オスの方が少量・短期飲酒でアルコール関連特発性大腿骨頭壊死症の危険性が高い
<研究の背景・実施期間など>
特発性大腿骨頭壊死症は推定で毎年2000名あまりの方が発生するとされ、そのうちおよそ600名がアルコールに起因するものと推定されています。アルコール関連特発性大腿骨頭壊死症は長期飲酒、大量飲酒によって男性に多く発生すると考えられていますが、その実態は明らかでなく、その非外科的治療法も確立されていません。
<研究の意義・これからの可能性、今後への期待、今後の展開など>
世界的にアルコール関連疾患は増加していると考えられています。アルコール関連疾患を防ぐには、適度な飲酒を心がけることが重要です。今回の研究結果からは、男性は女性と比較し短期・少量でも大腿骨頭壊死が発生しやすいと考えられ、暴飲・痛飲に注意がより必要と考えられます。また、臨床では女性患者さんも多くいますので、女性も節度ある飲酒を心がけ、アルコール関連疾患を防ぐことが重要です。
<論文発表の概要>
題名:Susceptibility of males, but not females to developing femoral head osteonecrosis
in response to alcohol consumption
著者:Junya Shimizu 1),2), Shunichiro Okazaki 2),3), Satoshi Nagoya 1), Nobuyuki Takahashi 1),2),
Kumiko Kanaya 1), Keisuke Mizuo 2), Hideki Hyodoh 2), Satoshi Watanabe 2), Toshihiko
Yamashita 1)
所属:Department of Orthopedic Surgery 1), Department of Legal Medicine 2), and Department of
Musculoskeletal Biomechanics and Surgical Development 3), Sapporo Medical University
掲載誌:PLOS ONE
※アメリカ東部時間 2016年10月27日14時0分 公表予定(日本時間 2016年10月28日3時0分)
【お問い合わせ先】
札幌医科大学 医学部 整形外科学講座 診療医 清水淳也
※連絡先電話番号・メールアドレスは、上記PDFに掲載。