札医大の研究室から(51) 井戸川雅史准教授に聞く

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井戸川先生
医学部付附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門 井戸川雅史 准教授
 井戸川雅史(いどがわ・まさし)

 1972年音更町生まれ。音更小、音更中、帯広柏葉高、札幌医科大学医学部卒。2002年同大学院修了。国立がんセンター研究員、札幌医科大学附属がん研究所助教などを経て、14年同フロンティア医学研究所ゲノム医科学部門講師。21年より現職。がん・ゲノム研究に携わりプログラミング能力を活用している。
 新型コロナウイルスの発生から約1年半。当初は国別の感染者数のみしか報道されておらず、人口規模での比較が難しかった。そこで札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所・ゲノム医科学部門では人口100万人あたりの感染者数・死亡者数推移をグラフ化し、昨年3月からウェブサイトで公開。十勝出身でグラフ作成者の井戸川雅史准教授に話を聞いた。(聞き手・安藤有紀)
安藤 グラフ作成の経緯は。

井戸川 昨年3月ごろ、ヨーロッパで感染者数が非常に増えた。ただ、報道で出ているのは感染者の実数のみで規模感がわかりづらく、渡航制限の重要性なども伝わりづらかった。人口あたりで計算した情報が必要だと研究者の間では言われており、自分もデータを作るようになった。そのデータを一般にも活用してもらおうと公開した。

安藤 グラフの特徴は。

井戸川
 ジョンズ・ホプキンス大公開の193カ国のデータをもとに、人口100万人あたりの感染者数・死者数をグラフ化したものだが、表示する国を選べるなど、使う人がカスタマイズできるようにした。国や都道府県で比較しやすく、感染者数とワクチン接種率、死者数と高齢化率なども把握できるようにした。
 当時は人口あたりの感染者数がまだ政府の指針になっておらず、情報がまとまったサイトもなかったので、リリース後に新聞社やテレビ局などから多くの問い合わせがあった。

安藤 最近の感染状況をどう見ているか。

井戸川 7月から全国的に感染者が増え、道内でも札幌を中心として感染拡大している。道内では昨年11月と今年5月にも感染者が急増し、約2~3週間後に重症者数や死亡者数が増加した。今回は感染者数が増加しているものの重傷者数や死亡者数は大きく増えておらず、過去2回とは動きが異なっている。
 感染者の内訳をみると高齢者が減少傾向にあり、ワクチン接種による感染抑制効果が出ている。ただ、ワクチンは感染を完全予防するものではない。感染力の高いデルタ株が増えており重症化する可能性もあるので、若い世代も注意してもらいたい。

安藤 道内で死亡者が多い要因は。

井戸川 昨年11月の感染拡大時は、高齢者施設や病院でクラスターが多数発生した。基礎疾患のある方も多く、重症化や死亡者が増えた。5月にはベッドや医療機器が不足し、医療ひっ迫の状況に陥った。死亡者を増やさないためには、クラスターを抑える、医療ひっ迫を起こさないことの2つが重要。感染者の多い地域との往来を控えるなど確実な対策が求められる。

安藤
 今後について。

井戸川 コロナが収束するまでは情報発信を続けていく。研究者だけではなく個人の方にも利用してもらい、感染状況の把握や対策・行動に役立ててもらえれば。研究テーマであるがんやゲノム解析を通じて、今後も道民・十勝の皆様に還元できるような仕事をしていきたい。

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発行日:

情報発信元
  • 経営企画課企画広報係