地域作業療法学

領域紹介 -地域作業療法学

私たちが住む地域社会は子どもから高齢者まで、病気や障がいをもったかたなどいろいろな人で構成されています。地域作業療法では、予防という立場から将来支援が必要になる可能性がある元気なかたも含め地域に暮らすすべてのかたを対象に、たとえ介助が必要となっても住み慣れた地域での生活が続けられるための援助をおこないます。自宅での入浴や家事動作の練習、福祉用具や住宅改修など生活環境への支援、健康増進や疾病予防という観点から健康教室の企画など、幅広く地域全般を支援する視点での取り組みを考えていきます。

教員紹介

作業療法学科 講座・教員紹介

講師 横山 和樹

高校生へのメッセージ

作業療法の利点は、対象者の病気や障がいだけではなく、その人がもつ強みや生きがいに着目した支援ができることだと考えています。あらゆる方々がこころを健康に保ち、充実した地域生活を送れるように、札幌医科大学で一緒に学びませんか?

研究テーマ(教育活動、社会貢献活動

1 実践的な授業

市内の福祉用具展示場を利用した福祉機器の使用体験、模擬的に障害を仮定しての片手調理演習、一級建築士を講師に住宅改修の図面作成など実践的な教育を取り入れています。
授業の様子の写真1
福祉展示場での体験学習
授業の様子の写真2
片手調理演習(左手で包丁使用)

2 地域在住高齢者に対するコホート研究

北海道内で地域生活を送っている高齢者を対象に「あたまとからだの測定会」を定期的に実施しています。その中で、身体機能・認知機能・生活機能・社会参加の状況・意味のある作業への従事などの状況を調べ、介護予防やフレイル対策、認知症・うつ病の予防などの方略を量的に探索しています。

3 ピアサポ—トの研究

ピアサポートとは「同様の経験をもつ人同士の支え合い」のことで、身体障がい、精神障がい、知的障がい、発達障がい、高次脳機能障がい、難病など、あらゆる領域でその活動が報告されています。作業療法の中でも、当事者同士のつながりをサポートすることが重要だと考え、ピアサポートを通して当事者のもつ力を最大限に生かす方法を探索しています。また、当事者が自身の病気や障がいの経験を生かして働ける社会を目指し、障害福祉サービスを対象とした実態調査を行なっています。

4 若年性認知症の人や家族に対する支援の研究

若年性認知症は65歳未満で発症する認知症のことです。若年発症が故に本人や家族の仕事や家庭生活に多大なる影響をもたらすため、症状や進行を考慮した切れ目のない支援を進める必要があります。北海道若年認知症の人と家族の会と連携・協働をして、リハビリテーションの視点を在宅で応用させるための方法、生きがいや就労を継続させるための支援などを検討しています。

5 独居高齢者における認知症の初期症状の早期発見・介入に向けた研究

北海道内の過疎地域で一人暮らしを送る高齢者は、必要な資源やサービスが届きづらい、健康問題に気づきづらいなどの問題があります。このような高齢者に対して、見守り支援システムに搭載されたAI画像分析を応用し、認知症の行動・心理症状を自動判定した上で、遠隔的に介入をするシステムを開発することを目指しています。
この研究は、2024年度 競輪の補助を受けて実施しています。