令和4年 塚本理事長・学長による年頭挨拶

令和4年 塚本理事長・学長による年頭挨拶

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塚本理事長・学長による年頭挨拶
塚本理事長・学長による年頭挨拶
塚本理事長・学長による年頭挨拶
塚本理事長・学長による年頭挨拶
 令和4年(2022年)1月4日、札幌医科大学臨床講堂において、塚本泰司理事長・学長から、学内教職員に向けて、新年の年頭挨拶がありました。
 以下に、塚本理事長・学長からの年頭挨拶を掲載します。

【年頭挨拶】
 札幌医科大学の教職員の皆さん、明けましておめでとうございます。
 今年こそは新型コロナウイルス感染症が終息し、札幌医科大学と関係する皆さんばかりではなく、すべての方々にとっても良い年であることを、改めて願いたいと思います。
 昨年9月以降、デルタ株による感染者数は全道的、全国的にも減少し、この年末年始は感染状況が落ち着くと期待していたのですが、そうはなりませんでした。11月からのオミクロン株の出現により感染状況は厳しさを増しています。また、デルタ株の増加傾向も大いに気になるところです。附属病院では医療従事者に対する3回目のワクチン接種も開始されましたが、オミクロン株に対する的確な対処方法の確立にはもう少しエビデンスが必要です。今まで通り標準的な感染予防対策を確実に実施することが欠かせません。

<新型コロナウイルス感染症に対する本学の地域への貢献>
 本題に入る前に「新型コロナウイルス感染症に対する本学の地域への貢献」についてぜひ触れたいと思います。
 皆さんもご存知のように、ここ2年間にわたり、病院長をはじめとする本学の教職員の皆さんの貢献には非常に大きなものがありました。これを可能にしたのは、本学の底力である、①患者受け入れに対する使命感、②病院上層部のリーダーシップ、③検査部、感染制御部の積極的なサポート、④救命救急センターの蓄積された知見、⑤広域災害への当事者意識、これらが余すところなく発揮されたと思います。
 附属病院は、新型コロナに感染した重症及び中等症の患者さんを中心に、2021年12月末の時点で700名以上を受け入れ、治療を行いました。附属病院の外でも本学の教職員が多方面にわたり医療支援を主導してきました。この病院内外の活動は、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」という建学の精神をまさに実践したものと、あらためて、関係の皆さんの努力に敬意を表します。

<本学の課題>
 さて、私の理事長・学長としての任期は本年3月までですので、今回が教職員の皆さんへメッセージを直接伝達できる最後の機会となります。そこで、少しの時間をいただいて、この6年間で私なりに考えた今後の大学の課題について触れたいと思います。

<本学を取り巻く環境>
 最初に、本学を取り巻く環境から話をスタートします。
 国立大学法人がこの4月から中期目標・計画の第4期目に入りますが、その内容が今回大きく変化しています。この変化がなぜ重要かというと、本学も3年後に第4期の中期目標・計画に入りますので、参考になる点が大いにあると思われるからです。
 第4期目に向けての目玉は、国立大学法人と国との新たな関係構築です。両者の関係は、今後は「自律的契約関係」であるとされています。4期目からは、各大学は国立大学法人に求められる役割・機能から、自らが判断して大学としてふさわしい項目を選択し4期目の目標とするということになります。
 それでは、どういう役割・機能が提示されているのかということを示したのが、中期目標大綱の案です。この中に示されている25項目の役割・機能から自分の大学のミッションに合致すると思われるものを選択し、数値を含めた目標を設定するという仕掛けになっています。教育・研究に直接関係する事項は20項目です。
 本学の第4期の中期目標を策定する際には、以上のような点が参考になるかもしれません。

<本学の将来に向けて>
 以上を踏まえ、大学の将来に向けてこの6年間に感じたことを4点述べたいと思いますが、全体として、これまで継続してきたことの検証が必要な時期と考えます。

 1つ目は、常々、法人としての6年間の中期目標の設定の他に、その元になる大学としての長期の目標が必要と考えてきました。第4期の中期目標を策定する前に10年以上の期間を見据えた長期目標を設定することの必要性です。本年度内に長期目標のたたき台を作ることができればと考えています。その上で次期理事長・学長を中心にそれをさらに検討し最終案を作成する。そうすれば第4期中期目標策定にも大きく資すると考えます。
 長期目標の中には、本学の将来構想として考えておかなければならない重要な点があります。皆さんもご存知のように、大学受験者数の減少により、国立大学同士あるいは公立大学、私立大学との統合が進んでいます。国立大学同士では北海道でもその例があります。東海地区での名古屋大学と岐阜大学の例もあります。本学が今後10年、20年とこのまま単独の大学として生き残ることができるのかどうかは、誰にもわかりません。他の大学とも、程度の差はあれ、何らかの連携を模索しなければならない状況が来るかもしれません。このことは、視野に入れておくべきと思われます。

 2つ目は、大学の組織機構の見直しについてです。
 平成19年の法人化以降15年が経過し、大学の組織機構が時代にマッチしていないところも散見されます。特に、それは「教育」を支えるシステムに見られると考えます。本学における「教育」、これには入学試験、教養教育、専門教育などが含まれますが、その重要性が今後一層増すことが予想されます。
 特に、現在、両学部で進行している医学あるいは看護学教育分野別評価を継続的に担当する責任者と、その責任者が中心となって関連する業務を担う組織体制の構築が望まれます。例えば教育担当副学長あるいは学長補佐などとして、現在の医学部長、保健医療学部長、医療人育成センター長をこのような立場に充て教育に専念できる組織体制を構築する。このことは、それぞれの学部における「教育」を主体的に担えるポジションを考慮すること、これが不可欠であるという認識にほかなりません。
 研究分野においては、研究を担当する教授を別に置き、大学の基礎及び臨床研究を統括する。
 また、医療担当として附属病院長を充てることは当然必要となります。

 3つ目は、研究についてです。
 これまでと同様に総合大学とは異なる観点からのアプローチが望まれます。すなわち、本学の特長を生かした研究、特に基礎講座と臨床講座との連携、医学部と保健医療学部との共同研究の推進を一層強化することが必要です。
 しかしこのことは、単に学位を取らせるだけのものであってはなりません。将来につながる研究がその研究室で生まれてくる可能性を保持し続けることが重要です。言うは易く行うは難いことですが、それがなければ単なる自己満足に過ぎません。
 基礎研究及び臨床研究を含め、今後、研究を進めるにあたっては、外部資金の獲得が大きなポイントです。これまで、本学は、その規模に対して、多くの外部資金を獲得してきましたが、これはひとえに関係の先生方の努力とその研究成果によるものです。しかし、この状態が今後も順調に経過するかどうかは予断を許しません。外部資金の獲得は今後厳しくなることはあっても容易になることは100%あり得ません。
 その意味で、現在得られている特許実施許諾料収入を原資とした資金を、今後の研究に有効に活用することを考えなければなりません。昨年からそのシステムを開始したので、これをさらに拡大する必要があります。

 最後に、臨床及び附属病院についてです。今回の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに見られたように、附属病院の地域貢献には多大なものがありました。このように、有事の際に地域に貢献できる仕組みを普遍化する必要がありそうです。これも含め現在の診療科の見直し、将来必要となる可能性のある診療科も検討の対象にすべきと思われます。

 建学の精神は時代を先取りした大きな意味を持っています。特に、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」については、この順番は極めて重要であると考えています。医学・医療の攻究の成果を地域医療に還元することが本学の使命です。
 さきほど触れたように、今後、本学が単独で存続できるのか、はたまた連携法人あるいは新大学法人を設立するようになるかどうかは不明ですが、大学の構成がどうあろうと、これまで履き続けてきた伝統のある2足の草鞋は、今後も履き続けなければ本学の将来はないと考えます。

 最後に、本学の建学の精神に則り、医学・医療の攻究を追求し、その結果を地域に還元する、ということを今後も続けていただければと思います。「医の知(いのち)の殿堂」を構築しましょう。
 本年も宜しくお願いたします。

令和4年1月4日
理事長・学長 塚本泰司


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発行日:

情報発信元
  • 経営企画課企画広報係