北海道胆振東部地震において、救急医学講座上村講師(北海道DMAT調整本部本部長)が、災害医療の司令塔として活動しました

画像スライド集

各活動拠点本部の状況についてディスカッション 副本部長の沢本先生と
各活動拠点本部の状況についてディスカッション:上村本部長と沢本副本部長(救急医学講座助教・北海道統括DMAT隊員)
医療救護調整会議 各種医療班
医療救護調整会議 各種医療班と
札幌医科大学からの自衛隊車両での転院搬送の調整
札幌医科大学からの自衛隊車両での転院搬送の調整:札幌医大看護師、自衛隊リエゾン、DMATロジスティックチーム
札幌活動拠点本部の活動内容の報告 
札幌活動拠点本部の活動内容の報告:札幌活動拠点本部の水野医師(救急医学講座助教・統括DMAT隊員)と副本部長の沢本医師(救急医学講座助教・統括DMAT隊員)
医療救護調整会議 副本部長の沢本先生と
医療救護調整会議:上村本部長と沢本副本部長(救急医学講座助教・北海道統括DMAT隊員)
厚生労働省DMAT事務局への経過の説明 DMAT事務局近藤先生
厚生労働省DMAT事務局 近藤久禎先生への経過の説明
医療救護調整会議 各種医療班
医療救護調整会議 各種医療班
DMAT活動拠点本部の活動 DMATロジスティックスチーム
DMAT活動拠点本部の活動 DMATロジスティックスチーム
医療救護調整会議 各種医療班
医療救護調整会議 各種医療班
医療救護調整会議 DMATロジスティックチーム、春名看護師
医療救護調整会議 DMATロジスティックチーム、春名看護師
 平成30年9月6日に北海道で発生した震度7の地震では、多数の死者、負傷者が発生し、長期停電となる甚大な被害をもたらしました。
 本学救急医学講座の上村修二講師(北海道統括DMAT隊員兼北海道災害医療コーディネーター)は、北海道庁に設置された北海道DMAT調整本部の本部長として、発災直後から全道DMATの司令塔としての役割を担い、いち早く活動を開始いたしました。
 まず北海道を10の圏域に分けて各拠点をカバーするDMAT活動拠点本部を各地域の災害拠点病院に立ち上げました。
DMAT組織図

○ 被害状況の把握とDMAT活動戦略の策定
 全道停電という限られた医療リソースの中、効率的な医療提供を行うため、広域災害救急医療情報システム(EMIS)に全医療機関(有床)の入力を促進し、いち早く全道の医療機関の状況を把握しました。
 広域災害救急医療情報システム(EMIS)は、医療機関と行政、関係機関との情報共有ツールとして、病院被害情報、患者受け入れ情報、避難所の情報、病院のキャパシティー、DMATの活動状況などが情報共有されるものです。

○ DMATの配置指示
 上村本部長らは、北海道DMATを各DMAT活動拠点本部と甚大な被害のあった胆振、札幌医科大学附属病院内に札幌医療圏DMAT活動拠点本部を設置しました。
 また、災害医療支援のエキスパートであるロジスティックチームを道南、道北、オホーツク、十勝、釧路・根室、札幌医療圏に派遣しました。
 ロジスティックチームは、DMATの医療支援活動を円滑に調整する役割を担い、情報通信、医薬品、医療資材、移動手段確保など行政や自治体と調整を図りました。
 特に全道停電の中、保育器、人工呼吸器患者の転院搬送が発生しており、停電医療機関の状況把握、自家発電のためのエネルギー確保、電源車の手配など、医療機関に代わって行政や自衛隊との連絡調整を図りました。

○東北DMATの応援要請 
 自家発電のエネルギー供給の難しい医療機関から、保育器や人工呼吸器患者の転院搬送が発生したため、移動車両の確保が難しくなること、またDMAT隊員のマンパワー不足が懸念されたことから、患者の転院搬送可能な車輛付きで東北DMATの応援派遣を要請しました。
 東北DMATは、患者搬送ニーズの高い、道南や札幌医科大学附属病院に設置された札幌医療圏DMAT活動拠点本部に配置することとし、その後、医療ニーズに応じて胆振へ進出されることとしました。

○まとめ
 上村本部長は、今回の活動を省みて、早い段階で東北DMATの応援派遣をいただき、DMATのマンパワーがとても充実したこと、同じく早い段階で厚生労働省DMAT事務局が投入されたことにより、北海道DMAT調整本部の機能が強化されたこと、各DMAT活動拠点本部にロジスティックチームが派遣されたことにより、各拠点において円滑で効率的な対応が可能となり、甚大な被害のあった胆振地方と都市部である札幌医療圏にDMATの資源を効率的に集中できたと評価しています。
 また、一方、色々な課題もありましたが、北海道全域がブラックアウトするという未曽有の非常事態において、EMISによる情報に基づき各病院に燃料などの物資を補給でき、二次的な死亡者を防ぐことができたことは大きな成果であるとしております。

発行日:

情報発信元
  • 経営企画課企画広報係