AMED 平成31年度 「免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)」に採択! 医学部消化器内科学講座 仲瀬教授らの研究チーム

 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成31年度 「免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)」に、医学部消化器内科学講座 仲瀬裕志教授らの研究が採択されました。

採択内容(AMEDサイトより抜粋)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、平成31年度「免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)」に係る公募(2次公募)について、本事業の課題評価委員会において厳正な審査を行った結果、下記のとおり採択課題を決定いたしました。

採択課題
1-B. 【免疫疾患領域】診療の質の向上に資する研究(患者実態調査~基盤構築研究)
平成31年度 「免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)」

研究概要は次のとおりです。

家族性地中海熱関連腸炎の診断法確立と病態解明を目指す研究

消化器内科学講座 教授
医学部消化器内科学講座 教授 仲瀬裕志

潰瘍性大腸炎やクローン病をはじめとする炎症性腸疾患(IBD)の本邦患者数は増加の一途をたどっています。本疾患は、若年者に多く発症し、生涯治療の継続が必要とされる難治性疾患のため、原因解明、適切な診断・治療法確立が必須です。現在、IBD病態に関与するTNF-ɑ, IL-12/23p40に対する抗体治療が行われていますが、治療不応患者も存在します。このことから、IBD患者の中にTNF-ɑ, IL-12/23p40以外の炎症性サイトカインが病態の主軸となる患者の存在が示唆されています。
インフラマソームは、炎症性サイトカインの1つであるIL-1β産生を制御する細胞内のタンパク質複合体です。インフラマソームの活性化異常は種々の疾患発症に関与し、その1つに家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever: FMF)が存在します。FMFは周期性発熱と漿膜炎を特徴とする遺伝性炎症性疾患(責任遺伝子:MEFV遺伝子)です。現在まで、本疾患に合併する腸管病変の検討は皆無に近い状況でした。2012年、我々のグループは既存治療抵抗性の腸炎患者がMEFV遺伝子変異を有し、インフラマソーム活性化を抑制するコルヒチンの投与で寛解に至った症例を報告しました(Lancet 2012)。このことから、IBD患者群にはMEFV遺伝子変異を有し、コルヒチンのみで寛解するFMF関連腸炎群が存在する可能性が高いと考えられます。現在まで、MEFV遺伝子変異に伴う消化管粘膜障害(IL-β腸炎)について国内外での研究はほぼ行われてはいません。

今回、AMEDの支援を得て、All Japan体制でFMF関連腸炎の診断基準の確立および病態解明に取り組みます。研究の独創性は極めて高く、消化器病診断学の発展に貢献するものと期待されています。本研究成果を広く国民に向け発信し、IBD患者さんのQOL向上を目指します。

発行日:

情報発信元
  • 経営企画課 広報