公的研究費等の不適切な経理に関する調査結果について
平成24年8月22日
公的研究費等の不適切な経理に関する調査結果について
各位
北海道公立大学法人札幌医科大学
本学における公的研究費の執行において不正使用による会計処理が発生し、このたび調査が終了しましたので、ご報告いたします。
1 概要
平成23年8月19日付けで文部科学省から、公的研究費の不適切な経理について調査の通知があり、学内及び取引業者を調査した結果、過去に預け金があったことが確認されました。
2 調査結果
調査の結果、取引業者1社から「預け金が有り」との報告を受け、関係講座に対して調査を行った結果、次のとおり預け金を確認しました。
(1) 事案1
医学部講座において同講座の教授が、平成17年度及び18年度に複数の研究費の一部を「預け金」として業者に管理させ、平成20年4月から平成22年5月にかけて研究用消耗品の購入等に充てていた。
判明した預け金の額は1,959,615円で、次のとおり文部科学省及び厚生労働省の科学研究費等を財源としたことが判明した。
研究費の種別 | 件数 | 預け金 |
文部科学省科学研究費補助金 | 5件 | 1,112,500円 |
厚生労働省科学研究費補助金及び委託費 | 3件 | 847,115円 |
合計 | 8件 | 1,959,615円 |
医学部講座において、平成15年度以前につくられていた「預け金」について、平成20年初めに業者から預け金が残っているとの連絡を受け、同講座の教授が研究用消耗品の購入に充てた。
判明した預け金の額は113,190円で、財源については本学及び業者ともに当時の資料が既に無いことなどから、確認することができなかった。
(3) 私的流用
それぞれの事案において、預け金で研究用消耗品を購入した際の納品伝票が講座に残されており、これを確認した結果、預け金は全て研究用消耗品の購入等に充てられており、私的流用は認められなかった。
3 預け金の財源となった研究費の取扱い
文部科学省及び厚生労働省に調査結果を報告するとともに、預け金の財源となった研究費の返還を申し出ています。
4 関係者の処分
次のとおり関係職員を処分しました。
事案1 医学部 教授(60歳代)
処分内容:減給
処分理由:公的研究費の一部を預け金として使用するなど、金品の不適切な処理を行った。
医学部 講師(50歳代)
処分内容:厳重注意
処分理由:預け金への関与は認められないが、科研費の管理、執行に関し不適切な取扱いを行った。
事案2 医学部 教授(50歳代)
処分内容:訓告
処分理由:過去につくられた財源不明の預け金を使用するなど、不適切な処理を行った。
5 再発防止
本学において再びこのような不正行為が行われることがないよう、教職員に対して職員倫理の向上や研究費の適正使用に関する意識啓発を行うほか、物品の検収をはじめとする財務会計規程及び不正防止プログラム等の周知徹底を図ってまいります。
【 学長コメント 】
このたび、本学医学部の教員による公的研究費の不適切な経理が行われていたことが判明いたしました。本学に対する皆様の信頼を裏切ることとなり、心からお詫び申し上げます。
本学ではこの度の事案が判明した時点で実態調査を進めるとともに、不正調査委員会を開催して審議を行い、先般、文部科学省及び厚生労働省に調査結果及び再発防止策を報告し、併せて、預け金の原資となった研究費の返還を申し出ております。
本学ではこれまで、教職員に対する倫理や財務会計に関する研修を行ってきたほか、法人化後においては利益相反管理規程や不正防止プログラムを制定するなど、研究費の適正使用に努めてきたところですが、研究費の預けが行われていたことは、法人化以前のこととはいえ極めて遺憾なことであります。
公的研究費を交付された研究者は、研究費が貴重な税金によるものであることを自覚し、決められたルールに基づいて適正に使用しなければなりません。
このたびの不祥事を真摯に受け止め、かかる事態が二度と発生することのないよう、研究費の適切な管理、執行はもとより倫理の向上を図り、皆様の信頼を一日も早く取り戻せるよう教職員一同、業務に精励してまいる所存です。
北海道公立大学法人札幌医科大学 学長 島 本 和 明