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「ホケガク」ってなに?/「看護」とは

case2:がんで治療を受ける人への看護


 看護師はがん看護の専門的な知識と技術をもち患者さんとそのご家族の意思を尊重しながら治療と生活を支えます

 

 がんは、日本の死亡原因のなかで最も多く、子どもから高齢者まで患う可能性があります。がんが発見され、診断、治療をおこなう際、がん患者さんとそのご家族は今までのような生活を送ることが難しくなる可能性があります。看護師はがん患者さんとそのご家族がどのように生活を送っていけばよいか共に考える役割があります。

 

 例えば、手術を受ける場合は手術方法の選択や手術日程の決定、入院中のご家族のサポートについて確認し調整を行わなければなりません。患者さんのがんの部位、進行度、症状を総合的に判断し、患者さんの意思を考慮し決定していくことが重要です。がん患者さんのなかには手術に対する不安を抱える人も少なくありません。看護師はがん患者さんの具体的な不安内容を知り、心理状態を考慮したうえで手術後のイメージができるように模型を一緒に確認するなどの不安の緩和を行います。

 

 薬物による治療である化学療法の場合は、時に嘔吐や脱毛といった副作用を伴うことがあります。そのため、看護師は患者さんと自宅から病院に通院する方法がよいか、入院した方がよいかなど身体状態と生活の状況を合わせて考えていきます。特に病院に通院する方法を選択した患者さんとは、薬の効果の持続時間を踏まえて通院時間を決定し治療が生活に支障をきたさないように提案します。

 

 吐き気で食欲がない患者さんにはがん治療で免疫が低下するため免疫機能を高めるような食事内容の検討や、薬の服用時間を考え食べる量を増やせるように食事時間を変更するなど食生活のリズムを整えます。そして、においにより吐き気が誘発されないように病院のなかの空気を清潔に保つ工夫をします。脱毛した患者さんは髪の毛が抜けたことにより、周りの目を気にしてしまい社会生活に支障をきたすことがあります。そこで看護師は学校、仕事、家庭などの状況を踏まえてウィッグの紹介などを行い、今までの生活が送れるような提案をします。

 

 がん患者さんはがんが発見され、診断、治療を行うなかで長い過程を辿ります。特にがんが発見され告知を受けた患者さんや化学療法により副作用が出現した患者さんは心が揺らぎます。看護師はがん患者さんとご家族が、今どのような心理状態にあるのか的確に判断し段階にあわせた関わりを行います。

 

 以上のように看護師は患者さんの入院中・退院後の生活を支えるために様々な援助を行います。がん治療は長期間に及ぶこともあるため、がん患者さんとご家族のライフスタイルの変更を検討してなければならない場面もあります。看護師は、身体的、心理的、社会的なケアを行うのと同時に、治療と患者さん・ご家族の生活を両立できるように支援します。がん看護のなかでも専門的な知識を得たがん看護専門看護師や、痛み・化学療法などを専門とした認定看護師の資格があります。専門看護師や認定看護師は、看護専門外来を開設し、がん相談外来*などを担当していることもあります。

 

*がん相談外来は札幌医科大学附属病院でも開設されています。
 (http://sapmed-kango.jp/outpatient/)