理事長・学長室だより -2号- 平成28年6月2日発行

理事長・学長室だより

理事長・学長 塚本 泰司

はじめに

 6月に入り、初夏を思わせる気候となってきました。新年度が始まり2ヶ月が過ぎましたが、新入生の皆さんも学生生活に慣れ始めたところだと思います。
 さて、4月14日、16日に発生した熊本地震では熊本県および大分県に大きな被害が発生しました。被害にあわれた両県の皆様に心からお見舞い申し上げます。今なお自宅外で生活されている皆様が一刻も早く通常の生活に近い状態に戻れることを願っております。
 
それでは、最近の本学の動きをお知らせいたします。

平成28年度札幌医科大学入学式を行いました

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入学式のようす
 4月8日に札幌プリンスホテル国際館パミールで本年度の入学式を執り行いました。
 当日は前日からの雨もあがり4月にしては比較的暖かな晴天の中での、門出に相応しい日よりとなりました。  
 本年度は両学部、大学院の両研究科、助産学専攻科を合わせて、総勢285名の新入生を迎えました。皆さんの入学を心からお祝いいたします。特に、両学部に入学された皆さんは、今後4年間あるいは6年間の学生生活を通して将来の医療人として相応しい基礎を身につけてください。 この基礎が、将来の皆さんの飛躍を約束する原動力になるはずです。
 また、大学院両研究科、助産学専攻科の皆さんには、現在の実力をさらに高め、建学の精神の1つである「医学、医療の攻究と地域医療への貢献」をより一層確かなものにすることを期待しております。
 入学式には山谷北海道副知事、遠藤北海道議会議長、長瀬北海道医師会会長をはじめとする御来賓の方々、また多くの皆様に御出席いただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

熊本地震へ本学DMATチームが派遣されました

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札幌医科大学DMAT派遣
 冒頭でも触れましたが、熊本県、さらには大分県を未曽有の地震が襲いましたが、活断層の動きが原因とのことです。淡路・阪神大地震でも断層の「ずれ」の関与が報じられていたと記憶しております。予測が難しいとはいえ、地震への備えを改めて考えさせられる状況です。熊本地震へ対応するために、北海道からの要請を受け附属病院から4月16日にDMATチーム(医師2名、看護師2名、薬剤師1名、事務職員1名)を現地派遣いたしました。川口病院(熊本県菊池市)、阿蘇医療センター(熊本県阿蘇市)を拠点として医療支援活動を行い、4月19日に帰道したところです。関係者の皆さんのご尽力に感謝いたします。大学、附属病院としては、緊急的な災害対応について、率先して救助に参画してきたところですが、今後も迅速な対応に向け、普段の準備を怠らないようにしていきたいと考えます。
 この地震では熊本市内の医療機関の幾つかが大きく被害を受け日常の診療活動ができない状況なども報じられました。附属病院の病棟は、耐震性に関しては基準を大きく上回る堅牢な構造設計とのことですが、配管などの水回りは老朽化を免れません。今回の地震を対岸の火事とせず、建造物以外の構造にも目を向ける必要性を感じているところです。

株式会社ホリ様より本学シンボルマーク使用料の目録贈呈と同社商品の寄贈について

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株式会社 ホリ様によるシンボルマーク使用料の目録贈呈
 本学と包括連携協定を締結している株式会社ホリ様とで共同開発した「ホリ やさしいおいしさ北海道しそハスカップゼリー」が昨年4月から販売されております。無香料、無着色の自然味あふれたゼリーで、大学ではファミリーマートで販売しているほか、北海道どさんこプラザ等の土産店(JR札幌駅)などにも置かれています。是非、ご賞味ください。
 また、このゼリーの包装やカップには、本学のシンボルマークが使用されており、本包括連携協定等に基づき、シンボルマークの使用料として目録をいただきました。この使用料は、本学の教育、研究活動等に活用される予定です。
 
 なお、ホリ様には、本学の開学記念日6月25日にあわせて、附属病院に入院されている患者様に、夕張メロンピュアゼリーを寄贈いただくこととなっております。同社の本学、附属病院への御貢献に改めて感謝申し上げるとともに、今後も企業との連携事業をとおして、患者様、道民の皆様に様々な形で貢献できるよう取り組んでまいります。

最後に

水田のイラスト
 田舎者の私には、田植えが済んだ田んぼに整然と並んだ苗の光景が頭に刷り込まれています。
 田んぼに水が引き込まれ青々と育った苗が植えられると、ようやく本当の春が来た感じがします。
 種を選別し温床で苗を育て、それを田んぼに植える。そして、実りの季節を迎える。毎年繰り返される光景で別に目新しいものは何もありません。それでも温床で蒔かれる種は時代とともに進化し、今や北海道米は全国ブランドです。

 種を選別して温床に蒔かなければ秋の実りは決して来ません。研究のアイデアを考え、吟味し、試行錯誤を繰り返しながら研究を進める。まったく同じプロセスです。
 研究に携わる皆さんにとっては、10年後、20年後に実を結ぶ可能性のある研究の種を是非見つけてください。大学の役割の1つは、基礎研究、臨床研究を問わず医学・医療での問題の答えに肉薄することです。
 新入生の皆さんは、本学での学生生活を通じて、将来の医療人としての基礎をしっかりと身につけてください。