理事長室だより第38号 平成28年1月12日
皆様、新年あけましておめでとうございます。
雪の少ない暖かい年末年始で、6連休という少し短い正月休みでしたが、皆様もゆっくりと落ち着いた正月を迎えられたものと思います。皆様にとりまして、本年が実り多き年となりますよう心からお祈り申し上げます。
今年初めての理事長室だよりとなりますので、仕事始めにもお話しましたが、今年の抱負などを簡潔に述べたいと思います。
●はじめに
まずは、私自身理事長・学長就任6年目となり、3月末の任期満了を控え、理事長として、学長としての最後の年頭挨拶となります。厳しい課題も多くある中ではありますが、気を引き締めて残り3か月精進し、昨年行われた次期理事長選考の結果、4月から新しく就任される予定となった塚本泰司新理事長・学長にしっかりと引き継いで参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
●大学全体の運営にあたって
平成25年度から6年間の第2期中期計画ですが、今年で3年目を終えようとしています。第2期中期計画の中で最も重要で、期待と注目を集めるのが新キャンパス構想です。
平成26年11月に完成した、西19丁目街区の体育館・リハビリ実習施設と保育所については、いずれの施設も利用者からの評判がよく、順調に稼働しています。昨年6月からは、西17丁目街区に教育研究棟(施設Ⅰ)の工事が開始され、平成29年12月に完成する予定となっています。この教育研究棟にはフロンティア医学研究所などが移ることになっており、その後、北側で新たな教育研究棟(施設Ⅱ)と管理棟・動物実験棟の工事に入ります。また、保健医療学部棟の増築となる教育研究棟(施設Ⅲ)も、昨年の夏から工事を開始し、秋には病院西棟の増築工事も開始されました。さらに、17丁目の緑道が譲渡されたことにより、今後は教育、研究そして診療にふさわしい空間として活用できるものと期待しています。
スクラップ&ビルドにより工事を行うため、少し時間はかかりますが、ようやく具体的な新キャンパス構想が実現しつつあるところです。
特に病院西棟(増築棟)については、多くの方々の後押しもあって、今年度から工事が開始されています。病院は念願の個室の増加と、6人部屋の4人部屋化、個室ユニットの導入が図られるとともに、外来化学療法室や治験センター、リハビリセンターも整備されます。西棟完成後には、南棟、北棟、中央診療棟の改修も計画しており、これらの整備が進むことにより、診療・療養環境や利便性の向上など、附属病院が大きく変わるものと思っています。
このように、今年は医学部、保健医療学部、医療人育成センター、附属病院すべての領域で工事が行われており、外来・入院患者の皆様をはじめ、学生、教職員の方々にもご不便をおかけしていますが、完成までの間、何卒ご理解とご協力をいただけますようお願い申し上げます。
●教育・研究について
医学部では、道内で従事する医師を養成するための「北海道医療枠」が注目を集めています。一昨年4月に設置したアドミッションセンターも順調に稼働しています。
保健医療学部では、旧保育所跡地において、助産学専攻科のスペースを含めた保健医療学部棟の増築となる、教育研究棟(施設Ⅲ)の工事がすでに始まっています。保健医療学部の皆様には、完成した新しいリハビリ実習施設に加え、全員が移動する新しい教育研究棟(施設Ⅲ)と改修される保健医療学部棟に、大いに期待していただきたいと思っています。また、附属病院との協力で、リハビリテーション部での理学療法士、作業療法士の研修制度も全国に先駆けて開始し、2年目になります。一昨年4月に設置した看護キャリア支援センターも、看護学科の協力を得て、附属病院での看護師、看護学生教育を一新しました。附属病院の看護師の多くの課題も整理されつつあり、さらには本学看護学科からの附属病院への就職も大幅に伸びており、その成果がすでに見られています。
また、両学部合同のチーム医療実習の意義・大切さについては、北海道、さらに全国からも注目されているところです。文部科学省の補助金を活用した医学部の臨床実習の拡大や内容アップも、学生全員に拡大し、継続していくことが大切であると思います。
学生の留学については、中国医科大学、カナダのアルバータ大学、韓国カトリック大学と充実してきました。学生教育のグローバリゼーションという流れの中で、積極的に進めて参りたいと考えています。
学生に魅力的なカリキュラムを作り、実践することも重要と考えています。特に教養教育については、両学部の新しいカリキュラムと連携し、学生にとって魅力的な教養教育が実現できるよう、教養教育改革を推進することで、生物・物理・化学のリメディアル教育の実施や英会話の必修化も行われました。
一方、研究面では、橋渡し研究支援加速ネットワークプログラムにおいて、本学の脳梗塞、脊髄損傷の再生医療や、癌ワクチンの研究が全国的にも大きく注目され、オーソドックスなテーマを正攻法で行っていく本学の研究が高く評価されています。特に、神経再生医療は極めて良好な臨床成績で、再生医療新法により保険適用も前倒しの可能性が高まりました。昨年11月には、西19丁目で、ニプロ株式会社の再生医療研究開発センターの起工式がありました。私の理事長・学長任期中に起工式を迎えることができ、本当に嬉しく思っています。本学の多くの教室で行われている極めて優れた基礎研究・臨床研究が、今年も飛躍の年になるよう支援をして参ります。
●附属病院について
しかしながら、現時点での附属病院の今年度収支では、一昨年4月の診療報酬改訂で診療報酬は変わらず、昨年度の消費税増税、電気ガスの値上げに加え、人件費増なども重なり、大きな支出の増加となってしまいました。経営面では厳しい状況が続きますが、大学全体として可能な限りの手当てを行っていきたいと考えていますので、経営改善に向け、すべての皆様にご協力をいただきますようお願い申し上げます。
●最後に
この他にも各分野において様々なトピックがありますが、今年も新キャンパス構想をはじめとして、本学がさらに大きく前進する年になるものと思います。
今後も教育・研究・臨床と3つの分野で優れた実績を継続し、全教職員一致協力の下、北海道という地域とともに歩み、進取の精神と自由闊達な気風に溢れた魅力ある大学づくりに精一杯努めていく所存です。