平成28年(2016年)理事長・学長年頭挨拶

学長・理事長 島本和明

理事長・学長 島本 和明

 平成28年1月4日、仕事始めにあたり、本学臨床教育研究棟1階講堂において、島本 和明理事長・学長より、本学教職員に向けた年頭の挨拶を行いました。
 島本理事長・学長は、本学の施設整備構想、教育・研究などの取組や、本学の課題について話し、新年の抱負を述べました。
 年頭挨拶の内容については、次のとおりです。

—平成28年 理事長・学長年頭挨拶—

明けましておめでとうございます。

雪の少ない暖かい年末年始で、6連休という少し短い正月休みでしたが、皆様もゆっくり落ち着いた正月を迎えられたものと存じます。皆様にとりまして、本年が実り多き年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
 本日は、新年を迎えるにあたりまして、今年、そして今後の札幌医科大学の運営につきまして抱負を述べさせていただきます。


 まずは、私自身学長就任6年目で、学長としての最後の年頭の挨拶となります。厳しい課題も多くありますが、気を引き締めて残り3か月精進し、塚本新学長にしっかりと引き継いで参りたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。


 今年、平成28年は、本学におきましても、引き続いて大きな変革の年になります。
 平成25年度からの新中期計画ですが、今年は3年目を終えようとしています。私が最も力を入れて参りました新キャンパス構想は、まず、西19丁目街区の軽グラウンド跡地に体育館・リハビリ実習施設と保育所が、平成26年11月に完成しました。いずれの施設も利用者からの評判がよく、順調に稼働しております。

昨年6月から、西17丁目街区に教育研究棟(施設Ⅰ)の工事が開始され、平成29年12月に完成する予定となっています。この教育研究棟にはフロンティア医学研究所などが移ることになっており、その後、北側で新たな教育研究棟(施設Ⅱ)と管理棟・動物実験棟の工事に入ります。

また、保健医療学部棟の増築となる教育研究棟(施設Ⅲ)も、昨年の夏から工事を開始し、秋には病院西棟の増築工事も開始されました。さらに、17丁目の緑道が譲渡されたことにより、今後は教育、研究そして診療にふさわしい空間として活用できるものと期待しております。

スクラップ&ビルドにより工事を行うため、少し時間はかかりますが、ようやく具体的な新キャンパス構想が実現しつつあるところです。

特に病院西棟(増築棟)につきましては、多くの方々の後押しもあって、今年度から工事が開始されています。

病院は念願の個室の増加と、6人部屋の4人部屋化、個室ユニットの導入が図られるとともに、外来化学療法室や治験センター、リハビリセンターも整備されます。西棟完成後には、南棟、北棟、中央診療棟の改修も計画しており、これらの整備が進むことにより診療、療養環境や利便性の向上など、附属病院が大きく変わるものと思っております。

今回の大学の新キャンパス工事は、設置者である北海道により行われており、厳しい財政状況の中、ご支援をいただいている道庁、道民の皆様に感謝申し上げます。

このように、今年は医学部、保健医療学部、医療人育成センター、附属病院すべての領域で工事が行われており、外来・入院患者の皆様をはじめ、学生、教職員の方々にもご不便をおかけしておりますが、完成までの間、何卒、ご理解、ご協力をお願い申し上げます。


 さて、病院西棟増築に合わせて、中央棟につきましては、手術室改修、ハイブリット手術、ロボット手術のためのダ・ヴィンチの導入に加え、MRI2台の追加導入も行い、当初の病院計画は予定通りに完了しております。学長就任以来、大きく診療環境・就労環境を改善することができました。

これも附属病院の頑張りがあってこそのもので、今年度は、病棟薬剤師、臨床工学士、理学療法士等、病院機能充実のため、医療職を増員しております。
 医学部におきましては、新キャンパスを含む現在の中期計画への準備段階として、先端医学研究の橋渡し研究による応用を実践する場としての、フロンティア医学研究所の7部門の教授・准教授が揃い、全部門で活発な活動をしていただいております。

研究面では、橋渡し研究支援加速ネットワークプログラムにおきまして、本学の脳梗塞、脊髄損傷の再生医療や、癌ワクチンの研究が全国的にも大きく注目され、オーソドックスなテーマを正攻法で行っていく本学の研究が高く評価されています。

とくに、神経再生医療は極めて良好な臨床成績で、再生医療新法により保険適用も前倒しの可能性が高まり、昨年11月に、西19丁目で、ニプロ株式会社の再生医療研究開発センターの起工式がありました。学長任期中に起工式を迎えることができ、本当に嬉しく思っております。

多くの教室でも、極めて優れた基礎研究・臨床研究が行われております。研究面でも、今年は飛躍の年になりますよう、支援をして参りたいと存じます。

保健医療学部では、助産学専攻科も4年目を迎え、順調に推移しております。旧保育所跡地では、助産学専攻科のスペースを含めた保健医療学部棟の増築となる、教育研究棟(施設Ⅲ)の工事もすでに始まっております。

附属病院との協力で、リハビリテーション部での理学療法士、作業療法士の研修制度も全国に先駆けて開始し、2年目になります。一昨年4月に設置した看護キャリア支援センターも、看護学科の協力を得て、附属病院での看護師、看護学生教育を一新いたしました。附属病院の看護師の多くの課題も整理されつつあり、また本学看護学科からの附属病院への就職も大幅に伸びており、その成果がすでに見られているところです。
 保健医療学部が、日本を代表する保健医療学部としてさらに発展するものと期待しております。

医学部、保健医療学部共に、大幅な研究備品の整備も行われており、両学部共に新キャンパスに備えて、目的積立金のさらなる投入も視野に入れて、大きく変貌しようとしているところです。

さて、独法化に伴って、外部資金の確保が重要になってきていることは言うまでもありません。科研費が厳しい状況になってきましたが、厚生科研を合わせますと、何とか予算を確保しております。国の地域医療再生計画から、これまで3つの特設講座へ毎年約1億円を出していただいており、文部科学省の選定による事業と合わせて4つの特設講座がありますし、計5つの寄付講座もできています。

文部科学省の医学教育改革事業での2つのプログラムに加え、平成25年度から総合診療医養成を中心とした拠点形成事業が、5年間3億2000万円の予算で進行しています。グローバルスタンダードに基づく、新制度による医学教育認証を、できるだけ早く受けるためにも、学生教育、専門家教育に大きな一歩を進めてくれるものと期待しています。

また、北洋銀行様の支援によるエフエム北海道(AIR-G’)でのラジオ番組「医の力~札幌医科大学 最前線~ 」の放送は、昨年3月末に放送から3年半をもって終了しましたが、昨年7月には記念講演会も行いました。さらに、新和ホールディングス様による寄付や札幌交響楽団ロビーコンサート、北海道新聞社様との健やか北海道プロジェクトによる公開講座、ハーバー研究所様による患者メイクアップサービス、ホリ様による寄付や本学とのしそハスカップゼリーの共同開発、北海道中央バス様、留萌信用金庫様、大地みらい信用金庫様、稚内信用金庫様、十勝毎日新聞社様との連携協定事業、本学医学部卒業生で、一昨年亡くなられた小野和子様の御意志により創設した小野和子奨学金など、多くのご支援を道内外の企業、同窓の先輩からいただきつつ、大学、病院の整備と広報宣伝を行っております。


 最後に、本学が抱える大きな課題の一つに、両学部共に優秀な、質の高い学生の確保があります。
 医学部は、道内で従事する医師を養成するための「北海道医療枠」が注目を集めております。一昨年4月に設置したアドミッションセンターも順調に稼働しております。

もちろん、入学後の教育も重要です。両学部合同のチーム医療実習の意義・大切さにつきましては、北海道、さらには全国から注目されているところです。文部科学省の補助金を活用した医学部の臨床実習の拡大や内容アップも、学生全員に拡大し、継続していくことが大切であると思います。

学生の留学につきましては、中国医科大学、カナダのアルバータ大学、韓国カトリック大学と充実してきました。学生教育のグローバリゼーションという流れの中で、積極的に進めて参りたいと考えております。

学生に魅力的なカリキュラムを作り、実践することも重要と考えております。とくに教養教育につきましては、これまでも両学部の新しいカリキュラムと連携し、学生にとって魅力的な教養教育が実現できるよう、教養教育改革を推進して参り、生物・物理・化学のリメディアル教育の実施、英会話の必修化も行われました。

これらの努力が、最終的には、良い学生、研修医、医員の確保にも重要なアプローチになるものと思います。卒後研修センターの充実と活性化も大いに進めて参りたいと思います。


 本学は、今年は開基71周年、開学66周年となります。本学のさらなる飛躍のため、今年も皆様のご理解、ご支援、ご協力を、何卒宜しくお願いいたします。


平成28年1月4日
北海道公立大学法人札幌医科大学 理事長・学長 島本 和明

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