令和4年度札幌医科大学入学式 山下学長式辞

令和4年度札幌医科大学入学式 山下学長式辞

 本日、ここに、令和4年度札幌医科大学医学部および保健医療学部、ならびに大学院医学研究科および保健医療学研究科、ならびに専攻科助産学専攻・公衆衛生看護学専攻の入学式を挙行するにあたり、大学を代表して式辞を申し上げます。
 本日の入学式に、ご多忙のところ御臨席いただきました北海道知事 鈴木直道様、北海道議会総務委員長 吉田祐樹様、札幌医科大学後援会長 秦 史壮様をはじめとする多くの御来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。
 新入生の皆さん、入学おめでとうございます!
 私は、この4月より、札幌医科大学理事長・学長を拝命しました山下敏彦です。学長としては、皆さんと同じく1年生ですが、皆さんと一緒に新しい札幌医科大学を作っていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 さて、この2年間、札幌医大も新型コロナウイルス感染症のさまざまな影響を受けてきました。この入学式も、一昨年は中止、昨年は分散開催となりました。今年も依然としてコロナは完全な収束には至っていませんが、このように皆さんと一堂に会して、お顔を拝見することができたことを大変嬉しく思います。父兄の皆様をお招きできなかったことは誠に残念ですが、この場をお借りして、この度のご入学を心からお祝い申し上げます。
 札幌医科大学は、1950年の創立以来、70年を超える歴史と伝統を有しています。これまで、医学部は約6000名、保健医療学部は約2400名の卒業生を輩出し、全道、全国はもとより世界の各地で活躍しています。そして今日、本学は、先ほど述べた新型コロナウイルス感染症の対策においても、本道の先頭に立って取り組んできました。本学附属病院における中等症から重症のコロナ患者の受け入れ・治療にとどまらず、道内の医療機関や保健所での指導・助言、さらには宿泊療養施設やワクチン接種センターへのスタッフ派遣など、本道のコロナ診療に大いに貢献しているところです。
 コロナ関連以外においても、本学は、世界初の脊髄再生医療をはじめ、がんワクチン研究、ロボット・内視鏡手術など多くの先端的研究・診療を展開しています。また、本学スポーツ医学センターに所属する、医学部・保健医療学部のスタッフが合同で、昨年の東京2020オリンピック・パラリンピック、今年の北京冬季オリンピックにおいて、メディカルサポートに活躍しました。
 そして今年、新しい札幌医科大学がその姿を現します。鈴木知事をはじめとする道の皆様の多大なるご支援により、一連の施設整備がこの冬に完成し、まるで皆さんをお迎えするかのように札幌医大が生まれ変わります。
 新入生の皆さんは、今日から、このような歴史と伝統を有し、今、さらに未来に向かって発展を遂げている札幌医科大学の一員となったのです。そのことをぜひ誇りに思ってください。そして、自分こそが未来の札幌医大を作る担い手となるという自負を持ってください。
 しかしその一方で、皆さんには札幌医科大学の名に恥じない行動が求められます。札幌医大の学生というだけで世間から注目されるのは事実です。特に現代において普及しているSNSには大きな落とし穴があります。医療に関する情報には、特に機密性や個人情報保護が求められます。軽率な行動が、皆さんの夢と将来を一瞬にして破壊してしまうことがあることを肝に銘じてください。
 その上で、皆さんには、ぜひ若者らしく伸び伸びとした学生生活を送っていただきたいと思っています。体育会系、文科系の部活動などを通して、友人との交流を深めてください。多職種によるチーム医療は、現代の医療の常識であり重要なポイントです。医学部、保健医療学部間の学生交流もどんどん進めてください。
 大学といたしましても、皆さんの学習や学生生活をサポートするための様々なシステムを構築しています。何か疑問点や悩みがある場合は、学生担当の教員や学生部・学務課に気軽に相談してください。一方、現代は精神的ストレスも多い時代です。本学では、「保健管理センター」を整備し、学生の皆さんの心身面のサポートにも力を入れていますのでご安心ください。
 入学試験の面接の際、地域医療への貢献の意志を示した学生さんが多くいました。地域医療への貢献は本学の大きな使命の一つです。現在、本学では「地域医療研究教育センター」を設置し、ICTすなわちオンラインでの診療や教育を通してあたらしい地域医療の形を構築しています。
 本日は本学大学院の入学生の皆さんも出席しています。本学の研究をさらに発展させ、その成果を世界に発信していただくことを期待しています。
 また、助産学・公衆衛生看護学専攻の皆さんは、助産師・保健師として、さらにプロフェッショナリズムをきわめることを目指し頑張ってください。
 今、長引くコロナ禍により、世界の人々は傷つき苦しんでいます。近い将来に医療人となり、その人々を救うことができるのは、まさに皆さんなのです。みんなが皆さんに期待しています。
 今年の北海道における大きな話題は、新庄新監督率いる日本ハムファイターズであります。彼の斬新かつ派手なパフォーマンスには色々な意見があり、成績も今のところ振いませんが、私は一つとても感心したことがあります。それはファイターズのスローガンです。新庄監督が打ち出したのは、日本一奪還でもなく、羽ばたくでもなく、「ファンは宝物」でした。彼は球団にとって何が本当に大事なのかをわかっているのです。さて、そうしますと、必然的に本学のスローガンは、「学生さんは宝物」となるかと思います。本学の未来、そして本道・わが国の医療の担い手となる、学生の皆さんは、まさに宝物であります。皆さんを大事に、そして大きく育てていきたいと考えています。
 これからの皆さんの学生生活が楽しく実り多いものとなることを願っています。

 令和4年4月8日 北海道公立大学法人札幌医科大学 理事長・学長 山下敏彦