小児科学講座

Dept.of Pediatrics

小児医療では、新生児、循環器、感染症や小児救急などの急性疾患、神経・発達、血液・腫瘍、免疫・アレルギー、腎泌尿器、リウマチ、代謝内分泌、消化器やこどものこころなどの慢性疾患の診療、さらには予防接種や保健指導に至るまで広範囲で多岐に渡る専門分野が存在しており、これらの小児専門分野の基礎・臨床研究を充実させてまいりたいと思います。
日々の診療の中からその疑問点を探り出しそれを解決するために研究にとりくみ、研究で培った考える力を再度診療に生かすことのできるクリニシャンサイエンティストを目指す小児科医を育成します。札幌医科大学小児科では、これまでウイルス感染症を中心とした研究が行われていましたが、これらの研究を今後もより充実、拡大し、さらに免疫・炎症の視点を加えた各種専門分野における研究にも力を入れていきたいと思います。
  

スタッフ

教授 Professor
川崎幸彦 Yukihiko Kawasaki, M.D., Ph.D.
所属:医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
医学研究科地域医療人間総合医学発生分化・加齢制御医学発達小児科学
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ:
○慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群の発症・進展機序の解明と制御
○溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症病態と新規治療薬開発
○RSV感染症と自然免疫の関与
○急性脳炎・脳症の発症メカニズム解析
研究活動と展望:
慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群の発症・進展におけるウイルス感染の影響や補体、活性化マクロファージ、活性化リンパ球などの炎症細胞の働き、糸球体固有細胞である上皮細胞、メサンギウム細胞、内皮細胞の関与についての基礎研究に加え、これらの疾患を制御するために免疫抑制剤を加味した多剤併用療法、扁桃摘出パルス療法、LDLアフェレーシス、血漿交換療法などの体外浄化療法、リツキシマブなどの治療が有効であることを示してまいりました。さらに、HUSのモデルマウスを作製することで、発症病態にIL-6,IL-1β,TNF-α、血清MCP-1などの炎症性サイトカインやケモカイン、補体活性に加え、High-mobility group box1(HMGB1)などの自然免疫が関与すること、障害からの回復には、血管再生因子として血管内皮増殖因子やアンジオポイエチンが重要であり、抗HMGB1抗体や遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤が腎障害を軽症化することを明らかにしました。
現在、HUS、各種慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群におけるmicroRNA(miRNA)21の役割や治療薬としての可能性および間葉系幹細胞を用いた新規治療薬を開発中です。


准教授 Assistant Professor
要藤裕孝 Yuko Yoto,
所属 : 医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ:ヒトパルボウイルスB19感染症における多彩な病態に関する機序の解明
研究活動と展望:これまでに当小児科に凍結保存してあった多数の血清検体より、ヒトパルボウイルスB19感染に関連する多彩な疾患を報告してきました。なかでも、脳症の症例(Yoto Y et al. Lancet.1994;344:624-625)や原因不明の急性肝炎にヒトパルボウイルスB19感染例が関与していることを明らかにした報告(Yoto Y et al. Lancet. 1996;347:868-9)は世界的にも注目される研究成果となりました。現在は、さらにそれらの多彩な病態における機序を分子生物学的な手法を用いて解明することを目的に研究を継続しているところです。


准教授 Assistant Professor
堀司 Tsukasa Hori, M.D.
所属 : 医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ:1. 造血細胞移植後のGVHD(移植片対宿主病)のバイオマーカーに関する研究 2. 小児悪性腫瘍に関する治療研究
研究活動と展望:1. GVHD(移植片対宿主病)は造血細胞移植の成否を左右する重大な合併症であり、その診断、治療に難渋することも少なくないため病態把握に有用なバイオマーカーが望まれている。近年我々はケモカインのひとつであるCCL8がGVHDの重症度と関連していることを明らかにした。今後バイオマーカーとして診断、治療効果判定に役立ててゆく試み、更に治療ターゲットとしての可能性に関しても研究を進めてゆく。2.希少疾患でもある小児悪性腫瘍に対して全国的、国際的レベルでの治療を行いつつさらに治療法を発展させるためJCCG(日本小児がん研究グループ)に所属し、疾患ごとの全国規模の臨床試験に参加することにより最先端の治療を行っている。


講師
鎌﨑穂高 Hotaka Kamasaki, M.D.,Ph.D.
所属 : 医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ : 成長障害, 小児生活習慣病, 小児糖尿病
研究活動と展望 : 1)近年、栄養素と内分泌疾患との関連性が注目されている。ヨウ素やビタミンDなどの微量元素が関連する甲状腺疾患やカルシウム代謝疾患などの小児内分泌疾患について、その病態解明と臨床研究を進めている。2) 北海道では小児期からの肥満や生活習慣病の頻度がいまだ高い状況にある。成人期の代謝疾患の発症予防を目的として、健康診断に基づいた小児期からの生活習慣病対策の推進における調査及び分析を進めている3) 小児期の生活の質を著しく損ねる小児夜尿症に関して、睡眠計スリープスキャンを用いた睡眠の質に関する研究を進め、より有効な治療法を探求している。4) 小児内分泌代謝疾患に関わる様々な多施設共同研究(成長ホルモン治療、ターナー症候群など)に参加し、小児内分泌診療の発展に貢献している。


講師
山本雅樹 Masaki Yamamoto,
所属 : 医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ:造血細胞移植後免疫反応、急性移植片対宿主病(GVHD)の病態解析
研究活動と展望:移植片対宿主病(Graft-Versus-Host Disease: GVHD)は造血細胞移植の成否を左右する重要な合併症です。我々はケモカインCCL8を用いて、様々な角度から造血細胞移植後免疫反応、GVHDの病態解析を試みています。GVHDの病態をより詳細に解明することができれば、GVHDの効果的な予防法、GVHDに対する分子標的療法の開発が可能となり、将来的には造血細胞移植における移植関連合併症による死亡を減らす事ができると考えています。


講師
津川毅 Takeshi Tsugawa, M.D., Ph.D.
所属:医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Pediatrics
研究テーマ:胃腸炎ウイルスの分子疫学と病態の解明
研究活動と展望:小児期において急性胃腸炎は急性上気道炎や中耳炎と並んで罹患率の高い疾患であり、その原因としてロタ・ノロなどの胃腸炎ウイルスの頻度が高い。近年、ロタウイルスワクチンが導入され有効性が世界的に明らかとなっているが、ロタウイルスの病原性やワクチン弱毒化のメカニズムは依然として不明である。ロタウイルスワクチン導入後の胃腸炎ウイルスの分子疫学的変化と、ロタ・ノロウイルスを中心とした病態の解明に関する研究を行っている。


助教
福村忍 Shinobu Fukumura,
所属 : 医学部医学科臨床医学部門講座 小児科学講座
SOM,(SOM),Department of Clinical Medical Science Dept.of Pediatrics
研究テーマ : 難治性てんかんおよび急性脳症に対する骨髄間葉系幹細胞静注療法の確立 小児急性神経疾患(けいれん重積、急性脳炎・脳症)における持続脳波モニタリングの有用性の検討
研究活動と展望 : 神経再生医療講座と協力して難治性てんかんおよび小児急性中枢神経疾患(急性脳症・脳炎、脳外傷、脊髄炎など)に対する骨髄間葉系幹細胞静注療法の確立を目指しております。