甲状腺・副甲状腺

VANS
内視鏡補助下甲状腺手術(VANS)
甲状腺および副甲状腺はホルモンを産生する内分泌臓器です。機能異常の場合は内科で治療が行われますが、手術治療が必要な甲状腺疾患はわれわれ頭頸部外科医が行なっています。甲状腺の周囲には喉頭、気管、食道といった重要臓器や、頸動脈、頸静脈といった脳への血流に関連する血管、また声帯の動きを司る反回神経という神経が走行しており、甲状腺・副甲状腺手術は、この領域に精通している耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が得意とする専門分野のひとつです。
手術の対象となる疾患は、甲状腺良性腫瘍、甲状腺がん、バセドウ病、副甲状腺腺腫などがあります。甲状腺腫瘍の場合は良性悪性問わず自覚症状はほとんどなく、検診などで偶然発見されることや、女性に多いのも特徴です。当科では年間150例ほどの甲状腺手術を行なっております。
甲状腺手術の際には、声帯を動かす反回神経麻痺による声がれ (嗄声)、副甲状腺の同時摘出による副甲状腺機能障害 (カルシウム低下)、などの合併症が起こりえます。反回神経については持続型を含む最新の神経モニタリングシステム (NIM/APS) を用いており、神経を安全かつ確実に温存することで、神経損傷を防ぐことを目指しています。副甲状腺は肉眼ではわかりにくい臓器であるため、近赤外線カメラを用いた新しい手法を導入し、副甲状腺を摘出せずに温存できるよう努めています。
また、甲状腺手術は頸部の見えるところに傷が残ってしまうことから、丁寧な皮膚縫合を心掛けるのみならず、腫瘍の条件次第では内視鏡補助下甲状腺手術 (VANS) により目立たない部位に皮膚切開を行うことで整容面にも配慮する体制をとっています。

※当科は日本内分泌外科学会専門医制度関連施設です。