臨床研修・臨床実習

Clinical Practice

初期臨床研修医・菊地太郎の腫瘍内科・血液内科 研修日記

 

初期臨床研修医・菊地太郎の腫瘍内科・血液内科 研修日記

札幌医科大学附属病院 初期研修医2年目の菊地太郎です。
血液内科・腫瘍内科で計6ヶ月間勉強させて頂いております。初期研修医が研修で何をしているんだろう?というところについて説明させて頂きます。

血液内科では、主に血液腫瘍で入院されている患者さんの病棟管理を初期研修医は担当します。2ヶ月間の研修で、
・多系統にわたる血液腫瘍に対する化学療法:
リンパ腫(DLBCL, FL, ALCL)、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫など
・特発性血小板減少性紫斑病 (ITP)のステロイド管理
・慢性骨髄性白血病に対するチロシンキナーゼ阻害薬の導入
などなど…多くの症例を経験することが出来ました。強力な化学療法による副作用のコントロール、日々の採血データの推移を上級医の指導のもとフォローするのが醍醐味と考えます。

腫瘍内科では、僕は消化管チームと胆膵チームに2ヶ月間ずつ所属させて頂きました。腫瘍内科においても主要な業務は病棟管理ですが (コメディカルの方に助けてもらいつつ。頭が上がりません)、
・食道癌や胃癌、膵臓癌や胆道癌に対する化学療法、副作用
・各種の内視鏡治療・検査
などについてたっぷりと勉強することが出来ます。実際にスクリーニングの上下部内視鏡の実施医を担当させてもらったり、ERCP (ステント留置、結石除去...etc)では第一助手を務めさせてもらったりと、予習・復習がいささか大変ではありますが、とても刺激的な日々で、楽しく過ごしております。

こう思うことはないでしょうか、『腫瘍内科とか血液内科って癌しか経験できないんじゃないの』『普通の内科の勉強は出来ないんじゃないの』と。長い期間を腫瘍内科・血液内科で過ごさせて頂きましたが、結果からいうと幅広く全身管理と臨床内科学を勉強することが出来ました。
癌 (場合によっては化学療法も)という病気は多臓器に渡って影響を及ぼす全身疾患であると自分の中では納得していますが、その通り6ヶ月間の研修期間には色々なイベントが起こりました。
・経口摂取不良 → 静脈栄養・経腸栄養の調整
        → 電解質補正、高度な低栄養となれば腹水や胸水の問題も…
・化学療法による免疫不全、治療のためのデバイス、腫瘍による閉塞(胆道など)
        → 感染症 (肺炎、菌血症、敗血症、胆嚢炎・胆管炎・肝膿瘍…その他複数)
・オンコロジーエマージェンシー
        →しばしば起こります… ICUの先生と協同で治療に当たることも。
・癌による疼痛、副作用
        → 鎮痛薬、吐き気止め、麻薬の適切な使用
        → 悲しいことですが、緩和ケアやお看取りに向けた転院調整など…
緊急入院も含めて多くの症例を経験させて頂きまして、大変充実した研修期間でした。
毎日ハードな研修ではありましたが、上級医の先生方の手厚い御指導と助けもあり、楽しく過ごすことが出来ました。
CV・PICCカテーテル、CVポート留置や腹水・胸水の穿刺、PTGBD、前述の内視鏡など多くの手技も経験できますし、いわゆる内科専門医のためのJ-OSLER症例集めもばっちりでした。
悪性疾患全般、そして何より内科学・医師としての仕事一般をみっちりと指導してもらいたい人にとって非常におすすめできる科だと考えております。一度研修で回ってみてはいかがでしょうか? 
菊地先生
充実した研修について語る菊地太郎先生