研修プログラム

「V字型の整形外科医」の排出を目指して

近年の高齢化社会、スポーツ活動の浸透、車社会が進むことで変性疾患、スポーツ傷害、外傷など、整形外科に対するニーズがますます高くなってきています。そんな中、当科ではそれに応えることのできるV字型の整形外科医を輩出することを使命として日々、臨床・研究・教育に奮闘しています。

V字型の整形外科医とは整形外科全般を広く学び、どんな分野でも診療ができ、なおかつ整形外科の中のあるテーマ、ある分野においては深く掘り下げて学び高度な専門性を持っている整形外科医のことです。

近年、医療の細分化・専門化が進んできていることは皆さんもご存知でしょう。高度な専門性を持った医師を育てるのが大学の使命であることはもちろんですが、当科では入局した皆さんの可能性を最大限に引き出すことを目的として一般整形外科の全てを学び、さらにその上で専門性を育てるような研修システムを考えています。

そのような整形外科医を目指して我々教室員は日々努力し、また後進の指導に当たっています。全てを広く浅くできるだけでは物足りません。その人のオリジナリティーが必要です。また何か一つしか出来ないようでは整形外科医とは言えません。その専門とは違う分野の知識・学習から自分の専門に生かすことのできるより多くのアイディアを得ることができるのです。

また当教室では明るく活気ある教室作り、多種多様な考えを持つ教室員一人一人がやりがいのある環境を作ることを心がけています。教室には自由に自分の意見・やりたいことを言える雰囲気があり、大学院に進学したり、基礎研究の道に進んだり、国内・海外に留学する者が数多くいます。教室員には多くの他大学出身の先生が在籍しています。また女性医師も多く、結婚した後も仕事ができるよう配慮した出張、職場配置をしています。

当教室には当科の目指す整形外科医像に近づいてもらいたい、そんな願いを込めた研修システムがあります。また、皆さん個人個人が思い描いている理想の医師像に近づきたい、という希望に応えるための多様な選択肢があります。是非一度、見学に、また研修に来てください。きっとそこにあなたの望んでいる道が見えてくるはずです。自分の夢を叶えるために。希望に燃える皆さんからのご連絡をお待ちしています。

整形外科研修プログラムの概要

概要図

整形外科1年目の研修

2年間の初期臨床研修が終了後,整形外科教室に入局し整形外科研修がスタートします。他の施設で初期臨床研修を行った専攻医も大歓迎です。整形外科研修の1年間は、札幌医大病院を中心に研修を行います。

札幌医大整形外科の3つの診療グループ(1)手の外科・骨軟部腫瘍・肩関節、(2)脊椎・脊髄、(3)股関節・膝関節・足関節・足・スポーツ整形外科、救急・集中治療部、小児整形外科の専門施設である北海道立子ども総合医療・療育センターをローテーションして整形外科の基本的な知識と技能を取得します。

2〜4年目の研修

1年間の大学病院での研修終了後は、北海道内の教育基幹病院で3年間の研修を行います。研修施設はいずれも日本整形外科学会認定研修施設です。症例が豊富で、専門性の高い整形外科治療を行っています。経験豊かな指導医のもとで、数多くの臨床経験を積むことができます。3年間で研修医、皆が幅広く平等に教育を受けられる環境を調整し、各々のワーク・ライフバランスも考慮しながら研修病院は指定されます。 また、非専門医前の後期研修医を中心とした委員会があります。専門医取得に向けての知識習得や手術手技向上のために活動している組織です。研修医自らが自己研鑽し、充実した研修生活を送れるように運営しています。

5年目の研修

3年間の関連病院での研修終了後は大学病院に戻り、これまでに修得した知識や技術の確認を行います。部位あるいは疾患の専門分野を選択し,より高い技術と知識の習得を目指します。

整形外科専門医取得後

整形外科専門医取得後は専門性を持った整形外科医として大学病院や関連病院でさらに高度な医療の実践、基礎研究や臨床研究、専門研修施設でのさらなる研修など各人の希望にもとづいた生涯研修を行います。

大学院、臨床大学院(博士課程)への進学

整形外科専攻医プログラム終了後,あるいは研修途中でも整形外科専攻医3年目より、希望者は大学院(医学博士取得)へ進むことが可能です。大学院研究期間は4年間です。はじめの1年間は整形外科臨床医として大学病院や関連病院で研修を行い、残りの3年間は基礎研究に従事します。
他の講座や施設との共同研究も行っています。また新しく興味ある分野で研究を始めることも可能です。臨床大学院という新しい博士取得過程もあります。研究期間は4年間と従来の大学院と同じですが、次の特徴があります。大学以外の教育基幹病院における2年の勤務を含む日常臨床を行いながら研究します。研究内容は患者を対象とした臨床研究で、成果を英文雑誌に投稿します。

臨床研究医コース

 上記の通常の専攻医プログラムとは別に、臨床研修と基礎研究を同時に行うコースです。臨床フェーズの1年間は通常のプログラム専攻医と同様に札幌医科大学附属病院を中心とした研修を行います。その後の研究フェーズでは、基礎研究を行います。開始後1年間は臨床フェーズとして臨床研鑽を行い、それ以後の4年間はエフォートの50%以上を研究に充てることが可能です。研究は当大学の大学院などで行い、SCI論文2本以上を執筆する必要があります。ただし、1本の論文に関しては、英文による症例報告か、和文による臨床研究に関する論文で代用することが可能です。

国内・国外留学

整形外科専門医取得後は個人の希望に応じて種々の進路があります。それぞれが身につけた専門性をさらに高めるため、国内・外の専門施設で研修や研究が可能です。札幌医大整形外科では多くの先輩たちが国内・国外留学をして最新の知識や技術を習得しています。留学先も多岐にわたり、海外では米国をはじめ、カナダ、イタリアなどがあります。留学期間は1から2年間を基本とし、留学時期や場所は個人の希望により相談して決めます。

教育関連病院一覧

一覧図