ロボット・腹腔鏡手術について
2008年7月に腹腔鏡下子宮体がん根治術が先進医療に承認され、2014年4月に保険適応となりました。子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術は2014年12月に先進医療として承認され、2018年4月に保険適応となりました。またロボット手術も2018年4月より子宮体癌や良性子宮疾患に対して保険適応となり、婦人科においてロボット・腹腔鏡による低侵襲手術の件数は年々増加しております。
手術で最も大切なのは「きちんと治るということ」すなわち生存率が高いということに尽きます。当院では患者様にとって最適な術式は何か、本当に良い治療か、などを話し合って判断していきます。
その上で、がんの治癒性が開腹手術と同等に得られると判断される場合には、ロボット・腹腔鏡による低侵襲手術を行っていきます。「大きくお腹を開かないから回復が早い」「傷跡が小さくて美容的だ」など傷の小ささを低侵襲手術のメリットとしてあげる声がたくさん聞かれますが、当院の考える低侵襲手術の最大のメリットは、骨盤底の複雑な血管走行、靱帯、神経、膜構造などが、開腹手術とは比較にならないほど鮮明に把握できるため、術者の経験と技術が充足していれば、より安全で根治的な手術が可能になることです。
当科では2023年9月時点では国内で唯一となる4機種5台のロボットを使用して手術を行っております。それぞれの特徴を生かし、患者様にとって最適な機種を選択し手術をすることができます。
「da VinciサージカルシステムSP」
日本では2022年に薬事承認され、産婦人科領域では2023年3月より手術が開始されました。
当科は全国で3施設目に、ダビンチSPを使用した手術を開始しましたが、子宮体がんに対しては全国で初めての手術を実施しております(https://web.sapmed.ac.jp/jp/news/photo/ij0qnk0000000mki.html)。
ダビンチSPの最大の特徴としては、1か所(約2.7cm)の穴をあけるだけで手術が可能であり、より低侵襲な手術が可能となります。
「da VinciサージカルシステムXi」
日本では2009年に薬事承認され、当科では2018年4月よりダビンチXiを用いた手術を開始し、2022年12月までに222件のダビンチXiを用いたロボット手術を行っております。
全世界では最も使われているロボットであり、他機種も含めて患者様にとって最適な機種を選択し手術を行っていきます。
「hinotoriサージカルシステム」
Medicaroid社(神戸)の手術支援ロボットであり、国産のロボットとしては初めて医療用具として認可され、2022年より臨床で使われています。産婦人科では2022年12月より保険診療として手術が開始されました。当科では2023年3月よりhinotoriを用いたロボット手術を開始しております。国産のロボットであり、より繊細な手術ができるように設計されており、より安全で低侵襲な手術が可能となります。
「HUGO手術支援ロボットシステム」
日本では2022年9月に薬事承認され、産婦人科領域では2022年12月に保険収載され、手術が開始されました。
手術室内の可動性を高めるアーム一本単位での位置調整が可能なデザインを持つシステムは、それぞれが独立したアームのため、患者さんに応じて柔軟な配置が可能です。
また術者が見ている操作画面を複数人で同時に確認できるオープンコンソールを採用することにより、手術室スタッフとのコミュニケーションも容易になります。
当科では2023年9月よりHugoを用いたロボット手術を開始しております。