札幌医科大学のレディースクリニック

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市民公開講座Q&A

一般不妊症関連Q&A(12題)[札幌医大 遠藤俊明医師回答]

Q射精後、結構膣から精液が流出し、子宮内に入っていく精子の数が少なくなるのではないかと心配ですが、どれくらいの精子が子宮に登っていくのでしょうか?

A

通常膣の中には2-3億匹の精子が射精されます。最終的に卵子の周りに到達出きるのは200匹前後でそのうちの1匹のみが卵子の中に入っていきます。結局大部分の精子は膣の外に流れ出てしまいます。従って流れ出ても心配ありません。

Q排卵障害がないのに、HMG-HCGを続けていると注射を止めた後、自力で排卵しなくなる心配は?

A

たとえば体外受精などで強力に排卵誘発をした次の周期はうまく排卵しないことは結構あります。しかし通常はすぐに回復します。

Qクロミッドを止めた後自力で排卵しなくなった場合の問題点は?

A

クロミッドの効果は止めた後も数周期持続するという報告があります。しかし再び無排卵となった場合は、生殖年齢の女性であれば、また排卵誘発をするか、少なくとも月経をつけることは必要でしょう。

Qクロミッドを使い続けると卵巣がんになりやすいと聞きましたが本当ですか?

A

理論的根拠の一つとして、排卵による卵巣表面の傷が修復する過程が発ガンと関係するとする説があります。しかし、卵巣機能が正常の女性も毎月排卵しているわけで条件は変わりません。現時点では一般のヒトが卵巣がんになる確率と大差ないと考えてよいでしょう。

Qともに異常がない夫婦に人工授精(AIH)をしても妊娠率の確率を上げますか?

A

乏精子症、子宮頚管粘液不全の場合のAIHの有用性は明らかです。しかし、正常夫婦に対するAIHはそれ程妊娠率を上げません。しかし、現実的には原因不明の不妊症例にはよく試みられています。排卵誘発を併用したAIHでは妊娠率の向上が期待されています。

QAIHは頚管粘液不足のヒトの治療には良いのでしょうか?

A

子宮頚管粘液は、精子が子宮に入る場合必須のものです。したがって頚管粘液不全の場合はAIHによって、精子を直接子宮に注入しますので必要な治療法と言えます。

QAIHと通常の性交とどちらが妊娠率が高いのでしょうか?

A

正常夫婦の場合は大差がないと考えて良いでしょう。

Q多嚢胞性卵巣症候群ですが、たくさん卵が出たら早く閉経するのでしょうか?(不妊治療を続けると早く閉経するのでしょうか?)

A

排卵が開始する思春期の女性は卵巣に数十万個の卵子を持っています。排卵誘発でたくさん排卵するといっても一生の間に排卵するのはそのごく一部です。心配する必要はありません。

Q多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で糖尿病の薬を使うことがあるとのことですが、食事で甘いものをひかえるとか、何か日常で気をつけることがありますか?

A

確かに欧米のPCOSのヒトには高インスリン血症がある場合がある事が指摘されています。そのような場合はインスリン抵抗性改善薬が効果を上げることが期待されます。ただし、これは体質的な問題で、食事療法が直接排卵につながる事は期待できません。また日本人の場合男性ホルモンがそれ程高くないので PCOSのヒトの全てが高インスリン血症になっているとは考えられません。日本人でのデータはまだ十分に蓄積されておりません。またこの種の薬はPCOS の治療薬として保険適応になっていませんし、確立した治療法ではありませんので慎重に投与されるべきです。

Q排卵障害でクロミッド(最低量)を使いましたが、具合が悪くなりました。何か他に薬はありますか?

A

現在保険適応になっている経口の排卵誘発剤には他にセキソビットという薬があります。あるいは少量のHMGを使う事も考えられます。

Q不妊治療とメンタルケアーを並行してやって欲しい。

A

最近メンタルケアーの重要性が認識されるようになって来ています。学会、その他の団体でも取り組みが始まりつつあります。今後の進展を期待したいところです。

Q未婚女性に対する排卵障害の治療はどこまでするのですか?

A

生殖年齢の女性であれば、少なくとも無月経は治療しなければなりません。また女性ホルモンが低い場合は、骨粗鬆症の心配もありますので、ホルモン補充が必要な場合があります。また、多嚢胞性卵巣症候群などの場合は未婚でも排卵誘発をすべきという考え方もあります。ただし、通常HMG-HCG療法までは施行しません。