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院内調剤内規(ダイジェスト版)
2019年4月
1.調剤原則
- 院内処方せんで処方及び調剤できるのは原則、共通採用薬および院内処方せん薬だけである。
例外:特定患者使用薬(患者限定)、診療科限定薬(科限定)、医師限定薬 - 嚥下能力が未発達な小児(5歳未満)に錠剤が処方された場合には、医師に確認する。
- 説明書がある薬剤は、入院・外来調剤ともに説明書を添付する。
但し、用法と説明書がそぐわない場合も添付しない。(例.眼軟膏の眼瞼使用、ピコスルファート内用液の検査使用等) - 剤型・色調・味覚・包装等に変更があった場合は、変更通知文書等を添付する。その添付期間は、通常1カ月程度。
- 麻薬・ハイリスク薬は、1品目1薬袋とする。(同一レジメンの抗がん剤は、その限りではない。)
- ピッキングサポートシステム(PORIMS)を使用して薬剤の取り揃えを行う。
2.計数調剤
<内用剤>
- 錠剤(ヒート)
薬袋に2種類以上の錠剤を入れる場合は、1回服用量記載の内袋を使用する。(内袋は1回1錠、1回2錠、1回○錠がある。)※錠剤と半錠(1回服用量に端数のある場合)は所定の内袋に1回量を記載して1つの袋に両方とも入れる。
- バラ錠、半錠の取り扱い方法
バラ錠の薬剤は1回量ごとに、分包し調剤する。半錠は、半錠のみで分包する。
例外:HIV薬はボトルのまま調剤※調剤者は、半錠にした薬剤の空ヒートを、バラ錠の時は鑑査システムの発行したレシートを添付し、鑑査者が再度確認すること。
- 錠剤を分包調剤した時の印字について
入院処方せん、退院時処方せんおよび入院他科受診の処方せんの場合は、全自動(散剤)分包機を使用して診療科名・患者氏名・薬剤名称・用法・用量等を記載する。外来処方せんの場合は、原則、前述の印字を省略することとする。 - 以下に指定するものはパイルパッカーを使用する。
【パイルパッカーで包装する薬剤】極度に苦いもの(ルネスタ錠)、抗悪性腫瘍剤ランクA・B バリキサ、免疫抑制剤、着色が残りやすいもの(ダントリウムカプセルなどの粉砕)
※調剤者は鑑査する薬剤師が識別可能にするため、空ヒートの一部を添付して調剤する。
- 一包化調剤
一包化調剤は、医師が「通常」および「退院」処方せんで「一包化指示」を入力した場合に実施する。
自動錠剤分包機に登録されている薬品が、2種類以上で用法と日数が一致した場合に限り、データ受信と共に一包化する。※外来・他科受診・至急処方せんは、原則、一包化調剤を実施しない。
但し、特別な理由(リウマチ等で手が不自由、外来治験患者など)の場合は、必要に応じ一包化調剤を行う。【一包化不可薬剤】OD錠の一部(不適薬剤)※、ハイリスク薬(糖尿病薬、抗悪性腫瘍剤など)、抗菌薬、半割錠剤、薬剤の構造上問題のあるもの(インヴェガ錠)、吸湿性の高いもの
※(注)OD錠は、製薬会社資料等により当院分包機での使用に問題が無いと確認できたものに限り、原則、内規委員会で協議し使用可とすることができる。
- 抗HIV薬の調剤方法
①外来患者場合は、状態により、ボトルのまま、または一包化して調剤する。
②入院患者の場合は、原則、一包化して調剤する。
ただし、病気の進行状況や薬剤の変更、患者のアドヒアランスにより調剤方法が変更する可能性があるため、HIV担当薬剤師の事前情報をもとに調剤する。
<外用剤>
- 原則、1品目1薬袋とする。
- 軟膏の調剤
- 軟膏容器に小分けした場合は、鑑査システムを使用して薬品名記録紙を添付する。軟膏容器の底部に薬品名、用量を記載する。
- 2剤以上の混合指示の場合は、原則、鑑査システムを使用して混合した薬品名の記録紙を添付する。但し、使用した最少単位の空き容器(空チューブ等)を添付することで代替えを可能とする。
3.散剤(秤量)調剤
- 散剤を秤量して調剤する場合は、散薬鑑査システムを使用して実施する。
- 麻薬を秤量調剤する場合、秤量した薬包紙に下記の事項を表示する
①麻を赤字で記入 ②分包数を記入 詳細は麻薬調剤の項参照
1)散剤の扱い
顆粒:10号ふるいを全量通過し、12号ふるいに残留するものは全量の5%以下であり、また42号ふるいを通過するものは全量の15%以下である。
細粒:18号ふるいを全量通過し、30号ふるいに残留するものは全量の5%以下であり、また200号ふるいを通過するものは全量の10%以下である。
【顆粒扱いの薬剤】
各ドライシロップ、小児用細粒、アルダクトンA細粒10%、リザベン細粒10%、リボトリール細粒0.1%、レキソタン細粒1%
2)賦形剤
- 内用散剤の分量が下記のような少量の場合、調剤および服用の便宜を図るため、1日量0.1g単位で賦形剤を添加し、その賦形剤1日量を処方せんに記入する。
細粒:1包が0.2gに満たない場合
顆粒、顆粒扱いの薬剤:1包が0.1gに満たない場合
- 賦形剤は、配合変化・乳幼児の乳糖不耐性の下痢・神経科等の乳糖のプラセボなどを配慮し、デンプン(A.S.)を使用する。
但し、指定のある場合または下記に示す薬剤は乳糖(S.L.)を使用する。例外)乳糖を使用する薬剤
プログラフカプセル※のはずし
(※但し、プログラフ顆粒0.2mg/包をできるだけ利用すること。)
※顆粒の端数が出た場合は、端数のみ開封してパイルパッカー分包【単味投与薬剤(賦形不可)】
塩化ナトリウム、臭化カリウム、リファンピシン、ミコブディン、ワーファリン顆粒
【単味投与薬剤(A.S.賦形可能)】
ジゴシン散0.1%、セレニカR顆粒40%、クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒<散剤の細粒・顆粒混合 (賦形の方法・考え方)> 顆粒のみの場合、1包0.1g以上でOKですが、顆粒+散剤の場合は1包0.2g以上にする必要があります。
手順を以下に示します。
①細粒+顆粒が1包0.2g以上で、かつ細粒≧顆粒の場合、そのまま混和・分包する
②細粒+顆粒が1包0.2g以上で、細粒<顆粒の場合、手順④(ふりかけ)へ
③細粒+顆粒が1包0.2g未満の場合
まず1包0.2gになるようにA.S.での賦形を考える
i)賦形後、細粒(A.S.含む)≧顆粒の場合、そのまま混合して分包する。
ii)賦形後、細粒(A.S.含む)<顆粒の場合は、この考え方の賦形をせず、手順④(ふりかけ)の考え方で賦形する④ふりかけ調剤となる
細粒に対して、(必要であれば)1包0.2gになるようにA.S.で賦形を加え、ふりかけ調剤とする。 この場合、②の場合でも、③の後者の場合でも、顆粒に対しての賦形は必要ない。
(1包0.2g以上の細粒+顆粒の中で、顆粒が半数以上を占めているのであれば、顆粒としては1包0.1g以上となるから)
3)錠剤の粉砕化、カプセルのはずし
- 錠数が服用回数で割り切れない場合、ワーファリンおよび坑悪性腫瘍剤や免疫抑制剤は端数のみをつぶす。
- 割線のない錠剤で1回量が半錠の場合は、原則、錠剤をつぶす。
例外)スピロノラクトン錠、ガバペン錠200mg、ソセゴン錠、シベノール錠50mg、その他、医師の指示があり製剤学上、半錠分割が可能な錠剤(原則、糖衣錠は分割せずに粉砕する)
- 散剤の採用薬剤があり、錠剤の粉砕指示の場合は、散剤で処方を依頼する。
但し、マーゲンチューブを利用している場合で、散剤を秤量するとかなり量が多くなる場合は、錠剤をつぶす。(例外:小児科のプレドニン錠は味が苦いため、粉砕指示がある場合はそれに従う) - 特殊加工製剤(腸溶錠・徐放性製剤等)は、原則粉砕しない。
但し、アスピリン(散剤)は抗血小板作用の適応がないため、バイアスピリン錠のつぶしを認める。また、マーゲンチューブ等の使用患者は、医師と相談の上、決定する。 - 遮光を必要とする薬剤を分包する際は、アルミホイルで包んで調剤する。
【遮光する薬剤】
セパミット細粒10mg、メチコバール細粒、ローコール錠、テルミサルタン錠、カバサール錠、コルヒチン錠、トライコア錠、ザイザル錠 、ジアミノピリジン - カプセルつぶしの指示の場合は、ゼラチンアレルギー患者を配慮し、カプセルをつぶさずに外す。その際、他の散剤と同様に賦形を行う。
- その他:ガバペン錠は熱に弱いので、粉砕機を使用せず乳鉢を使用すること。
4)分包
自動分包機を使用して分包する場合は、診療科名・患者指名・薬剤名・用法・用量等を分包紙に印字する。
但し、下記の薬剤はパイルパッカーで分包する。
抗悪性腫瘍剤ランクAB、アタラックスP(カプセルの外し)、コムタン錠(粉砕)、サフラン、ダントリウム(カプセルの外し)、抱水クロラール、プログラフ(カプセルの外し)、プログラフ顆粒、ルネスタ錠(粉砕)、免疫抑制剤、バリキサ錠、ミコブディン(カプセルの外し)、リファンピシン(カプセルの外し)、セルセプト(カプセルの外し)、アレルギーテストに使用する薬剤*
4.水剤調剤
- 調製方法
1回量の最小単位を1mLとし、整数倍になるよう注射用水で賦形する。
但し、1回1mL未満でも以下に示すものは原液で投薬する。【単味投薬(原液で調剤するもの)】
スクラルファート内用液、アルファロール内服液、アルロイドG、イトラコナゾール内用液、ガスコンドロップ、シアナマイド、ゾフランシロップ、D-ソルビトール、単シロップ、ポンタールシロップ、ネオーラル内用液、ピアーレ、リスペリドン内服液0.1%、ハリゾンシロップ、トリクロリールシロップ(検査用)、トロンビン用リン酸緩衝液、エビリファイ内用液
【単味投薬(注射用水で賦形できるもの)】
インクレミンシロップ、カロナールシロップ、デパケンシロップ、トリクロリールシロップ、フェノバールエリキシル、ザイザルシロップ、セルシンシロップ - 用法指示
水薬ラベルおよび薬袋に1回○mLと記載する。
外来処方および退院処方の場合、1回量が1mLのときはスポイト、2mL以上の時は計量カップを、1回服用量の目盛りをつけて添付する。
外来、退院薬の調剤は薬袋、水薬ラベルの1回○mLの横に(○の目盛り)を記載し、患者にわかりやすいように工夫する。 - 投与日数
外来や退院時に、長期投薬により30日を越える処方は、保存方法により汚染が懸念されるため、原則として以下の日数に小分けして調剤し、「○本で○日分です」の説明文書を添付する- 原液の場合:原則、1瓶30日まで
- 注射用水で賦形した場合:1瓶14日まで