悪性腫瘍の腹腔鏡およびロボット支援手術について
消化器外科や泌尿器科などが先行して腹腔鏡下悪性腫瘍手術を保険適応化していく中で、婦人科腫瘍への腹腔鏡下手術の取り組みは大きく遅れを取り、従来型の開腹による広汎子宮全摘術が広く行われてきました。
2008年7月に腹腔鏡下子宮体がん根治術が先進医療に承認され、2014年4月に保険適応となりました。
子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術は2014年12月に先進医療として承認され、2018年4月に保険適応となりました。
またロボット支援手術も子宮体癌に保険適応となるため、刻々と変わる適応や施設基準に関して当院では常に慎重に確認をしております。
手術で最も大切なのは「きちんと治るということ」すなわち生存率が高いということに尽きます。先日の報道でもあるように、当院では患者様にとって本当に良い治療か、保険診療と病状が合っているのか、などを話し合って判断してゆきます。
その上で、がんの治癒性が開腹手術と同等に得られると判断される場合には、低侵襲治療を行ってゆきます。
「大きくお腹を開かない(低侵襲)から回復が早い」「傷跡が小さくて美容的だ」など傷の小ささを腹腔鏡下手術のメリットとしてあげる声がたくさん聞かれますが、当院の考える腹腔鏡下手術の最大のメリットは、骨盤底の複雑な血管走行、靱帯、神経、膜構造などが開腹手術とは比較にならないほど鮮明に把握できるため、術者の経験と技術が充足していればより安全で根治的な手術が可能になることです。
その上で、がんの治癒性が開腹手術と同等に得られると判断される場合には、低侵襲治療を行ってゆきます。