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作業療法学科 領域紹介

身体障害作業療法学(高次脳機能)

領域紹介 -身体障害作業療法学(高次脳機能)とは

 脳梗塞や脳出血などが原因で右または左の大脳半球に傷が付くと、それと反対側の手足の感覚機能や運動機能に低下が生じることがあります。それと同時に、または単独に、認知機能にも低下が生じることがあります。この認知機能が低下した状態を高次脳機能障害と呼びます。

教員紹介教員一覧

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教授 太田 久晶

作業療法士は、高次脳機能障害を有する患者さんに対してもリハビリテーションを提供しております。しかしながら、傷ついた脳の働きを理解するためには、どうしたらよいのか、そして、どのような関わりが患者さんの生活を豊かにするのか、まだまだ、分からないことが多いのが現状です。我々と高次脳機能障害に対する作業療法について一緒に勉強し、次世代を担う作業療法士を目指してみませんか?

助教 齊藤 秀和

様々な原因で障害を負った患者さんの回復を促し、生活のしやすい状態を作ることが我々の重要な役割だと思います。高次脳機能障害を有する患者さんは生活がしにくくなりやすいですが、より良い生活を送れるような方法を一緒に考えてみませんか?

研究テーマ(教育活動、社会貢献活動)

  1. 半側空間無視症状に対する効果的な治療方法、及びその介入方法の開発
    半側空間無視症状とは、患者さんの右または、左の大脳半球が傷付いたために、それと反対側の空間に対して注意を向けることが困難となる現象です。半側空間無視症状は、日常生活を行う上で、様々な側面に影響をもたらします。例えば左の半側空間無視症状のある患者さんでは、左側にある食べ物に気づかないことや、車いすをこいでいると、左側にある机に気付かずぶつかる事があります。
    そのため、安全かつ、やり残しなく動作を遂行するためには、常に誘導や介助が必要な状態となります。またこの症状は、リハビリテーションによる訓練校かが得られにくい特徴を持ちます。
    現時点で、最も効果の期待できる方法の一つであるプリズム順応課題を用いて、その効果検証を行っております。
    身体障害作業療法学(高次脳機能)
    写真:訓練で用いる楔形プリズム眼鏡とその効果
  2. 病巣対側の上下肢に対する認識の障害(片麻痺に対する病態失認、半側身体失認、運動無視、自己身体の半側無視)に関する症状理解および、治療介入法の検討
    片麻痺の存在を認識できない症状を「片麻痺に対する病態失認」と呼びます。またこれに似た症状で、片側の身体が存在しないように振る舞う症状を「半側身体失認」、病巣と反対側の常下肢の運動や使用が減少する症状を「運動無視」と呼びます。このような症状が出現すると治療効果が上がりにくく、また転倒の危険性が高まる場合があります。どのように症状が出現し、その治療法の効果検証を行っております。
  3. 視覚性運動失調(ataxie optique)の発生機序に関する検討
    人間の視野には、中心視野と周辺視野があり、その中でも周辺視野に入った物をうまくつかめない症状を「視覚性運動失調」と呼びます。原則として大脳病巣の反対側視野に出現すると言われていますが、病巣の場所・症状にはばらつきがあり、明確な発生機序が示されておりません。そこでこの機序についての検討を進めております。
  4. 健常者の方向性注意機能の特性分析
     人間は視覚・聴覚・触覚など、様々な感覚に注意を向けることができます。特に視覚において、視線を動かすことで様々な方向へ、注意を向けています。病気や怪我が原因で、様々な方向、または一方向だけに注意を向けることが難しくなることがあります。この症状を理解するには、健康なヒトがどのように注意を向けているかを理解する必要があります。視線の動きや脳活動を含めた計測を行うことで、それらがどのような特徴を有しているのか、解明することを目指しています。
    身体障害作業療法学(高次脳機能)
    写真:脳機能計測装置(左)、アイトラッカー:眼球運動計測装置(右)