関節リウマチとは、免疫異常によって関節が痛んだり腫れたりする病気です。
「朝、手がこわばって動かしにくい」「関節が腫れて痛い・だるい」などの症状は
もしかしたら、関節リウマチの症状かもしれません。
関節リウマチは進行すると関節が変形してしまいます。
関節リウマチは比較的頻度の高い疾患の一つですので、
もしかしたらあなたのそばにも関節変形で困っている人がいるかもしれません。
30-50歳代で女性(男女比1 : 4)に多く発症しますが、最近は60歳以降で発症する関節リウマチも増えてきています。
有病率は0.2-1%とされますので、あなたの身の回りにも関節リウマチの方がいる可能性があります。
関節リウマチは多くの場合はゆっくりと慢性的に進行していきます。
症状のではじめのころははっきりとした関節の症状がでずに、だるさや食欲がないなどの症状からはじまり
朝に手がうごかしづらいといった症状(朝のこわばり)がでてくる場合があります。
その後左右に対称的に関節の痛みや腫れが出てきます。こうなると関節リウマチと診断される可能性が出てきます。
ただ症状のではじめも出かたも人それぞれなところはありますので、
また、人によっては目や肺などの関節以外の場所に症状がでることもあります。
これらの関節リウマチの症状が起こる原因には免疫の異常があるとされており、
本来細菌やウイルスから体を守ってくれる免疫が暴走して、関節などを間違って攻撃してしまい、
関節に炎症がおきるとされています。
では、どうして免疫が暴走してしまうのでしょうか。
その原因は、すべての人に共通ではなく個々人によりいろいろな可能性があるとされています。
人によっては持っている遺伝子の性質で関節リウマチになりやすい体質となっている人や、
たばこの煙を吸うことや歯周病が発症に関与しているのではないかという話もあります。
しかし、残念ながら個々人で発症の原因を探ることはまだ難しいというのが現実です。
大切なことはどうしてなってしまったのかを考えるのではなく、
「関節リウマチになってしまったらどうしたらよいか」ということです。
そうです。関節リウマチかなと思ったらまずは病院に行くことです。
関節リウマチは特に症状がでてから間もない時期は専門家でも苦労することがあるくらい、
時に診断が難しいこともある病気です。
同じような症状を起こす他の病気も数多くあることから、
時には病気の原因ははっきりするまで、根気よく病院に通うことが重要な時もあります。
場合によっては通いやすい近くの病院の先生だけではなく、
遠くまででかけてリウマチ専門医に診てもらう必要があることもあるかもしれません。
なかなか診断がつかなくて、疑心暗鬼になることもあるかもしれませんし、
通院の負担がおおきくなり、病院に行くのが億劫になることもあるかもしれません。
ですが、関節リウマチは特に最初が大事なのです。
以前は関節リウマチによる関節変形はゆっくりと進んでいき、
症状がでてからかなり時間が経ってから変形がおこっていくと信じられていました。
しかし最近の研究では特に症状が出始めたばかりのころのほうが関節が壊れる速度が早いということがわかり、
症状がでてからできるだけ早く診断を行い、治療を始めるということが重要とされるようになりました。
特に関節リウマチは一説には発症2年以内に骨破壊(レントゲンで見られる関節リウマチによる骨の変化)が見られる割合が
7-9割とも言われており、この骨破壊が起こらないように適切にそしてより早期に治療を開始することが重要とされています。
つまり関節リウマチは最初が肝心ということです。
そう「早く気づけば、未来がかわる」とは、まさにこのことを指しています。
できるだけ早く、自分で関節リウマチかもしれないと思って病院にかかるということが重要になってきているのです。
私たちは患者様とそのご家族様、あるいは関節リウマチが専門ではない先生にも
関節リウマチの可能性あるいは関節リウマチの全段階の状態(pre-RAと呼びます)が自己判定できるような
セルフチェックアプリを開発しました。
皆さんが早く関節リウマチの可能性に気づいて病院にかかるきっかけになればと思っています。
誤解しないでいただきたいのは、アプリはあくまでも受診のきっかけとして使ってください。
アプリで関節リウマチを診断できるわけでもなければ、関節リウマチではないといえるわけでもありません。
大事なことは、関節リウマチの疑いのある人がちゃんと医療機関で検査を受けるということです。
関節の炎症の原因はサイトカイン
関節リウマチの関節の炎症の立役者が長年の関節リウマチの研究で明らかになってきています。
関節リウマチの関節の炎症はサイトカインと呼ばれる体の中の炎症を起こさせる物質が過剰に作られてしまうことが、
原因とされています。
サイトカインにはいろいろな種類が知られていますが、
関節リウマチにおいては特にインターロイキン6(IL-6)や
腫瘍崩壊因子(TNF)と呼ばれるサイトカインが重要とされています。
これらのサイトカインが関節の骨を破壊するときにも悪影響を及ぼしているとされており、
IL-6やTNFを標的とした分子標的治療(生物学的製剤、バイオ)が使えるようになったことが、
関節リウマチ治療を大きく進歩させました。
近年はそのサイトカインをつくる反応自体を抑制してしまうJAK阻害薬とよばれる治療薬もでてきています。これらの治療薬についてはそれぞれの製薬会社がわかりやすいサイトをつくってくれていますので、ぜひご覧になってください。