unclassified Rheumatic and Musculoskeletal Diseases NETwork(uRMD-NET)は診断未確定リウマチ性疾患の診断治療の改善とリウマチ性疾患の強固な病診連携を目指して作られた北海道・東北地区の大学病院の整形外科・リウマチ膠原病内科を中心としたネットワークです.
診断未確定リウマチ性疾患という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが,我々はこの診断未確定リウマチ性疾患というものには2つのタイプがあると考えています.
一つ目のタイプが,いわゆるこれまで分類不能関節炎/診断未確定関節炎(undifferentiated arthritis; UA)や分類不能型膠原病(undifferentiated
connective tissue diseases; UCTD)と言われているものたちのことで,この状態は誰にも既知の診断名の確定診断をつけることができない状態だと考えられます.
UAやUCTDといった概念は専門家以外にはあまり知られていないものですので,端的に説明しますとUCTDは”膠原病っぽいけど,専門医が見ても確定診断とならないもの”,UAは”炎症性関節炎はあるけれど,関節炎の原因が断定できないもの”を指します.特にUAに関しては,そのほかのページでテーマになっているpre-clinical
rheumatoid arthritis(pre-RA)の状態も含みます。
これらの状態はそのうちいずれかの疾患の診断基準を満たして既知の診断(関節リウマチや膠原病)となるとされていますが,その移行期にあり,診断基準・分類基準を満たすことができずに暫定的に上記のように判定されるとされます.
二つ目のタイプが,いわゆる十分な検査・診察がなされていない結果として,リウマチ性疾患・膠原病と推定されるが,診断未確定であるとされる場合です.
特に後者は,専門医へのアクセスに不便な地域でより懸念されるものになると推察されます.北海道・東北地区は特に過疎化の進んだ地域が多く,二次医療圏単位で見ても専門医不在の地域が散見される状況です.
専門医へのアクセスが困難なことにより診断未確定となり治療の機会が得られないそのような格差は持続可能な発展を掲げるWHOの10「人や国の不平等をなくそう」という目標にもかかわる,我々の抱える重要な解決すべき社会的課題の一つです.
uRMD-NETではリウマチ膠原病専門医たちが中心となり,地域医療を支える非専門医の先生方の診療との新たな連携の形を模索して,以下の活動を行うこととしました.
①関節リウマチ・pre-RAなどの関節リウマチおよびその周辺疾患の概念の普及(Webツールおよび地域講演会)
②関節リウマチ・pre-RAのセルフチェックアプリによる関節リウマチの可能性への気づきの促進
③診断未確定リウマチ性疾患のオンラインコンサルテーション(uRMD-NETコンサル)による専門医への距離的なアクセスの改善
それぞれ似たような取り組みはすでにありますが,uRMD-NETではオンラインだけにとどまらず,構築された連携が実際の診療にも生かされることを目指しています.つまり,本当に必要な時に患者さんが専門医受診をすることにより治療介入へとつながっていく,そして,症状改善した患者さんそれぞれがまた地域で元気に活躍されることを手助けできるネットワークとなればと願っています.