札幌医科大学 医学部 神経内科学講座
教授 久原 真
教授挨拶
札幌医科大学医学部神経内科学講座教授 久原 真 です。
当教室は1954年に本学第一内科講座(当時)に神経専門外来が設置されたところに端を発しており、1992年に新たな診療科として神経内科が発足、2008年に神経内科学講座に昇格しております。初代教授松本博之先生、二代教授下濱俊先生のもと、診療、研究、教育の充実に邁進し多数の業績と技量・人格ともに優れた人材を輩出してまいりました。これからも教室をさらに発展させ、脳神経内科学の進歩に貢献できるよう努力していきたいと思います。
先端医療の推進と地域医療への貢献を両立して脳神経内科疾患の克服を目指すために何をなすべきか、私の考えを述べたいと思います。脳神経内科疾患は脳血管障害、認知症、頭痛などのcommon diseaseから比較的まれな神経難病まで多岐にわたる疾患を診療しております。正確な神経学的診断と科学的判断に基づく適切な治療を行うことで治療可能な疾患が増えている一方、治療法が限られた疾患も少なからずあり福祉・保健分野との連携と新医療の創生が将来も必要になると思います。
診療において、当科は以前から疾患を診るのではなく患者さんそのものを診るという姿勢を持ち続け、全ての神経疾患の診断と治療につき道内はもちろん、日本国内でも高い水準で診療をしてまいりました。先端医療の臨床研究として本学神経再生医療科と共同で神経難病に対する骨髄間葉系幹細胞投与を行う医師主導治験も積極的行っており、他疾患への応用も今後進めてまいります。学内のみならず、大規模治験や臨床研究の研究拠点ないし協力機関としての整備にもつとめてまいります。次に地域医療のさらなる充実について考えたいと思います。残念ながら北海道における脳神経内科医の数は多くなく人材の育成が急務でありますが、脳神経疾患診療のレベルを維持するために病病連携、病診連携の体制をこれまで以上に強化する必要があります。このため内科系診療科、脳神経外科、神経精神科、リハビリテーション科との医療協力体制をさらに充実し、ICT技術やインフラ整備により脳神経疾患の診断や治療に貢献していくことを考えております。
研究においては、臨床医こそresearch mindを有しbed to bench, bench to bedを具現化できる存在であると考えています。すなわち臨床(患者さん)に還元できる研究は何か、というスタンスを持って臨むことが重要であると確信しております。上記にも示しましたが、幹細胞を用いた再生医療研究はこれまでも行っており今後も発展していきたいテーマですが、さらに疾患の早期発見、早期治療に欠かせない実用的なサロゲートバイオマーカーになりえる分子をオミックス解析にて同定し、実用化にするプロジェクトに取り組んでおります。さらに変性疾患、炎症性疾患におけるミクログリア、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞の病態における関与の解析なども基礎医学領域の研究機関と連携しながら行って行きたいと考えております。トランスレーショナル・リサーチは困難を伴うこともありますが、本学には学内をあげて取り組む体制もあり積極的に参画してまいります。
教育については、真のプロフェッショナリズムを有する医師の育成、専門性を有し神経疾患治療に対応できる脳神経内科専門医の養成を行ってまいります。学生や研修医に脳神経内科学の学問としての重要性を伝達しなければなりませんが、その中でも特に丁寧でかつ正確な問診と神経学的診察を実施できるという到達目標を教育の主眼としております。また本学に課せられている北海道の地域医療充実のために、早期から地域基幹病院などの医療機関の実習を行い、その重要性を早くから経験させたいと考えております。もとより脳神経内科疾患は多彩であり、それらを自ら考えて解決できる医師general neurologistを育成することが重要であると考えます。脳神経内科医を目指す研修医がどこで研修を行っても遅滞なく専門医になれるプログラムをこれまで以上に充実させたいと思います。
また、大学の使命として研究者としての視点を持つ臨床医clinician-scientistも欠かせません。今後ますます精細に進歩していくであろう、高度先進医療に対応した臨床研究と基礎研究を主導する将来のリーダーの育成にもつとめてまいります。診療も研究も教育を通して人材を育成できなければ、教室の発展ははたせないと考えます。若い学生、研修医の方が一人でも多く私達と一緒に仕事をしたいと考えていただけるよう切に願っております。
当教室は1954年に本学第一内科講座(当時)に神経専門外来が設置されたところに端を発しており、1992年に新たな診療科として神経内科が発足、2008年に神経内科学講座に昇格しております。初代教授松本博之先生、二代教授下濱俊先生のもと、診療、研究、教育の充実に邁進し多数の業績と技量・人格ともに優れた人材を輩出してまいりました。これからも教室をさらに発展させ、脳神経内科学の進歩に貢献できるよう努力していきたいと思います。
先端医療の推進と地域医療への貢献を両立して脳神経内科疾患の克服を目指すために何をなすべきか、私の考えを述べたいと思います。脳神経内科疾患は脳血管障害、認知症、頭痛などのcommon diseaseから比較的まれな神経難病まで多岐にわたる疾患を診療しております。正確な神経学的診断と科学的判断に基づく適切な治療を行うことで治療可能な疾患が増えている一方、治療法が限られた疾患も少なからずあり福祉・保健分野との連携と新医療の創生が将来も必要になると思います。
診療において、当科は以前から疾患を診るのではなく患者さんそのものを診るという姿勢を持ち続け、全ての神経疾患の診断と治療につき道内はもちろん、日本国内でも高い水準で診療をしてまいりました。先端医療の臨床研究として本学神経再生医療科と共同で神経難病に対する骨髄間葉系幹細胞投与を行う医師主導治験も積極的行っており、他疾患への応用も今後進めてまいります。学内のみならず、大規模治験や臨床研究の研究拠点ないし協力機関としての整備にもつとめてまいります。次に地域医療のさらなる充実について考えたいと思います。残念ながら北海道における脳神経内科医の数は多くなく人材の育成が急務でありますが、脳神経疾患診療のレベルを維持するために病病連携、病診連携の体制をこれまで以上に強化する必要があります。このため内科系診療科、脳神経外科、神経精神科、リハビリテーション科との医療協力体制をさらに充実し、ICT技術やインフラ整備により脳神経疾患の診断や治療に貢献していくことを考えております。
研究においては、臨床医こそresearch mindを有しbed to bench, bench to bedを具現化できる存在であると考えています。すなわち臨床(患者さん)に還元できる研究は何か、というスタンスを持って臨むことが重要であると確信しております。上記にも示しましたが、幹細胞を用いた再生医療研究はこれまでも行っており今後も発展していきたいテーマですが、さらに疾患の早期発見、早期治療に欠かせない実用的なサロゲートバイオマーカーになりえる分子をオミックス解析にて同定し、実用化にするプロジェクトに取り組んでおります。さらに変性疾患、炎症性疾患におけるミクログリア、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞の病態における関与の解析なども基礎医学領域の研究機関と連携しながら行って行きたいと考えております。トランスレーショナル・リサーチは困難を伴うこともありますが、本学には学内をあげて取り組む体制もあり積極的に参画してまいります。
教育については、真のプロフェッショナリズムを有する医師の育成、専門性を有し神経疾患治療に対応できる脳神経内科専門医の養成を行ってまいります。学生や研修医に脳神経内科学の学問としての重要性を伝達しなければなりませんが、その中でも特に丁寧でかつ正確な問診と神経学的診察を実施できるという到達目標を教育の主眼としております。また本学に課せられている北海道の地域医療充実のために、早期から地域基幹病院などの医療機関の実習を行い、その重要性を早くから経験させたいと考えております。もとより脳神経内科疾患は多彩であり、それらを自ら考えて解決できる医師general neurologistを育成することが重要であると考えます。脳神経内科医を目指す研修医がどこで研修を行っても遅滞なく専門医になれるプログラムをこれまで以上に充実させたいと思います。
また、大学の使命として研究者としての視点を持つ臨床医clinician-scientistも欠かせません。今後ますます精細に進歩していくであろう、高度先進医療に対応した臨床研究と基礎研究を主導する将来のリーダーの育成にもつとめてまいります。診療も研究も教育を通して人材を育成できなければ、教室の発展ははたせないと考えます。若い学生、研修医の方が一人でも多く私達と一緒に仕事をしたいと考えていただけるよう切に願っております。