箱崎頌平さん(実習年度:平成26年)
TV会議での症例発表で養われるプレゼンテーション力
地域包括型診療参加臨床実習を選択した理由は?
私はこの実習の説明会を聞いた時、最初は実習参加には消極的でした。理由としては、1ヵ月間同じ病院にいるということはしっかり勉強できて、研修医で働いた時のイメージができるというメリットがある反面、4週間札幌を離れることに抵抗を感じていたからです。私は将来内科系を志望しているので、6年生の臨床実習では循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の実習を選択しようと考えていました。実習について担当の先生に相談した際に、「1人の患者さんの入院から退院までの経過を見ることができ、地域の循環器内科の医師がどのような働き方をしているのかわかる。」というメリットを教えていただき、迷いもありましたがこの実習を選択しようと決心しました。
その中でも製鉄記念室蘭病院を選んだ理由としては、私の地元であり、初期研修先の病院として考えていたことや、病院のプログラムを見て栄養指導やフットケア外来等、様々なことを学べるのではないかと考えたからです。
実習先での1日のスケジュール
箱崎さん
(製鉄記念室蘭病院)
実習は朝8時ごろから担当患者さん3人の回診をして、電子カルテで検査データや夜の看護記録などを確認します。その後一時間ほど、指導医の先生と患者さんについてのディスカッションを行い、病気や検査についてのミニレクチャーが行われます。ディスカッションの中で、患者さんの病態についてのポイントがわかり、何を勉強し何を調べたらよいのかが明確になってきました。
その後は主にトレッドミル検査やRI検査の介助についたり、新患外来の問診につかせていただいたりしました。トレッドミル検査やRI検査では技師さんの指導の下、患者さんに心電図の電極を貼ったり、先生と一緒にレポートを書かせていただいたりしました。1ヵ月間心電図を見ていたことで、心電図に対する抵抗感を減らすことができました。午後は主にカテーテル検査の見学や心エコーの実習でした。心エコーの実習では、技師さんに指導していただきながら実際にプローブをあてることができ、貴重な経験をすることができました。
実習を通して得たもの、学んだことについて
朝から夜まで外来業務、病棟業務、各種検査、カンファレンス等々医師の仕事は多岐にわたり、地域中核病院の先生方は「とても忙しい」というのが、実習を終えてみて私が一番感じたことです。
この実習では、診断の過程や治療をリアルタイムで勉強することができました。例えば救急車で来た患者さんに対して、どのような鑑別疾患を考えて問診、身体所見をとるのか、さらにはどのような検査をオーダーする必要があるのか、コンサルテーションする必要はあるかなど、様々なことを考える必要があります。入院中の患者さんでは、毎日状態を確認しつつ、検査データを見ながら薬剤を調整したり、新たな検査をオーダーしながら診断したり治療を行います。このようなことは、臨床推論等の机上の勉強ではやっていましたが、実際の臨床とは全く違うと実感することができました。初期研修医になってからはこのようなことが求められるのだということを、学生の今の時期に学べたことは私にとってとてもよい経験になりました。
また、症例発表会での発表資料や入院時の病歴要約を作ったことも大変勉強になりました。発表という場でアウトプットすることや病歴要約を作ることは、自分のわからないところが明確になり、さらに考えを深めることができる非常によい機会だと思いました。他者の目が入ることで自分自身を見つめなおすことにもなるので、将来においても大切なことなのではないかと思いました。準備が大変であるという意見もあるかもしれませんが、私は発表資料を作ることでポイントを絞った勉強をすることができたと思っています。資料作りは大変でしたが、この実習の中で一番よい経験になったと思います。
後輩へのメッセージ
製鉄記念室蘭病院は、先生方をはじめ看護師の方や他のコメディカルの方々が非常に親切で、素晴らしい環境で実習することができました。1ヵ月間大学を離れるのは大変でしたが、派遣される学生が一人なのでマンツーマンでしっかりと指導を受けることができ、得るものはとても大きいのではないかと思います。私がこの4週間で学んだことは、プレゼンテーションの大切さです。TV会議での症例発表はもちろんのこと、総回診で担当患者さんについて先生に発表するときなど、プレゼンテーションを行う機会がたくさんありました。4週間の中で完璧にできたわけではありませんが、初期研修医になる前にこのようなことを学べたのはとても有意義だったと感じています。
最終更新日:2014年10月02日