茂庭慶悟さん(実習年度:平成26年)
自らが踏み出す一歩で将来の医師像を具体化
地域包括型診療参加臨床実習を選択した理由は?
麻酔救急科、特に麻酔科の全身管理に興味があり、地域の基幹病院での手術を通して幅広い症例の術中管理に参加することができることと、地域医療の中核を担う医療機関に大変興味があり、この実習を選択しました。
実習先での1日のスケジュール
茂庭さん
(帯広厚生病院)
8:30 抄読会参加
8:50 手術参加
12:00 休憩・昼食
13:00 救急対応見学、術前診察見学
15:00 手術参加
18:00 勉強会参加
19:00 帰宅
実習を通して得たもの、学んだことについて
麻酔救急科の実習では、手術麻酔の参加を基本としてある程度落ち着いた状況で呼吸・循環動態をはじめとする全身管理の基礎を学び、救急外来搬入やICU入室に際してはその時の考え方がどのように応用されているかを学ぶ、というサイクルを経て勉強していました。また、自分用のPHSを貸していただき、夜間当直に参加し、救急搬送の際には呼んでいただく、という経験もできました。自分が参加した2回の当直ではいずれも一件も救急要請がありませんでしたが、夜間当直ならではの緊張感を、身を以て経験する事ができました。初期臨床研修医の先生が「最初は自分も眠れなかった」とおっしゃっており、どんなに優秀な先生でも最初は自分と同じ立場なのだと実感する機会にもなりました。
初期臨床研修医の先生方から麻酔を用いた全身管理に関する「はじめの1歩」を何日かかけて学び、上級医の先生からもう一段階進んだ内容を学ぶことで、段階的に無理せず麻酔の基本について学ぶ事ができました。先生方には優しく丁寧に指導していただき、学生に許される範囲で手技も行わせていただくことで自らが医療現場に参加しているという自覚と緊張感を持って実習に望む事ができました。
サテライト実習では、救急車同乗実習として終日消防署で救急要請のコールに応じて救急車に乗り、救急現場での対応やその前後の救急救命士の仕事を見ることができました。また、訪問看護同行や慢性期病棟を持つ病院での実習、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の見学などがあり、新しい施設介護の形態や体制を見ることができました。どの実習も医師として働いてからでは得にくい経験だったと思います。
TV会議システムを用いた症例発表会は、短期間での症例の把握と情報のまとめ、そしてプレゼンテーションと様々な能力が求められ、苦労しました。特にTV会議という特性上、プレゼンテーションの反応が会場の雰囲気として得にくいことが独特の緊張感となってしまいましたが、それもこういったシステムが今後医療現場でより活用される機会が増えることを考えると良い経験になったと思います。麻酔救急科という特性上、患者さんとのコミュニケーションや診察などは行えませんでしたが、救急搬送された患者さんがICUで全身管理と同時に治療を経て回復していく過程を見られたことは、大変勉強になりました。また、文献の検索や医学的事項のまとめなども含め、良い経験になったと思います。
後輩へのメッセージ
4週間という長い期間を大学の外で実習するということは、生活や人間関係などを含め、とても不安が大きいものですが、その1カ月間だけは実習先が自分のいるべき場所であり、精一杯頑張ろうと思えます。実習先の先生方は教育熱心な方ばかりで、手厚く指導してくださいます。また、生活面でも事務の方々が熱心にサポートしてくれます。自分が不安であるからこそ周囲の人の優しさが嬉しく、それをきっかけに話す機会も増え、最初の不安が嘘のようでした。
週末は、その地域を知る良い機会になると思います。実習先の地域を実際に歩き回って見るだけでも、将来の医師像や自分が働く初期臨床研修病院のイメージを具体化していくことに役立つかもしれません。
実習中は自らが踏み出す一歩が大切だと実感する機会が多くありましたが、この実習の参加自体が、その最たるものだと思います。自分の学びたい事を、臨床参加を通して学べるこの実習は選択して正解であったと思います。みなさんも考慮されてみてはいかがでしょうか。
最終更新日:2014年10月02日