肺自然免疫とマイクロバイオーム

過去の有名な教科書にも肺は無菌であると書かれています。しかし培養技術・遺伝子工学の進歩で肺にも微少な細菌叢(マイクロバイオーム)が存在することが分かってきました。

2010年代半ばから特発性肺線維症(IPF)にもマイクロバイオームが影響している可能性を示唆する報告があり、我々の教室でも日本人におけるIPF肺のマイクロバイオームについて初めて報告し,マイクロバイオームの多様性が低下するDysbiosisの状態がIPFの予後不良因子となることや病態の進展に関与している可能性があることを示しました。

現時点ではまだ推測ですが肺内ディスバイオシスから肺線維化に至る機構は、病的PAMPs(病原体関連分子パターン)の増加が肺胞マクロファージなどを介して線維化に関連する因子の発現を増加させることが考えられています。
近い将来、特定菌種をターゲットとした治療で線維化の進行を抑える、もしくは菌相解析で、急性増悪の起こる可能性の予測やIPFの予後を予測することが可能となるかもしれません。
IPFにおけるマイクロバイオームの変化