学長就任にあたって(平成22年4月1日)

-厳しい医療情勢における札幌医科大学の方向性-

学長・理事長 島本和明

学長・理事長 島本和明

この度、札幌医科大学の学長・理事長に就任いたしました島本でございます。微力ながら札幌医科大学のさらなる発展に全力を尽くしていく所存でおりますので、皆様の御支援、御協力を宜しくお願いいたします。
本学は平成19年に独立行政法人化し、3年が経過いたしました。法人化後の運営につきましては順調に推移しておりますが、平成22年4月以降の中長期展望につきまして私の考えを紹介させていただきます。
まず老巧化、狭溢化した建物に対するハード面での整備が必須です。本部棟、医学部-東棟-教育棟の全面改築、新研究所の開設、保健医療学部の増築、附属病院の増改築などは、平成25年度を初年度とする新たな中期計画の中核を成すテーマであると考えています。
教育、研究、診療という本学の使命を遂行する上でもこれらの整備は不可欠なものであり、教職員の強い願望が込められた、また学生や患者の皆さんも大きな期待を寄せている最重要課題と考えます。キャンパスの再編を含めた、これらの整備計画を、新中期計画の中心に据え、その実現に向けて全ての教職員と共に準備を進めていきたいと存じます。 誤解を恐れずに言うならば、私は、医科大学はサービス業の要因が強く求められる職場だと思っております。そして、私達、札幌医科大学の教職員にとってのお客様とは紛れもなく学生と患者の皆さんです。そのような認識の中で、まず、教育では、人間性豊かな医療人育成という目標のもと、医学部、保健医療学部それぞれにおける専門教育と、両学部に共通する教養教育のいずれもの充実も求められています。一昨年10月には医療人育成センターが発足し、両学部と有機的連携を保ちながら、教養教育の充実に努めておりますが、今後は入試や専門教育についても医療人育成センターの機能をしっかり発揮できますよう、センターの充実、改善に努めたいと存じます。
臨床・診療におきましては、まず患者さまへのサービスということを常に念頭において、医療にあたることが大切です。喫緊な課題の一つとして附属病院入院病室の多くを占める6床室の4床化による入院環境の改善を図りたいと思います。更に、手術室やリハビリ室の拡張、外来診療室の拡充、救急部の一階への移転など患者さまへのサービスと直結するハード面での課題は、附属病院で働く全ての者の願望であり、病棟増改築を視野に進めていきたいと思います。
研究におきましても一層の充実が必要です。札幌医科大学は多くの公的、競争的資金を獲得し、基礎、臨床双方の分野での研究が活発に行われています。さらに、基礎研究を臨床に結びつける橋渡し研究におきましても有望な研究がいくつも提案され、その実現に向けた取組がみ進められております。札幌医科大学が、一地方公立大学でありながら、高い評価を受けているのは、これまで先達が培ってきた優れた基礎研究、臨床研究があったからこそと言えます。特に、がん研究、免疫研究、再生医学の分野などで卓越した研究がなされてきましたが、これら研究の更なる高度化に邁進してまいります。
本道の地域医療への貢献も本学の使命の一つです。昨今は、とりわけ医師不足が大きな問題で、各臨床講座における医師確保、医師派遣が重要な課題となっております。地域医療貢献の本質的な解決には教育と研究、臨床の包括的な改善による医師確保が最も大事なアプローチではないでしょうか。これらを実践する意識、行動変容のための大胆な施策を検討していきたいと思います。
このような方向性のもと、多くの皆さんから広く御意見を聞き、十分な議論を尽くし、すべての課題に対して、全学を挙げて取り組んでまいりたいと思います。全教職員、学生の皆さんの御理解と御支援、御協力を重ねてお願いし、学長就任にあたっての御挨拶といたします。

平成22年4月1日

札幌医科大学 学長・理事長 島本和明

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