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當瀬細胞生理学講座教授の新コラム「真健康論」第35回

當瀬細胞生理学講座教授の毎日新聞連載コラム「真健康論」:第35回 舌と鼻で感じる味覚(11月05日毎日新聞掲載)

當瀬細胞生理学講座教授

   當瀬細胞生理学講座教授

真健康論:第35回 「舌と鼻で感じる味覚」

 口に入ったものが食べ物かどうかを判定するのが味覚です。体をつくり健康を維持するために、食事を取ることは不可欠ですから、味覚は健康維持に大きな責任を担っています。

 人が感じ取る味覚には7種類あります。甘み、塩味、酸味、苦み、うまみ、辛み、渋みです。このうち甘み、塩味、酸味、苦み、うまみを合わせて五味と呼びます。五味には共通点があります。それはこれらの味が、舌やのどに分布している味蕾(みらい)という小さな器官で感じ取られるものだからです。五味のうち、甘みは糖分やアミノ酸、脂肪分、塩味は塩分、うまみはアミノ酸や複数のアミノ酸からなるペプチドによって、それぞれもたらされます。つまり、食べ物に栄養素が存在するかどうかを判定する役割を持つのです。なので、この三つの味が嫌いな人はほとんどいません。

 一方、酸味は酸性の物質を判定します。酸性の物質とは腐ったものを意味します。また、苦みは植物などの微量成分、つまり薬や毒の味なのです。ですから、子供たちは酸味と苦みが嫌いです。ところが、人生を重ねるうちに、酸味も苦みもおいしい味と感じるように変わることは、ご承知の通りです。

 残り二つの味は味蕾では感じません。辛みは食べ物中の辛み成分が、舌やのどの粘膜にある痛覚神経を直接刺激することによって感じます。もちろん、その刺激は弱いので「痛い」とは思わないのです。でも、例えば大量の唐辛子が入っている「激辛」料理では、口の中に痛みを感じます。渋みは植物の中に入っているタンニンという成分が、舌の粘膜表面のたんぱく質を軽く変質させることで感じます。なので、一度渋みを感じると、なかなかとれないのです。また、肉や魚で渋みを感じることはありません。

 味覚は7種類といいましたが、実はもう一つあります。風味です。口に含んだ食べ物から生じるにおいが、口から鼻の後ろ側に立ち上ることで感じられるものです。ですから、味ではないのですが、風味は味覚に大きな影響を与えます。鼻かぜをひいて、鼻が詰まった状態で食べ物を食べても、おいしくないですね。味覚と嗅覚は、切っても切れない関係にあるのです。(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)=次回は19日掲載

  • 経営企画課広報
  • 発行日:2012年11月05日